92+女の子同士の帰り道。
こんにちは~、最近出番が無かったんですが覚えてますか? モモです。
「はぁ……」
そして今、私の横でため息をついているのはお馴染みリョウちゃん。ふふー、リョウちゃん今度は何を悩んでるのかな~。
「ねぇリョウちゃん」
「んー?」
「リョウちゃん、今日ため息八回目だよ」
「そんな!? というか何数えてるのよ!?」
「リョウちゃんのため息だよー」
「いや、そう言う意味じゃなくて……」
リョウちゃんは呆れた様に私を見てるけど、でもリョウちゃん、最近ため息多いんだよ?
「悩み? それともアサキ君?」
「悩みにヒコクアサキは入らないのね!!」
リョウちゃんの中でアサキ君はもう独立してそうだし。
「……今回はそうじゃないわよ」
今回はって。――リョウちゃん、最近の悩みが9,99999(※以下略)割アサキ君関連なことを自覚しているの凄い。
「――進路のことで、ね」
「リョウちゃん……」
――そんなまともなことで悩んでたんだ……。
「モモ? さっき何考えた?」
「ごめんね出番少ないからでしゃばったの」
「まぁ良いわ」
で、進路、だよね。リョウちゃんって一体どんな学校に行くんだろう?
「私さ、何になりたいとか、少しも決めてないのよ、こう、抽象的というか。モモは決めてる?」
「んー、決めてないけど、私の学力じゃあ行けるところって限られてると思うんだよね~」
自慢じゃないけど、成績ならユウヤ君やロクジョー君にだって負けないよ! ……取り柄ないなぁ私。
「リョウちゃんはスポーツ推薦とかで行けないの?」
「ん、私バド続ける気はないわよ」
「え……あんなに強いのに!?」
「――私みたいなのは幾億人だって居るの。特別に強くないから、推薦なんて有り得ないわ」
リョウちゃんは何処か淋しそうにそう言えば、明るい笑顔で私を見た。……リョウちゃん可愛いなぁ……。
「私も、リョウちゃんみたいになりたいよ」
「え……?」
「リョウちゃんみたいに明るくて元気で頭良くて可愛くて――」
「待ちなさいモモ、頭良いなんて周りに比べたら並なんだからね? しかも可愛くないし」
「なのに気取らないで誰にでも優しくて、其れでいて繊細だけど少し素直になれなくて――」
「いやぁ!! 私なんか凄い過大評価されてるわ!!!!」
リョウちゃんが何か言ってるけどさっぱり入ってこないよ~。
それで、私が言いたいのは。
「――私は、そんなリョウちゃんが大好きなんだよ」
「……」
それだけは言えるんだよ? 自分に自信がなくたって、それだけは絶対だって言えるの。えへへ。
「――馬鹿ね」
リョウちゃんにはため息を付かれたけど。ごめんねリョウちゃん、私みたいな愚図で何やっても駄目駄目な私がそんなこと言って。ごめんね。ごめん――
「そんなの、こっちの台詞よ」
――え? それだけ言って視線を逸らしちゃったリョウちゃんの顔はきっと真っ赤っか。聞き間違いじゃなかったみたいだから、つい表情が緩んじゃったよ。
「リョウちゃん」
「何よ」
「私と友達になってくれてありがと~」
「……それも、こっちの台詞」
小学生の頃から友達少なかったからなぁ。ましてや親友なんて居なかったし。中学でリョウちゃんに会えて本当に嬉しかったんだよ? だから最近、アサキ君ばかりを追いかけるリョウちゃんを見ているのは何だか淋しいけど、元気なリョウちゃんを見れるのはとても嬉しいことなんだ。
「で、リョウちゃん」
「ん……?」
「何時言うの?」
「何をよ?」
「アサキ君に――」
「その後の台詞は聞かずもがな分かったから言わないで!!!!」
リョウちゃん凄い。アサキ君って単語だけで何言いたいのか分かるなんて。
「じゃあ言わないね。でもリョウちゃん、来年になったら違う高校なんだよ?」
「ま、未だ決まった訳じゃないでしょ? もしかしたら同じ学校かも……とか」
「それでも、だよ。リョウちゃん、マヒルお兄さん見たでしょ?」
「見たけど……それが?」
ふっふっふ、リョウちゃんったら。マヒルお兄さんを見て真実に気付かないとはー!! マヒルお兄さんはアサキ君のお兄さんなんだよ? ということは――
「高校生になったら、アサキ君はマヒルお兄さんみたいに格好良くなっちゃうかもしれないんだよ~!!」
ズドーン!!!!(※心の中の何かが破壊された音)
「な、な、何ですって!?」
しかし今のはリョウちゃん脳内。(※恐らく)
アサキ君が高校生になる+マヒルお兄さん格好良い=アサキ君格好良くなる!=言わずもがなモテる!=ライバル増量!! ――みたいなことが起こってるはず。
「ヒコクアサキは元々格好良いわよ!!」
――凄く恥ずかしいこと口走っちゃったよリョウちゃん!!!!
確かにアサキ君は周りの男子に比べたら格好良いけどさ、ほら、周り餓鬼っぽいの多いし……あれ、私口悪くなった……?
「ま、まぁそういうことなんだよリョウちゃん! リョウちゃんが中学の内に告白しちゃわないとなの」
「それもそう、ね! ――で、でもまだ早い気が――」
よし! と思ったけどまた弱気に!!
「じゃあ告白はまだいいよ~。せめてあれだよリョウちゃん、修学旅行の自由行動くらい一緒になれなくちゃ」
「自由行動!?」
無難所をついたはずだったのに、モーションをつけて驚かれてしまった。そ、そんなに衝撃大きいこと言ったっけ……?
「ハードル高くないかしら!? い、いや、でも修学旅行くらいには其れくらい仲良く――?」
リョウちゃんが何処かの世界にトリップしちゃったのでつまらなくなってしまいました。
でも、アサキ君やロクジョー君が一緒じゃないと、私クラスで喋れる人あまり居ないんだよな……一番話せるクラスの友達が男子って……。
と、リョウちゃんがトリップしたままお別れになってしまいました。
「リョウちゃんリョウちゃん、お別れお別れ」
「え!? あ、うん、……それじゃね!」
一瞬で帰ってきたリョウちゃんはきゃるん、と手を振ってくれました。うーん、可愛い。あれの何処が可愛くないのか私には分からないよ~。
――でもまぁ、アサキ君には分かって欲しいなぁ、そうすればきっとリョウちゃんはもっと可愛くなるから!!!!
……私、ほんとにおじさんみたい。