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88+そんな話以前に。


「何故空が青いのか」



 ――急過ぎる。久しぶりだこのノリ、僕と二人だけの時に急に言ってくるパターンは最近人が多かったから久しぶりだ、アサキですが何か。


「ねぇアサ君、空は何故青いんだい」


「光の加減」


「じゃあ何故海は青いんだい」


「空が青いから」


「それじゃあ星は何故光ってるんだい」


「恒星だから」


「恒星って何?」


「光ってんだよ」


「何で?」


「水素とヘリウムの核融合によって」


「ほー」


 面倒臭い。何なんだこの質問責めは。

 何を思ってるのか僕に様々な質問をしてくるこの馬鹿ことユウヤ。しかし何を目的か、なんて聞いても無駄なことを知っている、だって――こいつは何も考えてないんだから。



「――やっぱり理科って難しいね」



 と思ったけど、何か考えていたらしい。


「むーん」


「ユウヤ」


 だが。


「何ー?」


「それは理科じゃないだろ、地学じゃないか」


「むーん」


 駄目だ分かってねぇ。中学生なんだから理科でいいか。


「で、其れがどうしたんだよ」


「あ、うんあのね、俺は理系なのか文系なのか、と思いまして」


「……」


 どちらか選ぶ前にお前はどちらもどっこいどっこいの成績じゃないか……? 思い付いていても言わないでおこう。しかしひとつだけ言わせて貰おう。


「ユウヤ」


「何ー?」


「そんなこと考える暇があったら勉強しろ」


「はい」


 分かってくれた様だ。というか、即座に机に向かって行った。今やれとは言ってないけど……まぁ良いか。



「アサ君!!」


「何」


「ひとつ言わせて貰おう、――俺一人でまともに勉強出来ると思うなよ!?」


 よくねぇ、うぜぇ。


「威張るな」


「ふぁい」


 一人で勉強出来ないだと? 中学生が何を言う。中学生の時点でそんなんでお前、高校どうする気なんだ。


「高校、行けるのかな……」


「今のご時世、選ばなきゃ入れる、安心しろ」


「アサ君と同じとこがいいー」


「僕がそんな高いとこ行くかよ、安心しろ」


「え、行かないの……?」


 このままノリでいけると思ったが、そうは行かなかった。高いところになんて行きませんよ、何故かって?


「高いところなんて行ったらアンタ、七時間授業なんてなって帰るの遅くなるでしょうよ」


「ていたらくー」


 ぐさっ


「ぐふぁ!! この感覚久しぶり!! 角! 本の角で的確にっ!!!!」


「高いところ行ったって良いよ。お前と同じとこじゃなくなるけど」


 僕は別に一人だって構わないさ。なんかユウヤが行きたいって言ってるだけなんだから。


「いや!! 是非ていたらくでいてくれ!!」


「なんか複雑な言われよう」


「アサ君俺が居ないと絶ッ対根暗で終わるから!! 高校生活大事にしようよ!!」


「あれ、また複雑な言われようだぞ?」


 泣いていいか、これは泣いていいのか。


「でさ」


 話題変えやがった。


「ほんとのところ、アサ君ってどうするの?」


「ほんとのところって、……高校ならまだ決めてないけど」


「ふーん。今度の三者面談、未だ決めてなくていいよねー」


「未だ早い」


 高校なんざ後々決めりゃいいんだよ。あー学校の話だりィ。

 僕は立ち上がってユウヤを見る。


「ユウヤ、出掛けるぞ」


「え、何処にだよ」


「堅苦しい話をして疲れたから散歩に」


「あ、それじゃ夕飯の買い出し付き合ってよー」


「仕方ない」


 ユウヤは丁度良いと言わんばかりに続いて立ち上がった。僕が出掛けようと言ったんだから良いんだけど、さて。

 今日の夕飯は何だろう。




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