51+未来について考えた。
「つーかさ、絶対にあれはチートだろ」
「そりゃあだって……ねぇ? でも俺から言わせれば、アサ君がやるキャラは皆チートだよ」
強いもん。
こんにちはー、ユウヤです。今日は休みなので昼過ぎてアサ君と買い出しに行って来ました。帰りだけど話題は何故かゲームの強いキャラについて。チート的強さのキャラって居るよね……アサ君はもう、何でも強いけど。
家に着くと玄関のドアを開ける。……あれ、靴が増えてらぁ。……そういや鍵閉めたはずなんだけど……?
「「お帰りー」」
ひょこ。
っと現れたのは何とマヒル兄と其の友達のせっちー。
「……何」
「相変わらず冷たい反応ありがとうアサキ、大学は休みになったから帰って来たんだ」
「で、そっちは」
「そっち!? 俺そっち!?」
アサ君は此の前のお酒騒動(※結局後から内容はマヒル兄に聞きました)以来せっちーへの対応が酷い。……仕方ないけど。
「セツは身寄りがないから連れて来たんだ」
身寄りの使い方が違うよ。……セツさんほぼ居候らしいもんね。最近マジ自宅に帰らないらしいから。
「……家では飼えないよ、マヒル」
「いや、部屋で飼うからさ……ダメ……?」
「……ん? いや、待て待て待て待て。アサキ君もアサキ君だが、友達を部屋で飼うとかナチュラルに何言っちゃってんのよマッヒー!? ちょっとちょっと! ユウヤ君、君の兄弟はなんて鬼畜なんだ!」
「マヒル兄とアサ君だから、仕方ないってー」
しかも二人して真顔だから怖いよねぇ。俺も困らされるよあっははは。
まぁそんな方々は放っておいてっと。……普段は此のキャラ位置はアサ君の役目なんだけどな。
少ししてから四人でソファに座り、お茶を入れて団欒。うーむ、やっぱりマヒル兄が淹れたお茶は美味い。
「大学生は良いねぇ……。俺達なんか未だ二週間あるのに……」
「ははっ、頑張れ中学生。来年は受験生だな」
ほのぼのとした空気に受験なんて言葉を持ってこないで欲しいね、せっちー。
「アサキもユウヤも、未だ志望校とかは決まってないんだろ?」
「うん」
「勿論だとも」
受験生か……一年後、俺は一体何処の高校に入る事になってるんだろうなぁ……。今の調子じゃ、アサ君が志望校落とさないと一緒にはいけないだろうし……アスカは……あの身体で高校行けるのかな?
「高校行きたくないよ俺」
「お前にしちゃあいきなりネガティヴな発言だな」
むー、と言う俺の発言に反応したのは他でもないマヒル兄。目の前のアサ君は、せっちーに絡まれて煩わしそうだ。
「だって友達と別れちゃうんでしょ? 俺そんなの絶対嫌だよー」
「まぁなぁ? 下手したら――しなくても、お前の場合アサキとも別れる事になるだろ」
「嫌だ!!」
叫んでみても虚しいだけ。だってマヒル以外聞いてないんだもん……!
「まぁ聞けや弟。まず、今のお前の頭を1としよう」
「うん」
「アサキの頭はどれくらい上だと思う?」
「100」
「正解」
「正解!? 俺そんなに格下だったの!?」
「お前自分で言ったんじゃないかよ」
「ボケに決まってんじゃんかよぅ。俺はボケなんだからツッコミにさせんでよぅ」
久しぶりにマヒル兄と話すけど何だろう此の悲しさ。ツッコミって大変なんだな……アサ君お疲れ様。
「つー訳で話戻すぞ? アサキと同じ高校に行きたいなら、お前にゃせめて50の頭が必要という訳だ」
「いきなり50倍の頭になれと」
「そう、未だ一年ある……なんて言ってっとお前死ぬぜ?」
「んー……勉強、か……」
馬鹿な自覚はあるけど、危ない自覚がないから無理なんだよなぁ。
どーしましょ。
「……もっと分かりやすく言ってやんよ。俺が見た感じのお前等の偏差値はアサキが60前後でお前が45くらいだ」
「落差あり過ぎじゃないッスか」
やばい、少し実感が沸いて来た……!! 数字って恐ろしい!
まさかアサ君と俺の間に13の差があるとは……!!
「そう、お前等には14の差がある」
……引き算をしくるとは思わなかった。
「しかもだ。今やる気皆無なアサキがもし、やる気出したとしたら?」
「……あれ? 突き放されて終わるんじゃね……?」
「正解」
其処も正解なんだ……!! 俺どうすりゃ良いんだろう!
しかし、焦る俺に意外や意外、
「――考え抜けよ」
「……?」
「お前が許せる選択肢に巡り会えるまで、考え抜け。無論、選択肢を作るのは――お前自身だけどな?」
「何だよ……セツの癖して良い事言うじゃねぇか」
せっちーがそんなことを言った。なーんてな、なんて後に付けて誤魔化してマヒル兄と絡んでるせっちーだけど、……うん、今のは格好良かったかも。
「……ま、頑張るのは今からでも遅くないよ、ユウヤ」
「……だね」
俺とアサ君は、そうやって笑った。