dark shadow 35話 闇竜と神の力
「反応しないんだったら殺るかんなぁ!」
カリムは二本の剣を構え、魔物の群れに突っ込んだ!
骸骨の騎士は剣を振り回した。
「剣の振り回し方を教えてやるぜ!」
カリムは空高く飛び上がった。
「霧雨の空裂波!」
そして、双方の剣で空気を切り刻む。
斬撃は鋭い刃となって降り注いだ!
「カリムって強いのに変なこと言うからなぁ。」
アスカは冷たい眼差しでカリムを見る。
「こうなったのもおまえらが攻め込むからだぞ!」
「おい、アストラル。俺が苦労して手に入れた神弓サジタリウスはどうした?」
「袋にちゃんと入ってるさ。」
「なんだと?カリムは使わないのか?」
「あいつは自分の力をまだ弱いと思っている。あいつにこれを渡そうとしたときあいつはまだ使うときじゃないと言ったんだ。」
「そうか。でもあのときより断然強くなっているだろ?」
「当然だ!いくぜ!」
アストラルは骸骨の騎士に斬りかかる。
アストラルの攻撃は盾ではじきかえされた。
「ちゃんと敵の動きを読め!」
アストラルは手を地面について足払い。
態勢を大きく崩した隙に剣で斬る!
そのとき、闇の竜が城に向かって飛んでくるのが見えた。
「あれは!?」
「フォアール村のあいつか?バドルフ、国王が心配だ。ここは任せたぞ!」
「待って、僕も行く。」
アストラルは頷いた。
城壁の上では兵士が魔物と戦っている。
城の扉を開けて玉座の間を目指す。
城に入った瞬間炎が道を塞いだ!
「何!?」
城内に敷かれていたカーペットが燃え盛る。
炎の奥から何かの影がこちらに向かってきている。
カリムが城の扉を蹴り倒してその何かを潰した。
「カリム!」
「おう!助けに来たぜ!」
「その扉普通に開いたのに・・・。」
「あ・・・い、いいだろ!魔物が全部悪い!」
階段の上から炎が迫る。
カリムは矢を放った。
炎が弱まった瞬間を見計らって階段を急いで上る。
カリムはすぐさま魔物の死骸を確認。
「こいつ魔界の垣根で大量増殖してたフレムキャタピラーじゃねーか。こんなに大きくなるのかよ!」
「カリム、国王が危ないぞ!早く!」
アストラルが玉座の間にたどり着いた。
闇竜の姿はまだ見えない。
「国王様!大丈夫ですか?」
「うむ、だが奴はすぐそこまで来ている。」
国王はバルコニーの方を指さした。
カルアが階段を上ってきた。
「カルア、国王には指一本触れさせるな!」
カルアは頷いた。
そのとき、城の壁が崩れた。
「闇の・・・竜。でもやるしかない!」
カルアはゴクリと唾を飲んだ。
アストラルが闇竜に向かって走る!
そして光の剣が闇竜に振り下ろされた。
しかし、闇竜の鱗は固く、刃を通さない。
さらに崩れて無くなった壁からはバッドゴイルが次々と侵入してきた。
「国王様、我々がお守りします!」
ヘルティア王国の兵士が15人ほど駆けつけて魔王軍の猛攻をなんとか食い止める。
アストラルは闇竜と激闘しているが押され気味だ。
カルアも兵士達に加勢した。
しかし、兵士達もしだいに数が減っていった。
カルアは槍でなぎ払って3体のバッドゴイルを一度に倒す。
国王に2体のバッドゴイルが向かっていった。
カルアは素早く国王の前に立って2体の攻撃を同時に防ぐ。
「クッ、どうすれば。」
そのとき、2体のバッドゴイルが悲鳴を上げて倒れた。
「救世主ってのはさ、遅れて登場するもんだろ?」
カリムが姿を現した。
「遅すぎだよ!何してた?」
「いやぁ、下の階にもフレムキャタピラーがいてさ、ただでさえ攻め込まれてるのに下の階からも敵がきたら終わるだろ?」
何も言い返せないカルアは咳払いをしてバッドゴイルに立ち向かった。
下から炎が噴き出した。
「あちぃ!ってかまだいたのかよ!」
カリムはフレムキャタピラーの炎を避けて階段を上って来たところを剣で刺した。
アストラルは闇竜を何度も斬るが、傷一つつけられない。
闇竜はアストラルに噛み付く!
間一髪避けたアストラルだが、光に剣が闇竜の刃で折られてしまった。
「あ!しまった!」
アストラルに闇竜が迫ってくる。
そのとき、国王の声がした。
「天、地、中。この世界にあまねく神の竜よ。真の名を呼びて今ここに降臨せよ!天の神龍デウケロスドラゴン。地の神龍シュノロスドラゴン。中の神龍ガルナティブドラゴン。」
国王の手から三つの光が辺りを包む。
その光は闇竜を飲み込んだ。
そして光が消えたとき、そこには三つのオーブが落ちていた。
「国王様、今のは?」
「遥か昔にこの世界の影の存在と戦ったときこの召喚魔法を使ったらしい。そして今でもそれが受け継がれている。」
「でもなぜ使えるのですか?」
「アストラルの意味は世界を彷徨う幽霊のようなものでな、王は神の幽霊と言われている。だがなぜそなたがアストラルという名なのかが疑問だな。」
アストラルは困った。
「それは・・・。」
「まあよい。それよりも魔王をいち早く倒さねばならぬな。」
「はい。しかし、それには勇者の剣が無いと倒せません。しかし魔王に取られてしまって。」
「勇者の剣を作る手立てはある。アトランティスには貴重な貴金属がある。その名はオレイカルコス。それを火山に放り込むと台座が出てくるんだが、その台座に剣が刺さっていて、それを抜けば勇者の剣になるらしい。しかし残念ながら台座に関する記録が残っていないんだ。おそらく悪人が手に入れないようにするためだと思うが・・・。」
カリムは苦笑しながらこう言った。
「悪人手に入れてる。」
カルアがカリムの口を慌てて塞ぐ。
「とにかくアトランティスに行けばいいんですね!・・・どこそれ?」
カルアが首を傾げる。
「フォアール村の渦潮に入るんだ。でもそこは俺しか行けてないんだったな。てことはあれは夢じゃなかったんだ!」
バドルフが階段を上ってきた。
「聞いたぜ!今の話。」
「あ、でもヴォルナ村に行かないと。」
バドルフは折れた光の剣を見た。
そしてバドルフはアストラルに向かって剣を投げた。
「いざとなったらこいつを使え!ただし、おまえ一人の力で手に入れるんだ。ヴォルナ村には俺らが行く。ハレス村の近くにある火山集落で落ち合おう。」
「バドルフ、ありがとう。」
そしてアストラルはヘルティア王国を去った。
「さあ、俺らもヴォルナ村に行くとするか。」
読んでいただきありがとうございました。
短編の方もチェックして頂けると嬉しいです。
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