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464+受験生の夏。

※会話のみ


「もっしもーっしマヒル? 僕だけど」


『僕僕詐欺ですか』


「だから違うよ!? 何回やるのそのネタ!?」


『だったらお前もちゃんと名乗れば早いんじゃねぇの?』


「トウマだよ!!」


『そんで、何の用?』


「え? 嗚呼、特に」


『無ぇのかよ!』


「だってさだってさ! 久し振りに母校に行ったのにマヒル来れなかったしさ!」


『それは悪かったって、抜けらんなくて』


「まぁ僕も十分くらいで帰ったんだけど」


『お前その十分の為に俺誘ったのかよ、馬鹿なんじゃねぇの』


「まぁまぁそう言わないで! ……気分転換がてら、マヒルにも会いたかったんだよ」


『……何かあったのか?』


「何かって程のことじゃないけどね」


『へぇ』


「聞いといてそれってどうなのっ!!」


『いや、お前が何かって程のことじゃないって言ったから、もう解決したんだろうなと』


「嗚呼そういう。ま、そういうことだね」


『なら、俺が聞き出すまでも無ぇだろ?』


「かな。皆がぐうたれてんの見たら解決したよ」


『やべぇよ何でそんなん見て解決したのか果てしなく気になり始めちまったじゃねぇかどうしてくれる』


「へへっ! やっぱり学生時代は楽しく過ごすのが一番だよねってこと!」


『そりゃそうだ。……まぁ、また何かあったら連絡しろよ』


「うんっ、勿論! また番号及びアドレス紛失したらごめん」


『そんな何度も紛失するもんじゃねぇぞそれ!』


「それじゃあねーん」


『聞いちゃいねぇ、本当人の話聞いちゃいねぇ』


「冗談だよ! じゃ、またね、マヒル!」


『はいよ、じゃーな』













「……? アマギリ教諭?」


「っと、びっくりしたぁ。ユキくんだよね?」


「ハハッ! それ以外の誰に見えますか?」


「あははっ、それもそうだね」


「アマギリ教諭、何だか晴れやかな表情をしていますね」


「へ? あ、分かる……?」


「はい、時折疲れたような表情をしてらしてましたよ」


「ユキくんはよく見てるね。でももう大丈夫、気分転換したら元気になったから!」


「それは良かったです。クラスの副担任があんな陰鬱そうな表情をしていては、受験にぴりぴりしている我がクラスの生徒達に更なる悪影響を与えかねないですし」


「ゆ、ユキくん結構言うね……今日会ってきた生徒を思い出すよ」


「今日?」


「うん、ちょっと空いた時間使って、研修で行った僕自身の母校に行ってきたんだよ」


「ほう、そのような時間があったのですね」


「そこはまぁスルーで……! 君達と同学年だっていうのに皆のんびりしててさ、うちのクラスみたいに雰囲気が張ってなくて」


「さぞ居心地の良い空間でしょう」


「そう思ったよ。確かに将来的に考えれば今は勉強を頑張るべきって分かってるけど、高校生最後の夏なのに勉強勉強――それだけしか頭に残せないのはどうなのかなってね」


「アマギリ教諭……」


「でも僕は先生だから、生徒に『勉強より遊びな!』とは言えない。言ったらいけないものかなと思ってたけど、やっぱり俺が思う考えは、ちゃんと言うべきだと思い直した」


「うちは私立で、生徒の多くは良い大学に行くべく勉強一筋で頑張っていますからね」


「そうだね。否定はしないけれどやっぱり――」




「頑張るのは構わないから、せめて一時の思い出を大切にして欲しいと、僕は思う」


「……」


「……ユキくんは、どう思うかな……?」


「……ふふっ、」


「……?」


「大切にしたい思い出を作って、大切にしますよ、アマギリ先生」


「……あははっ! ありがとう、ユキくん!」






ユキにはぴりぴりのぴの字もないんでしょうね(←)


受験生は夏が勝負というけれど、暑いから気を付けなきゃですかね。頑張れ。

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