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7+買い物に行こう。/中編


 ショッピングモール駐車場に到着。一人テンションがローなアサキです。


「さぁ行こー! 「おー!!」」


「待て、待て待て待て!」


 おー! ――じゃねぇよ二人して。何ノリ出してんだお前等は!


「何だいあー君、何か忘れ物?」


「やぁねぇ、ほら、お金だったらママが出すわよ?」


「ちっがう僕に非があるんじゃないって」


「じゃあ何よ~、アサちゃんったら……」


「たら……じゃない! 真顔で溜息着く前に先ず――ユウヤの格好見てみろ!!」


 僕は助走を付け、ずびしっと効果音が付く勢いでユウヤを指差した。


「何、何か変な格好してる?」



 不思議そうに言ってるけど、今の此の人



 ――只の女の子です。正確には只の女の子の格好です。



 ユウヤの私服、一見可笑しいところなんてないんだけれど――いや、それがおかしいんだけど――。シンプルな水色のスカートに黒のスパッツ、ジー生地のボーイッシュな上着とくればもう――本当にこいつ、兄貴だったっけ? とか思う。


「何も変じゃないわよユウちゃん、何時も通り可愛いわ~!」


「ありがとう母さん!」


 母さんにニッコリと笑いかけるユウヤ。……畜生、興味薄な僕でも普段に可愛いとか思っちゃったじゃないか、懺悔したい。つか今までツッコまなかった僕を褒めろ誰か!


「いや、可愛いとかじゃなくてさ! そろそろやめない、其の格好で出掛けるの」


「何故?」


「ホワイ?」


「いちいち英語を出すな兄よ――じゃなくて、だって僕等もう中学生だよ? 何時までもそんな格好してたらいつか良からぬ方向へ――」


 弟や息子の心配も露知らず、二人は声を揃えてこう言った。


「「似合うんだから良いよ」」


 ……泣いていいですか?



「そ・れ・に! 小さい時に女の子の格好をさせると健康に育つっていう習わしがあるからユウ君にはそうさせてあげてるのよ」


 僕等は既に中学生だと言った言葉が通じなかったようだ。


「其のお陰で今まで俺はインフルエンザにも掛からなかったじゃないか!」


 其れはお前が只単に馬鹿だからだ。というか三歳で其の古臭い慣わしやめたらしい僕だってインフルエンザにゃかかってないわ。というか風邪引く確率僕の方が低いだろうが。……つか其の格好で俺って言うな。


「てな訳で、早く行こうよアサくーん」


「今日は沢山本買ってあげるから……ねっ?」


「――良いでしょう」


 そうして僕等は母親運転の車から降りた。……もう一度言うけど、物に釣られた訳じゃないからな?


「でもユウヤ、何時も言ってるけど絶対ユウヤだって知り合いにバレるなよ」


「はーいはい、分かってますよー」


 学校の奴等だけにはバレたくない、変態兄貴が此処まで変態な事を。言ったら二度とノート見せてやらないからなと言ってあるので、ユウヤからバラする事は恐らくないだろうと思う――ユウヤにとっては一大事だからな――。第一、ユウヤの女装は公認なんてされてない、公認してんの三人だから! 僕は公認してないから両親とマヒルのみなんだからな、畜生!



 そして引きずられる様にして、僕等はショッピングモール内へと入った。



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