5+栄養摂取も適度にいこう。
「ただいまー」
「お帰りー。ご飯にする? お風呂にするー? それともわ・た・し?」
「じゃあユウヤ」
「うわおツッコミ放棄はいけないと思う。俺びっくりしちゃうよ」
「たまにはツッコミもボケたいよ」
こんにちは、最近自分がボケなんだがツッコミなんだか分からないアサキです、なんか僕ボケなんじゃないかな。
「んであー君、遅いお帰りね」
「本屋さん潰す勢いで立ち読みしてきた」
「どんな勢いだよ」
潰す勢いで本読み漁ってきただけだ。つか未だ六時じゃないか。玄関で話すのも何なのでリビングのソファへとダーイブ。
「今日ご飯何」
「カロリー」
「カロリーのみかよ」
「メイト」
「メイト? ……嗚呼、……嫌だよ何が悲しくてカロリーメイトが夕飯だよ」
「よし、ツッコミ復活。てな訳でご飯にしましょー」
人のツッコミを復活させる為にボケをかますなボケ野郎。
「んで夕飯は」
「カロリーメイト」
「……え、夕飯マジで其れ?」
毎日両親共に仕事で居ないので、飯作りは毎日じゃんけんである。要するに毎日ユウヤです……不公平? 別にユウヤが毎回チョキ出す事を教えてあげないなんて事はないよはっはっは。
「うん、安かった」
「否、安かったじゃねぇよ、何故カロリーメイトだよ」
「チョコ味だよ?」
「やった……――じゃねぇよ。飯だぞ、栄養付けようよ」
「エネルギー補充だって聞いたもん」
そしてあからさまにポイッと雑にカロリーメイトチョコ味を机に出したユウヤ。……僕に死ねと?
「栄養はつけられるのに……」
「まぁそうだけど。夕飯カロリーメイトの人、忙しくない人じゃ何処探しても居ないと思うんだが」
しょぼんとしながらカロリーメイトの箱をつっつく食事当番。……っなろう、落ち込みたいのはこっちだっつの。何故夕飯で栄養摂取に専念だ。
「ユウヤ、何でこうなったか聞いてやるから話せ」
「食べたかったから」
「……」
「待って、ちゃんと話すから何か手頃な殴る物探すのやめて」
バレたか。
すると何やら一枚の紙を取り出したユウヤは、それを僕に差し出した。
「母さんからよ」
「ふぅん…………――あのクソ女が……」
「あう」
受け取った紙をぐしゃりと丸めてユウヤの顔面へとぶちあてた。完璧なる八つ当たりだが知った事か。
《今週の生活費、ユウ君に渡すの忘れちゃったから今日は適当に頑張って!》
なんて書かれた紙を見せられたら、僕はキレるさ。
「此れ何処で拾った紙だ」
「只今カロリーメイトがある場所です」
昼間に此れを家に置いて行ったという事くらい分かる。要するにあの母親は僕等を餓死させたいんだな。――帰って来たなら金置いていけ!!
……落ちた紙を見た。裏に何か書いてあった。
《P.S. アサちゃん、ユウ君を怒っちゃダメだぞ☆》
うるせぇよ、俺はあんたにキレてるよ。
《P.S.つー 明日はお母さん休みなので、ご飯作るからね!》
知らんわ。今日で餓死したらそのイベントすら無に還るだろうが。つか“つー”とかP.S.に付けんなよ、せめて数字にしろや。
《P.S.すりー 本当にごめんにゃー =^^=》
「――――うるせぇえええええええええ!!!!!!!!」
「ちょ、アサ君!?」
母親マジうぜぇよ!! 何なんだよ最後のP.S.は!!
いらねぇ、ぜってぇいらねぇよアレは!!!!
「ま、そゆ事でカロリーメイトなんさ」
「……だからって何故チョイスがカロリーメイトなんだよ馬鹿兄貴……!!」
僕は落胆に怒りを重ねていると、箱から一袋出してユウヤがカロリーメイトを食べ出した。
……何かもう疲れたからそれで良いや……。怒るのも疲れたから僕も食べて寝りゃ良いや。と思いながらもう一度だけ、現況の元凶――あ、駄洒落っぽい――を見る。
――ん? まだP.S.が続いてる……?
《P.S.ふぉー カロリーメイトくらい買うお金ならまだ残ってるかな?(笑)》
結局お前の入れ知恵の所為かよ!!!!!!