61+勉強会、出動。/午後の部
「さって、お腹も一杯になった訳だしなっ! ちゃっちゃと宿題終わらせよーぜ!」
カイトがそう叫びやがった。というかこいつ等、本当に宿題終わってない訳……?
「カイト、お前宿題此の前終わってなかったのかよ」
「おう」
「わざわざ家まで来たお前に教えてやったのに?」
「おう!」
「しねばいい」
僕の苦労を返せ、午後です、午後でもアサキです。当たり前じゃないか。
「私たちは後数学だけだよ~、ね、リョウちゃん?」
「そうね。モモと一緒にやってたから数学余らしてたわ」
ランとカトウはそう言うと、数学の冊子を取り出した。只今の状況を言うと、僕とユキが終わってて、カイトとユウヤが全然。
「あいつ等マジで消えればいいのに」
「アサキ、口から考えがポロリと漏れているよ?」
あ、やべ。
「酷いや酷いや! 俺だって終わらせたくなくてやってない訳じゃあないんだぞ!」
「俺様だってそうだぜ!」
「じゃあやれや」
「「教えてよ」」
此れが……殺意? ……くだらないことはさておき、仕方がないので教えてやろう。このまま帰ったら素で夜泣きつかれる可能性が高い。僕は寝不足で始業式に行くのは嫌だ。
「じゃ、理科やろう理科!」
「何処よ」
「こういうやつ」
……は? 何やらユウヤが右手で変な形を作っている。……何やってんの? ピースに親指足した感じ。
「なんか、ばーん! みたいな」
「は?」
「分かれ、分かるんだアサキ! こういうんだ!」
カイトまで何かやり出した。右手が可哀相だ、もう意味分からないんだが。
……嗚呼、あれか。
「あ、思い出したよ俺! 確かフラミン――」
「馬鹿野郎フレミングじゃボケ。初歩的なボケをかますな」
「あ、其れ其れ。フレミングだフレミング」
カイトは素で忘れてたらしく、ポン、と手を叩いて頷いた。なんだよフラミンゴって、マジで何なんだよ。
「んで、フラミンゴだかフレミングだか分からない其れを使ってやってるんだけど、ことごとく答えが間違ってるんだよー」
「俺も俺も」
「何でだよ、只の電流の問題じゃなくて?」
そういえばんな問題もあったっけな……何ひとつ当たってないしょぼい冊子を奪ってそれを見てみる。……本当に当たってなくて泣けてくるよ。
「――あ」
「「む」」
「……あー、お前等、間違ってる理由分かったぞ」
ガタガタッとバタバタッと騒ぐ二人、一瞬で理由が分かったのがそんなに凄いのかええ?
「お前等さ」
「「む」」
「フレミングの法則さ」
「「うん」」
「右手でやってるからだろ」
「「……あー!!!!」」
はい解決。
「此れフレミング左手の法則だった!」
「通りで二択で外す訳だな、はっはー!」
「分かったならとっととやれ」
「「おう!」」
……はぁ。
まぁ、この後色々と続くと思うが、僕は退場したいな。ユキに任せよう。
――家に帰ったってどうせ教えることになるんだろうからな。明日から学校だし。
「「勿論さぁ!」」
「お前等、自分で勉強出来る様になったら……? つか心を読むなよ」