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81+帰って来ました。


 父さんの実家から帰って来ましたユウヤです。ただのGWなのに凄く長く感じたのは何でだろう?


「ね、何でかな」


「何がだよ」


 脳内だけで話していたのでそう言われちゃいました。


「お前はちゃんとテスト勉強しろ」


「そっくりそのままお返ししたいね」


 ふらふらとしていたら、何時の間にやらテスト前。死にたい気分がするんだけどまぁ頑張りますよ、ええ。

 しかし漫画を読みながらふてぶてしく同じくテスト前のアサ君に言われても――説得力皆無さ!


「僕は一夜漬けだからいいんだよ、お前は一夜じゃあ何も漬からない」


「漬からない!?」


 一夜漬けってそういう意味だったっけ!?


 此方に帰って来て直ぐ、アサ君は父さんに病院に連行されてました。打撲だったらしいです、良かった良かった。

 でも休みが終わって父さんも母さんもマヒル兄も居なくなっちゃって……やっぱつまらないなぁ……。


「夏休みはフルで帰って来てやるって三人共言ってたけどな」


「それはそれでどうかと思うんだけど」


 マヒル兄はともかく、両親は仕事して下さい。


「でもアサ君」


「何」


「双子で良かったよね」


「何が」


「毎日独りじゃないからだよ!」


 独りだなんてつまらないもの! 俺毎日帰って来て独りだったら死んじゃう!!


「ユウヤって兎だったんだな」


「違うよ、第一兎って淋しくても死なないらしいよ」


「詐欺だな」


 何がだよ。

 

 まぁ――漫画を読みながらもこちらを目を向けてくれるアサ君が居るからいいんだけどさ。昔みたいにこんなに仲良くなかったとしても、只其処に居てくれるのが嬉しいんだから。


「ね、アサ君は独りの方が好きでしょ」


「よく分かったな」


「そりゃ分かるよ」


 全身のオーラがそう言ってるもん。


「俺が居ない方が良かったとか思ってるだろー」


「……」


 え、無言の肯定? 素で淋しくなるから辞めようよそういうの……!!


「――困る」


 ――と思ったけど、言葉が返って来た。



「居ないと、飯に困る」



 自分の心配だったけど。結局其処なんだね、俺の立ち位置って。


「アサ君、ご飯くらい自分で頑張ろうとか思わない?」


「無理、刻むぞ」


「何を?」


「誰をの間違いだ」


「俺!?」


 畜生! 刻まれる!! これ以上言うのは止しておこう。







「ねぇユウヤ」


「んー?」


 少し集中して勉強してたら、珍しくあちらから声がかかってきた。ベットの上で漫画読んでるから、背後からの声。


「今日の夕飯何」


 結局飯かい。


「カレーかシチュー」


「カレー」


「よしきた」


 具は同じだからね。でもアサ君にずっと聞いてたらシチューの日ってなくなっちゃうんだけどな。俺はシチューの方が好きなんだけど。


「あ、そういえばカイト君来るんだっけ?」



「…………あぁ」


 その忘れてましたみたいな間は気付かなかったことにしとくね、カイト君の名誉の為にも。


「ウミさんが大学に泊まっちゃって飯がないからだろ」


「カイト君も実は大変な家庭なのかもねー」


「まぁな」


 カイト君の家の事情はよく知らないけど、ウミさんが居ない時は大体うちに来るからなぁ。

 両親はうち同様仕事なのかな? アサ君は知ってるみたいだけど、ちゃんと聞いたことがないから分からない。寧ろ聞ける内容じゃなかったら嫌だから聞かないんだけど。



 ガチャ



「おっ邪魔ー!!」


 あ、来た。


「何であいつは我が物顔でうちに来るのかね」


 下からした声に目敏く反応したアサ君は、ため息をつきながらも漫画を閉じた。うん、何だかんだなんだからね、アサ君は。


「アサキー? ユウヤー?」


「いらっしゃーい!」


 俺達は一階へと向かう。何があろうと楽しければいいよね。


 そんなことを思って、俺はやっぱりシチューにしちゃおうと悪巧んんだ。




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