97+必勝! 体育祭!/後
『いちについてー! よーい! ――』
パァン!!
クライマックスです、復活! ユウヤです!
とうとうやって来ました最後の種目、三年生による全員リレー!! ひゅーひゅーパフパフ!!!!
えへへ走るぞ走るぞ超走るぞ保健室なんかに居たから体力が有り余ってるぜえへへへへ。俺ことユウヤは勿論アンカー! 絶対一番にテープを切ってみせ――
「ユウヤ!」
「ん~?」
「お前ニカイドーの分まで走るのに何でもう此処に居るんだよ!」
あ。しくった。あわあわとするコウスケ君はさておき、俺はのんびりと其方に向かった。トラックの反対側に移動するだけじゃない。
一周のトラックを一人半周でひたすら走る、くだらないなんて思ってないぞ! あ、やべ、アスカ三番目だった。
「ユウヤ、絶対勝ってね」
トラック内にあーや先生が居た。
「もっちろん! 絶対勝つよ!」
「勝ってくれないとあの馬鹿に酒飲むキクカワ先生に奢る羽目になっちゃうんだから」
完璧私情!
「まぁ、そういうのなしにしても、頑張ってね」
「ふぁーい」
先生は笑顔で去って行った。明るいよね、先生。
そんなこんなでアスカの代わりに走る俺。走り終わったら今度こそアンカーまで順番を待つ。疲れた? 一回走ったくらいで何のその!!
あ、そういえば一組はアサ君だっけ。滅茶苦茶かったるそうに座り込む弟を発見。……結局ハチマキどうしたんだろうか?
「遥か彼方へ旅に出た」
どうやらなくしたらしい。
って、おお、滅茶苦茶速い人居るじゃん――ってユキちゃん!? あの滅茶苦茶速いのユキちゃんだ!!
「ユキは僕より速いぞ」
「え? アサ君が速いからアンカーなんじゃ……?」
「タイム弄りやがったあの野郎」
嗚呼、体育委員なんだねユキちゃん。普段笑ってるから真面目に走るユキちゃんって新鮮ー。
ユキちゃんが十六番目らしいから、まだ半分以上あるよ! つか全員リレーマジに全員でやるのやめない? 半分に分けろよ! ……今更な叫びかな。
「ハァ……ハァ……ふぅ、良い汗をかいたよ」
「ユキちゃん爽やかー」
息を切らせてユキちゃん参上、何時までも爽やかだ。すると、ユキちゃんはハチマキを外し出す。
「はい、アサキ。私ので良いのかい?」
「うん、なくしたから」
嗚呼、そういうこと。ハチマキなしは駄目だもんね。アサ君はハチマキを借りたらしい、なくしたんだから仕方ないよ。
「――って、あ、見てよアサ君ユキちゃん、リョウちゃん走ってるよー」
ふと三組を見たらリョウちゃんが走っている。……リョウちゃんも速いなー。
「……せーの」
「「リョウちゃーん!!!!」」
「うるさいわよ其処!!」
せーのって言っただけなのに一緒に叫んでくれるユキちゃん大好き! そしてそんなくだらないことに走りながらツッコんでくれるリョウちゃんも大好きだ!!
「あ、アサ君が嫌いな訳じゃないからね!」
「何の話よ」
で。その後ろをモモちゃんが。……走る姿も予想通りだねこれ。
「アサキ君ごめんねー。リョウちゃんに抜かれちゃったよー」
「息すら乱れてないのに謝るのか君は」
モモちゃんがよく分からない。
ただいまの順位は黄が一番。リョウちゃん凄かったもんなぁ。ふっ、だがしかし!! 青組二番は絶対に抜いてやる!! ほぉら次はもう俺のば――
カラン
……………バトン落としちゃった☆
「憐れな兄よ、僕は先を行く」
とか何とか言ってアサ君行っちゃったし! 嗚呼畜生!!
「くぉら待てこの野郎ぉあ!!!!」
「誰が待つかばーか」
やべぇ、滅茶苦茶ムカついてきたようわぁ。
「運動で俺に勝てると思うなー!!」
「思ってねぇよたーこ!」
「リレーであれだけ叫んでる人初めて見たよ俺」
「私もさ」
「見世物よね、見世物」
「あはは~」
そんな会話がなされていたなんて知らないけど。
結局的に言えば、俺はアサ君には負けた。しかし、何時の間にやら一位だった黄の三組を抜いていたらしく二位に……! 何時抜いたんだ。
最終的結果も一位だったしね。……一組と同着だけど。
「楽しかったー!!」
「お疲れ様だね、皆~」
ニコニコなモモちゃんを横に、笑顔で終わった体育祭。本命のリレーは負けたけど、まーいいか!
「ユウヤ、今日夕飯何」
「アサキー、お前マジでユウヤに飯作らせてるんだな」
「いいだろ別に。僕出来ないんだから」
「俺が好きでやってるしね!」
「あ、ヒコクアサキ!」
おや、どこに行ってたかと思ったらリョウちゃん参上。しかもまともにアサ君を呼べる様になっている……!(※大事)
「ちょ、ちょっと来てくれない?」
……え? この展開って……? ――告白ですか!? 告白なんですか!?
「……」
本人無言なのは何なんだアサキ!!
「リョウコ、告白?」
「寝言は寝て言いなさいロクジョーカイリ」
……うん、リョウちゃん違うみたい。図星をつかれたらテンパるリョウちゃんだもん。
アサ君はリョウちゃんに連れられ行ってしまった。
「何なんだろ……?」
「「さぁ?」」
「ふふっ」
モモちゃんだけが笑ってた。