479+二組の二人。
ユウヤでっす! 昨日はハロウィンだったから家でトリックオアトリート! って言ったら、
『トリックで』
と返されてどうしようか迷ったよ! アサ君は買ったばかりのゲームに夢中なようだ。
「うぃーうぃっしゅあめりくりすます」
そして学校に行ったら更に凄く気の早い人にご対面した、ハロウィン過ぎたらの切り替えの早さだよね。
「おはようハク君!」
「あ、おっはよーユウヤ、トリック……バットトリート」
「バット!?」
すっかりもうクリスマス気分なんだと思ってたけど違うみたい、そしてバットって。
「悪戯します、ですがお菓子は下さい」
「とんだM体質にも程があるよ!」
っていうかハロウィン昨日だし! ハク君のこのワンテンポ遅いユッルーい感じ嫌いじゃないけど!!
「まーまー、落ち着きなよユウヤー」
「ボケ倒したのハク君だけどね!!」
俺はツッコミじゃないんだからツッコませないで欲しいよ全く……ツッコミは見事に二組以外に消えたからなぁ……。
「ユウヤー」
「んー?」
皆おんなじクラスだったら良かったのに、なんて無謀極まりないことを考えて、あれだけ五月蝿いのが揃ったら大変だから(※自分込み)駄目だなと考え直していたら。
「秋は眠いねー」
ハク君は机にくったりしながらそんなことを呟いた。まぁ、衣替えの季節で制服も衣替わったし、あったかいからそうかもね。
「クラスで寝てるとねー、何時の間にか膝掛けっぽいものが沢山掛けられてるからあったかいよー」
「うん、それ見たことある」
さっきからハク君が俺の上を行くんだけど何でかな、っていうかその膝掛けクラスの女の子が気ぃ遣って掛けてくれてるんだよね。女の子寒くないの! ハク君は放っといて良いから膝掛けは自分に掛けてて良いのよ!
「ハク君、冬になったら冬眠しそう……っていうか授業何時も寝てる気がするけど成績って……」
もう半年クラスメイトやってるけど、そういえばハク君の成績とか知らないなぁ。テストの時は俺が自分の点数のことで打ち拉がれてるから。
「成績ー? あんま見ないから分からない」
「見ようよ!! この前の中間は!?」
つい最近あったテストの点数くらい覚えてるよね!? 何故か俺が必死になってしまいつつハク君に問い詰める。しかしまぁ前の席に座ってるのに一向に目が合わないのってある意味凄いよね、少しは起き上がってくれても良いのにね。
「えーっと……七十点?」
あ、割と普通。
「――理数合わせて」
違った低い。
「ちょっ、ハク君それ俺より低くない!?」
「大丈夫だよー、数学が五十点代なだけだからー」
「あ、そうな――理科は!?」
開始五分で寝ちゃった、と楽しげに語るハク君。けれどその後むくりと起き上がって、真剣な眼差しで俺を見た。
「ユウヤ、君は気付いていない」
「え……何に……?」
「理科は二教科あるよ」
「…………へ?」
た、確かに化学と生物あるけど……?
「要するに――理科は合計十点くらいさ」
「ハクくーん!!!!」
「あはははは」
本当大丈夫なのこの人!! 二教科一桁だよ!! 俺より酷いよ!!
「まぁでも期末頑張れば大丈夫だよー、他の教科は割と良かったしー」
「ち、ちなみに何点……?」
「んーと、確か――」
他の教科ってことは文系教科ってことだよね、よーし俺もう何言われても驚かない。絶対驚かないんだからな!
「国社英の計四科で、390点くらいだったかな」
「……えーと、」
……だから、ということは。
「ええええええええ!!!!」
文系! ハク君メッチャ文系! 何だってんだよぉ!! これで驚くなって方が無理だろばかやろぉ!!
「あはははは」
「呑気に笑ってるけどさぁ……」
「まぁ成績なんて良いじゃーん、とりあえず眠いから寝ようよー」
「……うん、そうだねー、ハク君はハク君だもんね」
「はーい皆ー、朝のホームルーム始めるわよ〜」
丁度ほのちゃんも来たし――正直何も解決出来てないと言うか釈然としてないんだけど――、とりあえずは気にしないでおくことにしようかな……ハク君は再び、夢の中へと旅立っちゃったみたいだし。