486+あなたの好きな季節は?
※会話文だけです
《三年三組》
「――やっぱり夏っす!」
「ええ、テナは春が良いよお」
「ゼン君は冬かなー」
「私もシギに同じく夏だな」
「わたしは冬」
「お、シキちゃんゼン君とおんなじだね☆」
「……他意は無い」
「わざわざそう言われると寂しくなるよ」
「ちょっとちょっとお! テナだけ仲間外れだよお! 酷い!」
「好きな季節に仲間外れも何もないだろう」
「ミノルちゃんそんなクールに言ってあげなさんな」
「そうっすよテナさん、クラスで一人ぼっち喰らったって訳じゃないんすから……(※一人四組)」
(未だ引き摺ってたのかシギ)
「仲間探しに行こお!!」
「テナ、何処に行く気だ……?」
「勿論一組! あー君とリョウコに聞きに行くんだからあ! ほらほら皆行くよお?」
「え、俺達も行くの?」
「アサキ君達に会いに行きましょう!」
「あははっ、何でシギがノリノリ?」
「不思議、わたしはパス」
「私は週番日誌を書かなくてはならない」
「ミノちゃんはともかくシキは理由無し!? シキのばかあ!」
「無駄な労力は使いたくないの」
「一教室挟んだ隣行くだけだよね?」
《三年一組》
「私は夏かしら……?」
「断然夏だぜ!」
「夏」
「オール夏とか」
「ええ!? あー君まで夏なのお!?」
「好きというか……単純に寒いのが嫌い」
「嗚呼、道理でストーブの前から動かない訳だ」
「遠くないっすか!? アサキ君他のお二人との距離遠くないっすか!?」
「? 定位置だよな?」
「ええ、何時もアイツはあそこよ」
「麻痺してる、完全に麻痺してるからねカイ君もリョウコちゃんも」
「ほらあー君、テナの膝掛け貸してあげるからこっちおいでえ」
「膝掛けなどで動く僕だと思ったら大間違いだ!」
「アサキ君の声を張るタイミングが相変わらず分からないっす」
「今だけ聞こう、カトウちゃんアレの何処が良いの」
「我を保ってるところかしら、今は」
「リョウコお前強くなったよな、マジで。昔だったら洩れなく取り乱してただろうに」
「五月蠅いわねロクジョーカイリ」
「っていうかあ、春の方が絶対良いよお、桜とか可愛いもーん」
「春はー……」
「何い? カイちゃん文句あるのお?」
「いや、まぁ、文句は無ぇけどよ……嫌いなのは俺っていうか、」
「……」
「何でも無ぇわ、(アサキは知らん振りみたいだしな)」
「でもあっ君、寒いのが嫌いなら秋とかでも良くない?」
「夏は休みが長い」
「休みの影響かい」
「えっ、それ以外に何かあんのか?」
「カイ君もかい」
「あははっ、ゼン君それ駄洒落みたいっすね!」
「あっはっはシギは黙っとけ?」
「もうっ、次二組行くよお!!」
「未だ諦めないんすか?」
「春って言ってくれる人が現れるまでテナ諦めない!」
「それって誘導尋問の類じゃないかしら」
「何も言うなリョウコ」
「春って何だか万年二番のイメージがあるのよね」
「何も言うなリョウコ」
《三年二組》
「俺? 俺は夏かな!」
「俺は春ー」
「はっ君愛してるう!!!!」
「えー、何がー?」
「経緯を話すと長……くは無いけど、とりあえず愛されとけはっ君」
「ねぇちょっと、俺無視? 俺無視されちゃうと泣いちゃうよ?」
「ゆー君の夏っていうのはもう聞き飽きたから良いのお」
「飽きた!? 飽きたって何!?」
「一組に行ったら皆さん夏って答えたんすよ」
「嗚呼、アサ君とカイ君は夏休みがあるからでしょ?」
「おお! 流石はお兄さんであり仲良しさんっす!」
「いや、だって俺もだし」
「本当に期待を裏切らないよね君達は」
「もう良い、テナははっ君と共に生きる」
「あははー、訳分かんないけどどうしてそうなったしー」
「そんなに春好きが嬉しかったんすね、テナさん」
「皆して夏って言ってさあ、夏なんて無くなっちゃええ!」
「じゃああれだね、テナちゃんは夏休み無しだね」
「それは勘弁です生徒会長様」
「テナちゃんあまりの衝撃に敬語になってるよ!」
「て、テナだって休みたいもん!!」
「超正直ー」
「冬が寒いから嫌いって言ってるアサキ君だって冬休み無しって言ったら同じこと言うと思いますよ」
「休みの為に生きてるみたいな子だもんねあっ君」
「でも嫌いならなくなったって困らないじゃん?」
「うわぁ、ゼン君が悪い顔してるっす」
「イケメンがやると破壊力抜群だよねー滅べばいいのにー」
「地味に酷いよはっ君」
「駄目駄目! 学生の本分は休むことなんだからあ!」
「うん、学生の本分は勉強だぞ、テナちゃん?」
「何はともあれ、仲間が見つかって良かったっすねテナさん」
「うん、そうだねえ」
《三年三組》
「なぁシキ、私が思うに、春よりも誰にも好きと言われなかった秋の方が可哀相な気がだな」
「ミノルちゃん、それを言ったらお終い」
作者は秋好きですよ、暑いも寒いも苦手です。