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491+本当に何もしていない話。



 アサキだけど最初にひとつ言わせてくれ。


「大寒って何だっけ」


 毎日寒過ぎてもう生きている心地がしない、あと少し学校行かなきゃだけどもう寒過ぎる馬鹿じゃないの寒い死ぬ寒い。僕は二度と炬燵から出ないんだからな。


「だいかんって何だよ」


「お前は馬鹿じゃないの?」


「いきなり?」


 人ん家のソファを陣取るカイトは最近休みになる度飽きもせずうちに遊びに来る訳だが、良く考えると僕が家から出たがらないからうちに来るしか無いだけなのだと気付いたのも最近だった。……いやだからってお前及びユキら辺は非常に良くうちに来る気がする、暇なんだな。


「……そういえば今日ユキは?」


「あー、学校行かなきゃってんで、」


 嗚呼、来ないのか。


「――夕方に来る」


「来るのかよ」


 夕方って最早泊まる気満々じゃねぇか。


「で、お前だいかんって何」


「お得意のPCが空いてるんで自分で調べろよ」


「じゃあ良いわ」


 この体たらくが。(※人のこと言えない)

 今うちにはユウヤもマヒルも居ないから僕とカイトしか居ない、ユウヤは朝からアスカ君の家で勉強してる――と思う、してたら……良いな、くらいの確率で――し、マヒルも朝っぱらからバイトだし。休みなんだから休みらしく家の炬燵に引き籠ればいいのに。





「――あん? なんたら宮?」


「……結局調べてんのか」


 同じリビングに居るのに一切の会話無しで寛ぐだけ寛いで居たら(※僕が)、PCで、という訳では無かったがカイトが大寒について調べ出したらしい、携帯で。


「……嗚呼、宝瓶宮ほうへいきゅうって読むのなコレ。確かに漫画で言ってたわ」


「どう考えても某マガ●ンの漫画だろそれ」


「おーよ、……ってんなこたぁ良いんだよ。つーかアサキとユウヤは水瓶座だよな、この宝瓶宮ってのは水瓶座なん?」


 器用にも寝転がったままカチカチと携帯を弄っているカイトに視線をやるでもなく、僕はとりあえず自分の星座を思い出す。まぁ、一月だから山羊か水瓶だが。


「確か」


「大寒とやらを調べたらそこの記述にだな」


「大寒が丁度水瓶座の始まり辺りからだからとかじゃ無かったっけ」


「ほー……水瓶座って何時からだし」


「さぁ……でも大寒はもう過ぎたって。そして大寒が過ぎたのにまだ寒波は続いてるんだって、もう大寒は過ぎたのに」


「大寒に対して根に持ち過ぎなんだけどこの人」


 そりゃ持つだろう大寒ふざけんな寒いんだよ大寒……! ……ちなみに大寒から立春までの間が寒さの内って言われる訳で寒いのはある意味当たり前だけど、そういう普通の常識とか至極どうでも良いので僕のことは放っておいて下さいもう寒い嫌だ。


「つーか、俺ずっと気になってたことがあんだよ」


「へぇ、大変だね」


「おいそこの首だけ男、少しくらいこっち向けそして興味を持てや」


 炬燵の中で横になりつつ大寒への文句を言い連ねている中、ふとそんなことを言われて興味が持てると思ったら大間違いだというものだ。けれど仕方が無いのでほぼ俯せだった状況から少しだけ這い出してそちらを見てやれば、カイトは起き上がって――



「何で冬なのに立春なんだよ」



 ――高校生なことを疑わせる台詞を吐きやがった。


「立つ春だっつっても未だ二月じゃねーか、春なんて全然――」


「留年しろ」


「は!?」


 もう聞くのも馬鹿馬鹿しくなったので炬燵に戻ることにした、僕もう此処に住むから話し掛けないで下さい。


「こら! 潜んな! 炬燵から出てこい!!」


「もう良い馬鹿の相手するのも冬は辛いまた夏にして下さい」


「幾ら潜れるくらいちっさいからってなぁ!」


「小さくはありません確かに身長は平均と比べて低いかも知れませんが小さくはありません」


「違い分からない上に敬語やめお前」



 くだらない言葉の攻防をしている内に若干暑くなってきたから仕方なく出る僕、蜜柑が食べたかったという理由が半割をしめているのは秘密だが。





「別に、春だから立春っていう訳じゃないっての」


「あん? そうなんか?」


「お前、小春日和が何時吹く風か知ってんの」


「そりゃ春だろ」


「じゃあそれで良いや。……立春とか大寒ってのは太陽が黄道の何処にあるかで付けられた名前の筈だよ、今は手紙の季語とかでも使われるみたいだけど」


「成程分からん」


「第一九州の方のが早く春が来る……桜の開花とかそういう意味でだけど、のに、春がこの日から、とかなる訳ないだろ」


「それはそうだな……あ、じゃあ春分の日って何よ」


「同じ。……いや、違う、春分は十二支節気だけど春分の日は祝日」


「……Pardon?(訳:もう一回言って下さい)」


「もう面倒だからウィ●ペディアで見ろや」


 最後の英語にイラッと来たので僕はまた炬燵に戻った、潜っては無いけども。蜜柑を食い終えたというのが一番の理由だとは言わない。


「第一旧暦じゃズレるのも当たり前だろ」


「俺は旧暦など知らん、何故なら今を生きているのだから!」


「歴ゲー全部没収な」


「いやそれとこれとは話が別だろ!?」


 そんなことを抜かす野郎が歴史の偉人達の雄姿を拝むなど言語道断だっての。せいぜい過去の出来事を気にせず生きていけお前のようなものは。









「ところでよ、」


「何」


「……これ、何する時間?」


「……ユキが来るまで、ぐっだぐっだな感じで過ごす時間」


「嗚呼そう」


 呆れた様にあっさり返事を返されたので、このままずっとぐだぐだしていてやろうと心に決めた僕だった。

 ……前も言った覚えあるけど、久し振りに言おう。――オチなど無い。




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