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54+面倒な日の面倒なこと。


「もう少しで……春休みだな」


「だなー」


「なのに何で土曜登校なんだろうな」


「だなー」


 アサキです。ごめんなさい。……いや、何で謝ってんだ僕。違う、違うんだ、空気に呑まれただけなんだ。

 土曜なのに学校に駆り出された僕は、のんびりと席について隣の席のカイトと会話をしている……のは良いんだが――何だかさっきからカイトがニコニコしてる。


「……カイト」


「んー?」


 ニコニコニコニコニコニコニコニコニコニ(※エンドレス)


 物凄くうっぜぇ。

 なんでこっち見てニコニコニコニコしてんだよ、何かしたのか僕が、何でこんなにニコニコしてるんだよ、分からん、僕には分からない……!!


 つか、ニコニコしてるのは数日前からなんだけどさ、本屋付き合って貰った時からなんっかニコニコしてたんだけどさ。

 何故ですかナゼデスカなぜですか……? 本人に聞こうにも――


「……何で笑ってんの」


「え? そりゃあもう……何でもないって~、な・い・しょ☆」


 ――こんなだし。何でもないのに内緒なんだ、あるんじゃん、何かあるんじゃん何なんだ……!

 外見クールを装う僕の心情なんか気付く訳もないカイトは、とりあえず放っておく事にした。……訳分かんね。


「アサキ、ちょっと良いかい?」


「ん」


 カイトについてのふんぎりがついた所で、ユキが現れた。此方は何時だって一物ありそうな笑顔だから気にしない。……何やら手帳を持っているな……。


「春休みなんだが――勉強会を開かないかい?」


「勉強会?」


 つい、素っ頓狂な声を上げてしまった。勉強会……勉強会…………勉強会?


「休み明けにテストがあるのは知っているだろう? 実は私、引っ越しで幾分時間を裂かれてしまって、単元別にて出来ない場所があるのだよ。すまないがアサキ、私の家でご教授願えないだろうか……?」


「……」


「……? アサキ、返事をくれやしないかい……? 迷惑なのは百も承知さ、断られても仕方ないとは思っているが――」


 ガタンッ!


「――是非やろう!!」


 立ち上がってユキの手を掴んだ。


「あ、アサキ、良き返事を貰えた事は嬉しいのだが、アサキがそんなに嬉しそうに承諾してくれるとは思わなかったよ……」


「いや! 勉強が嬉しい訳じゃないさ! 唯――真面目に勉強をやってくれそうな人に会えて嬉しいだけだ!!」


 ユキは本当に「何言ってんのコイツ?」的視線で僕を見ているが構いません。だって知ってる? 世の中にはさ――教えても教えてもなーんにも理解してくれない人達だって……居るんだから……。


「んー? アサキ、俺の顔に何かついてる?」


「嗚呼、お前の顔には笑顔と嫌悪感を煽る何かがへばり付いてる」


「褒めんなよー!」


 褒めてねぇよ。

 カイトの顔は未だ笑顔だ。マジ直んねーかな、アレ。


「という訳で、是非皆も誘ってやろうじゃないか! 交流を深める意も込めて、お泊り会にしようと思うんだよ!」


「良いねー! 俺様大賛成!」


 ありゃ当分直らな――直った。何時の間にか会話に参加してやがった此の野郎。


「春休みの宿題もこれで終わらせられるしな! よーし、誰誘う誰誘う!?」


しかも当たり前にノリノリってどうよ。え、誰がお前誘うって言ったよ。まぁ結果そうなるんだろうから反論しても無駄なんだろうが。


「とりあえず勿論ユウヤを誘おうじゃないか。至極楽しくなりそうだからね」


「や、ユキ、良いのか? あいつ来たらマジ五月蝿いよ……? つーか、絶対に勉強にならない」


何処だろうが何だろうが騒ぐぞ……? ユキの家だからって問答無用に騒ぐだろうし……。


「平気さ、自慢じゃないが、我が家は広いのだよ。後二~三人は誘えそうな所だが……どうだい?」


 ユキ、お前は勇者だったんだな……ユウヤを家に誘うなんて……。僕はそんなこんなで誰が良いかと考えてみた。

 結果。


「僕にはそんな仲良い友達とか居ないんだけど」


「嗚呼そう――」


「アサキ君にとって、私って仲良い友達じゃなかったんだね……」


 居ないということになりました。

 ……ってうわぁ、いきなりランが現れた。


「そうだよね、私達まだ知り合って間もないものね」


「え、いや」


「厚かましいよね仲良いだなんて、ごめんなさい、ほんっとにごめんなさい」


「何を言っているんだいモモ、私とモモはとっくに親友だから安心したまえ」


「うん、ありがとうユキ君」


「だあっとれユキ」


 ズーン、という完璧落ち込みモードのラン。何という気配の無さ、何時の間にやらカイトの横に現れた。


「じゃ、モモも来ねぇ?」


「何が?」


 聞いてないのかい。落ち込んでたのに聞いてないのかい。カイトが折角そう言って誘ったのに何という笑顔で言うのだろうか。


「ユキの家で春休みの勉強会。今ならアサキの宿題写し放題!!」


「てめぇ」


「行くよ! 宿題写し放題なんて嬉しいな!」


「お前も乗るな」


 絶対見せないからな、自分等でやれよコラ。ユキが満足そうに頷いているから良いんだけど、……ランが来るってことは……


「カトウも呼ぶ?」


 ズザザッ!!


 ――何故か全面的に引かれた。え、何?


「あ、あ、アサキからリョウコを呼ぼうだなんてそんな……!! モモ、リョウコに言わなくていいのか!?」


「うん! リョウちゃんに言わないと!! リョウちゃーん!」


「ふむ、良い傾向みたいだね」


 三者三様の反応をされ――僕は放っておくことにした。授業始まるし。


「ま、それはさておき。面子はアサキ達に任せるからね、好きに呼んでくれたまえ」


 ユキの言葉にて一組集団解散。とりあえず勉強会の事は頭に入れたからどうにかなるだろうな。


 今までやった勉強会の中で一番充実したものになりそうだ。一人でもやる気のある奴が居れば少しは違うだろうし、……さて、やるとなったらスパルタでいくから覚悟しとけな?



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