dark shadow 28話 魔の分身術
火炎竜ヴェルニアスを倒したアストラル達は山を下り、ハレス村へと向かった。
そしてそこには恐ろしい敵がいた。
火炎竜ヴェルニアスを倒し、深紅のオーブは取り返した。
しかし、他の7つのオーブも竜に姿を変えているだろう。
「アストラル、あの斜面を下ればハレス村に行けるよ。」
「ならばさっそく行こう!」
4人は斜面を駆け降りる。
そして村の様子が徐々に見えてくる。
村まで下ると、バドルフがひざまずいているのが目に入った。
「何が起きた!」
「来たか、アストラル・・・奴は。」
あのバドルフが怯えている。
バドルフの前にはいかにも魔族のような見た目をした者が立っていた。
「こいつは水龍を操る能力がある。そしてこいつに勝ったら水龍は復活させないと約束した。しかし、この俺が負けるとは。」
「どうした?貴様の武勇は魔王様から聞いているぞ。俺様と戦え!でないと水龍を蘇らせ、この村を破滅へと導いてやる。」
アストラルの答えは一つだった。
「受けてやるさ、だが約束は守れ!」
「待て、アストラル。やる気か?」
「当然だろ、カリム。」
「カリム?懐かしい名前だな。」
「奴の攻撃は素早い、注意して戦うんだ。」
アストラルは鞘から剣を抜き、前方へと走る。
そして相手を斬った・・・はずだった。
「いない!?」
アストラルは後ろを振り返ると無数の線が横切る。
そしてアストラルは後ろから殴られた!
「フッフッフ、こんな雑魚に武器を使うまでもない。」
「なんてやつ。」
アストラルは剣を振るが、その魔族は全て攻撃を避ける。
「避けるのもあきてきたなぁ。」
「なめるな!日輪円裂飛来斬!」
紅の中にわずかな黄色を帯びた炎が衝撃波となって飛ぶ!
しかし、魔族のアクロバティックな動きの前では全く当たらない。
「まずいな。」
「アストラル、なんで?」
「動きを見ろ、全く地形を利用していない。」
「確かにそういわれてみれば・・・」
「あれは日輪円裂飛来斬にこだわりすぎているんだ。あのとき、あまりにもあの技がうまくいったとなると、あの技を使えば勝てると思って他のところまで目が行き届かなくなってるんだ。」
「見せてやろう!スピードの神髄を!」
無数の線が流れ、しだいに三つに分かれていく。
魔族の姿は三体になった!
アストラルは一体目の魔族の拳を避け、二体目の魔族を蹴る。
「偽物か。」
また魔族は三体に増えた。
「日輪円裂飛来斬!
多数の衝撃刃を三体ともよけきって接近してくる。
「相手を心で見ろ!そう教えたはずじゃなかったのか!?」
そう声を張り上げたのはバドルフだった。
アストラルはハッとした。
心の目で相手を見極めることを思い出した。
そして、アストラルはゆっくりと目を閉じる。
三体の魔族は消えた。
そして、木の陰の頂点に魔族の影が現れた。
「そこだ!日輪円裂飛来斬!」
「アストラル!まだわからないのか?」
「カリム、それは違う。敵を見ろ。」
アストラルは高く跳び上がった魔族に向かって翼を広げ、剣で斬る!
魔族はひざまずいた。
「やるな、我が名はレミス、ここで決着をつけさせてもらおう。」
レミスはまた三体に分身した。
そして、アストラルに襲い掛かる。
「今三体の中に本物のレミスがいるはず。」
アストラルは目を閉じた。
しかし、三体同時にレミスの姿が見えた!
「心の目が・・・効果ない!?ならこうだ!」
アストラルは砂煙を起こした。
「この砂煙で実体があるなら砂が付くはず・・・。」
三体の同時攻撃!
「なぜ!?どれも砂がわずかに付いている?」
「フッフッフ、三体とも全て機械だ。本物はこの俺だ!」
「機械!?」
アストラルはレミスに斬りかかった。
レミスは三体とも剣と盾を取り出した。
一体目のレミスはアストラルの攻撃を盾で防ぎ、剣を突き出した。
アストラルはバック宙をし、二体目に斬りかかる。
二体目は攻撃を盾で防ぎ、剣で突く。
「機械・・・そういうことか、機械ならあまり多くのデータを記録できない、どうりで動きがワンパターンな訳だ。しかし、一体攻撃できてもすぐにもう二体が。」
そこでアストラルは狭い谷を見つけた。
そして谷の間に向かって走る!
「なにをしてる!?アストラル、そっちは行き止まりだ!」
ここなら一体ずつ相手をするか高さを変えて同時攻撃を仕掛けてくる。
アストラルはそう思った。
レミスは三体とも跳んだ。
それを見切ったかのようにアストラルは飛んだ!
「今が重なる瞬間だ!」
アストラルは三回レミスを斬った!
レミスの機械は爆発した。
「次はおまえだ!」
「俺様はひとまず退散させてもらおう。」
「待て!」
「水龍の封印は解いた!この地を水没させよ!絶海竜カイルギオス!」
そこにいた人々は海の方を見た。
幾つもの間欠泉が噴き出し、紅い2つの光が海の底から見えた。
そして、水は蒼い竜の姿となって飛び立った。
そのとき、後ろから足音がした。
「俺も戦わせてほしい。」
そこに立っていたのはカイラだった。
「なぜカイラが!?」
「俺は兄者を助けるために戦ってきた。でも、どうせ兄者はこの世界にはいないんだ。だからせめて兄者の仇を討つために戦いたい。」
そういってアストラルとカイラは手を取り合った。
え?もう2章になってから3話ですか!?
時が経つのは早いですね。




