465+最早猫二匹。
毎日暑さで蕩けそう、ユウヤでっす! こう毎日暑いと買い物ひとつ取ったって一苦労だよね! 夕方の気休め程度にしか涼しくなってない時間帯に買い物に行く俺の身にもなってくれ猛暑日。
「たーだいまー!」
汗だくで帰ってきた俺への労りの一言はリビングには存在しなかったらしい、……寂しくなんかないやいっ。
挨拶はちゃんとしようぜ我が弟よ、どうせゲームにのめり込んでいるアサキにそう言ってやろうとリビングに行けば、アサキはテレビの前を陣取ってはいなかった。っていうかそれ以前に、
「……」
ソファで眠っていらっしゃった。
「……相変わらずよく寝る……」
勿論返事は無いけど、クーラーをがんがんに効かせた部屋で何も無しに寝ていたら風邪のひとつでも引くんじゃないだろうか。俺は父さんの部屋から適当に薄手の毛布を引ったくり、そろりとアサキに掛けておいた。
ハク君もよく寝る――主に授業中とか――けど、アサ君の場合はがっつり寝るもんなぁ。部活もやることないと直ぐ寝るし。これで夜も寝れる理由の意味が分からないよ。俺がこれだけ寝てたら確実に起きられなくなるというのに。
「まぁいいか」
色々考えてはみるものの、寝てる人を起こす理由なんて無いしましてやアサ君を起こすなんてこの俺がする訳も無く。夕御飯作ってる内に起きるかな、なんて思いながら、俺は買ってきたものの整理を始めた。
「ぐっ」
今何か聞こえた。
暑くて何も考えらんないしカレーで良いや、と。カレーを煮込み出した頃にリビングから声がした。
「……アサ君?」
しか居ないから恐る恐る声を掛けてみたけど、……え、起きてるよね、アサキだよね、違うとか言ってお兄ちゃんを困らせないで……!
――とか七割くらいは冗談で考えてたら(※三割は本気)、アサ君がむくりと起き上がったのが見えた。良かった、切実に良かった……!
「どしたの?」
「猫畜生め……」
舌打ちを交え何か言った気がしたけど、どうやらチカちゃんの所為みたいだ。チカちゃんったら何したの、っていうかあの子何時お散歩から帰って来たの?
「……居た」
「にゃあん」
「貴様、僕の上に乗りやがって……」
「にゃん」
「にゃんじゃねぇこの野郎」
どうやらアサ君は未だ夢現な模様、猫と喧嘩してる弟が可愛いんだけどこれどうしたら良いかな……!
「猫だからって良い気になるなよ、生類を憐んでいたのは所詮犬好きの将軍が居たからなんだからな」
「にゃう」
「……アサ君、」
「何」
「もうちょっと寝てれば?」
「そうする」
中途半端に起きて頭がいい具合にいかれてるアサ君にそう言ったら、再びソファで寝始めた。次起きる時にはシャキッとしててね、チカちゃんと喧嘩なんかしないように。
「駄目だよチカちゃん、また後で遊んでもらおうね」
「にゃん」
そして我が家の賢くて可愛いにゃんこにそう言って、俺は夕御飯作りに戻ったのだった。
さて、ちゃっちゃと作っちゃおうっと。