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467+恒例なのは良いけれど何で夏にやるのかな。


「なー……ハヤサカはー?」


「先生なら職員室でしょ」


「あいつ……まじ……」


 汗だくです、リョウコです。何でか夏の時期恒例になってる体育館倉庫の整理してます。外も暑いけれど体育館はもっと暑いわね……、そこのマットで溶けそうなヒコクアサキじゃないけど溶けそうだわ。


「体育館より倉庫のがすーずしーからあっ君先パイ溶ける前にこっちおいでー!」


「行く元気が無いので放っといて下さい」


「……ゆっ君先パイ! あっ君先パイが溶ける!」


「溶ける前にカイト君運んで!」


「お前溶けんなら来んなよ!?」


「人は溶けねぇよ」


 溶けていても(?)ツッコミは健在な様で、一切動く気配はないけどヒコクアサキは暑さで頭が弱くなってる皆にツッコミを入れていた。溶けても尚アイツ等よりは上という訳ね……。……どうやら私も相当やられているみたいだわ……!

 ロクジョーカイリの言う通り、ただただ溶けているだけで碌に働いていないヒコクアサキだけど、まぁ居るだけ奇跡みたいなものかしらと思ってしまう辺りが慣れってものよね。労働は私もそうだけど、特にワタヌキゼンとシノノメ君が黙々とこなしてるし支障は無い。


「後もう少しだから頑張ってねアサ君!」


「……何を?」


「後でハヤサカに文句言いに行くんだから頑張れよアサキ!」


「……だから何を?」


 生憎、馬鹿二人が何を頑張らせたいのか、ヒコクアサキがそうであるように私にも分からなかった。……何を?











「お疲れ様でした皆さん」


「けっ! クーラーの効いた職員室でのうのうとしてやがった奴が何を!」


「そーだそーだ!」


「センセーも手伝ってくれればもっと早く終わったっていうか終わったっていうか終わったっていうのにさー!」


「そーだそーだ!」


「嗚呼、では買ってきておいた飲み物は要らないということで――」


「「飲みます!!」」


「そーだそーだ!」


 ハヤサカ先生も馬鹿の扱い手馴れてきてるわこれ……。

 ところ変わって部室、くったくたの生徒に涼しい顔を付き合わせているハヤサカ先生は、冷蔵庫にぶち込んでおきましたから、と一言、持ってきた書類を机に置いて去っていった。労りの言葉を掛けるのと、仕事の追加をしにきたのと、ってところかしら。ちなみに書類見て苦笑したのはワタヌキゼンだけだったわ、他はくたってるか冷蔵庫にたかっているもの。


「ハヤサカ財布の紐だけは緩いぜ!」


「そ、そこは太っ腹とか……言った方が……」


「あんな痩せた人間が太っ腹じゃあガチの太っ腹もたーまったモンじゃないっすよねーあははっ!」


「シノ、それ意味変わってきてね?」


 わいわいがやがやと楽しそうで何より、暑さから未だ抜け出せない私はあれに交ざれる元気が無いけど。ヒコクアサキも同じみたいで、正面のソファに寝転がって再び動く気配が無い。


「っていうかハヤサカは俺達に労働を酷使し過ぎなんだっつーの!」


「それに見合う報酬があるから良いんでない?」


 ロクジョーカイリはワタヌキゼンのいう“見合った報酬”である飲み物をかっくらいながら――なんだかお酒みたいな言い方ね――そう言うけれど、一番働いてた本人が笑ってるんだからその文句は却下ね。


「体力あるんだから良いじゃない、それとも体力落ちたのかしら?」


「へん! 未だ未だ動けるわナメんなよリョウコ!」


「じゃあ良いじゃない」


「ばっかそういう問題じゃねぇんだよ」


 馬鹿に馬鹿って言われたわ。しかもなんか凄く偉そうに。


「これだから分かってない奴は……」


 何かしら、凄く殴りたい。


「分かりたくもねぇ……」


「あれ、アサ君起きてたの?」


「五月蠅くて寝れねぇからお前等しね……」


 私もてっきりもう寝てると思ってたヒコクアサキだったけど起きてたようで、随分と理不尽なことを言っている。本来寝る時間でも無ければ寝る場所でも無いんだけど、っていうかアンタほとんど働いてないのに何で一番くたばってるのよ。


「何が五月蠅ぇだよ、何時もは何してても寝てる癖に」


「うっせ」


「仕方ないなぁ、――じゃあプールにでも行ってくるか」


「そうね……――ってプールって何!?」


 ナチュラルにスルーしそうになったけどプール!? 何真面目な顔で言ってるのよそこの生徒会長!?


「いや、確か今お盆休みで水泳部も居ないからプール行こうかなと」


「真面目な顔で言っても騙されないんだからね!?」


「よし、行くか」


「行こう!」


「そこノリノリやめなさい!!」


 というか当然のように水着持ってるアンタ達何なのよ!! 信じられないというかもうアンタ達馬鹿じゃないの!?


「やっべ水着なんて持ってないから体育着で飛び込むしかなくねそこんとこどう思うよナツメっち?」


「……濡れるんじゃない?」


「デスヨネー!」


「そこも当然の会話をしない!! っていうかもう一人でツッコミ切れないからヒコクアサキシャキッとしなさいよ!!」


「しゃき」


「コイツはああああああああっ!!!!」


「はーいカトウちゃんがご乱心だから皆プール行くよー、あっ君はお休みなさい」


 クーラー効いてるから未だ良いけど暑いんだからあんまりツッコませないでよ!! ああもう疲れるなぁ!!





「リョウコも行くか?」


「行かないわよ! 私一人でゲームしてるから良い!」


「お前本当染まったな……」


 疲れとストレスをゲームにぶつけることにした私が苛々しながらコントローラを操作し始めたのは結構日常茶飯事になっているだなんて、……そんなことはないんだから、多分。






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