89+THE☆過剰反応。
「あの、アサキ君」
こんにちはアサキです、最近ずっとアサキです。……いや、何時でもアサキなんだけど。
昼休み、何故か教室に居座るサクライ先生と話していたらひょこりとアスカ君がやって来た。
「ん……?」
「ひとつ聞きたいことがあるんですけど……」
「何?」
「――今日朝からユウヤの元気が無い理由を知っていますか?」
そんなこったろうとは思ったけど見事そんなことだった。ユウヤが元気じゃない理由? そんなのひとつしかないよ。
「今日が三者面談だから」
そういえばあいつ今日一回も此方のクラスに来ていない。平和な理由がよく分かった。
「三者面談っつったってそんな根詰める理由ねぇだろうが……」
ユウヤの事情を知らないサクライ先生はため息をついてそう言った。流石にあの成績だもんなぁ、僕だったら絶望する。
「ははっ! 俺は来るの姉ちゃんだから構わねー」
カイトもそんなことを言っている。ああ、結局はウミさんが来ることになったんだ。でもウミさんなら良いだろう、怒るとかしなさそうだし。
だが僕はウミさんで思い出す、そういえばうち、両親が来れないの言ってなかった。
「先生、うち両親来れません」
「おう、――って待て、えらく急に言いやがるな」
「だからうちも兄貴でいいですか」
「兄貴幾……や、成人してるんだったな、なら構わな――マヒル君か?」
おや?
「サクライ先生、何でうちの兄貴知ってるんですか」
しかも立て続けに色々と知ってる風だったし。
「あー。アヤメの弟からの情報だ」
「アヤメ……の弟って?」
「あれ、ユウヤの知り合いだったらしいがアサキは知らねぇのか? アヤメに全然似てねェ不良っぽい銀髪だったらしいが」
「……」
うん、知らねぇ。銀髪? 誰か居たっけ……?(※この前会ったセツが銀髪だったのに金髪の先入観で気付かない)
――まぁ良いや。
「で、その兄貴でも大丈夫ですか」
「嗚呼、構わないぜ。歴とした保護者やってんのならな」
あのマヒルが保護者をやっているのかどうかはよく分からない。見た目は不良なんですが……三者面談くらいはちゃんとした格好で来ることを祈ろう。
「アヤメ先生にも伝えて下さい、あの状態のユウヤが伝えるか危ういんで」
「仕方ねぇな……」
サクライ先生はため息をつきながらも了承してくれた、良かった。
「アヤメ! 事件だ!!」
「何ですかイツキ先生、久しぶりに騒いでる様ですが」
「三者面談にヒコク兄が来るらしいぞ!!」
「え、ユウヤ?」
「ターコ、マヒル君の方だ」
「何ですって!?」
「何何? お姉さんも話に混ぜないとグレるぞっ!!!」
職員室で珍しく一年担任トリオが騒いでいたという噂が広まったのは本人達は知らない。