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472+雨風の強い日。


 雨が降ってるアサキです、別に僕は雨降ってねぇけど。

 雨だから家に引き籠っていようと思ったのにそうは問屋が卸させてくれないカイトとユキがびしょ濡れになって遊びに来た。こいつら馬鹿じゃないの。生憎そんな馬鹿二人と同類であるうちの兄貴も出掛けてしまってるので仕方なく僕がタオルとか出してやる羽目になったんだけど。


「いやぁ、雨と聞いてはいたのだが、こうもあっさり雨が降るとはね!」


「清々しい顔してないでとっとと拭けよ」


「アサキー! ひと狩りいこうぜ!」


「良いから拭けって」


 二人にタオルを投げつけておいて。僕も大概自分が濡れてもタオルとか使わないけど(その代わりユウヤかマヒルが忙しなくやって来る)、これを見るとちょっとくらい自分に気を遣うべきかと考え直した。これは見ていられない、っていうかびしょ濡れではしゃぐな。



 とりあえず二人をそれなりにさせてから――それなりって何だとか言うな――。


「で、何しに来たの」


「だからひと狩――」


「黙れ」


「んだと」


「夏休みは私の予定が忙しくてあまり会うことが出来なかったものでね! カイリに会いに行ったのは良いが、そうなるとやはりアサキの顔も見たくなるというもの……という訳さ!」


 相変わらずどういう訳なのかさっぱりだが、ただただ遊びに来ただけの様子。


「ユキは私立だし、何か講習? とかも多かったんだろ?」


「うむ、その通りさ。アサキとは数度顔を合わせることが出来たが、カイリとはどうも予定が合わなくてね……講習などより大切なものを大事に出来ないこのもどかしさと言ったら!」


「その気持ちだけで充分だっての、第一今日久し振りに会えたじゃねぇか」


「そうかい? それならば良かったよ!」


「勉強大変なんだね」


「そうでもないさ、アサキのレベルなら容易に追い付けるだろうね」


「俺は?」


「……英語だけなら、」


「ギリセウト」


「やっぱ俺には英語が――え、セウトって何?」


 私立といってもユキが行った学校はそこまでレベルの高いところでは……あったな、いやあった、確か普通に名の知れた学校に行きやがったんだこいつ。そこまでのところに行ったのはアスカ君だ、あと誰だったか忘れたけどクラスメイトだった奴。(※雑)


「何より私達は受験生だからね、君達も大変なのでは?」


「「……」」


「二人共、私と視線が合わないのは何故だい?」


 当たり前だろ、地元校ナメるな未だ受験生の自覚などある訳ないわ。


「だってよー、未だ文化祭だってあるし受験生とか言われたって実感沸かねぇってーの!」


「私のところはもう終わったよ、そして今年もアスカと共に文化祭には押しかけるから安心したまえ!」


「お前等暇にも程があるだろ、そして今年の文化祭も土曜日だ、学校どうした」


 そんなきりっとした顔で言われたって騙されねぇぞ。

 今年の文化祭は何やるんだか知らないが、カイトが同じクラスに居るならまた面倒なもんになりそうだなと思わなくもない。去年何したかも覚えてないくらい僕のやる気は無いし、今年も生徒会の仕事の方に回ることになるんだろうな。ゼン君手伝わないと可哀想なロンリープレイすることになるだろうし、そんなことじゃ怒らないと思うけど文化祭実行委員が何時ぞやかの体育祭実行委員の如くミスりまくりでもしたら流石にキレそうだし。クラスのことなど怠いから知らん。


「今年は二人のクラス、何をやるんだい?」


「未だ決めてねぇよな?」


「楽なので頼んだ」


「検討する」


「あー駄目だこれ検討だけして終わる」


「ふふっ、私は楽しみにしていようではないか」


 検討どころかどうせ忘れるぞこいつ、まぁ良い、早々に旧生徒会室に逃げ込むことを心に誓った。





「それにしてもさっきから雨が降ったり止んだりしてるけど、二人共大丈夫なの」


「何がだい?」


「帰り」


「大丈夫だ! 今日泊まってくから!」


「おいこら聞いてねぇぞ」


「何故なら言っていないからねっ」


「馬鹿なの? お前等本当に馬鹿なの?」


 何はともあれ、何年経ってもこの二人が一緒だと面倒臭いと思わずにはいられない僕だった。面倒だからもう勝手にしろ。




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