458+修学旅行で北の大地へ!/9
引き続いたままアサキです、正直怠い。
「うわあああああっ!!!!」
「すっげぇ!! これすっげぇ!!」
何が怠いって――こいつ等のテンションに着いていくのが怠い。
短い自由時間で何処に行くのかと思えばオルゴールが見たいだの言い出し着いていけば静かなオルゴール館で騒ぎ倒して怒られるしバス移動からの腹減ったとかでやけに長い行列並び出すしその後恒例となっていますが迷子になるしねあの馬鹿二人!!
「あ、アサキ君の機嫌が目に見えて低非行っす……!」
「駄目だよシギ、触らぬアサキに祟り無しだよー」
「うっせぇ黙ってねぇであの馬鹿二人さっさと黙らせろよ息の根止めるまでなら許すから」
「あっ君、それは既に全機能停止してるよ」
中学の時より酷いわこいつ等……!! あれか、中学の時はユキとアスカ君が居たからか? じゃなくても頭おかしいとしか思えない所業を繰り返すのに軽いストッパーが外れて箍が外れたのか? 馬鹿なのか? 何でしなないんだ?
一昨年のスキーでユウヤとカイトの破天荒さは身を以て知ってると言わんばかりに、僕を除いた他約三名は傍観者を決め込んでいる。こうなった奴等は止められないったら止められない、やめられない止まらない某スナックばりに止まらない。
「アサキ君が止めれば良いんじゃ……?」
「止めていいのかな、――そしたら僕が止まらないけど」
怒髪を衝く的な意味で。
余程辛辣な視線でも向けてしまったのだろう、最早食い気味に「ごめんなさいでした」と頭を下げたフドウだった。うん、素直で良いんじゃないかな。
「まぁ、こうなると止めるのは俺なんだよね」
「ひゅーひゅー、さっすが生徒会長さーん」
「はっ君びっくりするくらい棒読みよね」
苦笑するゼン君に棒読みのコガネイ。自分の役割にしかと気付いていた様子ではあるが、今回ばかりは強制するつもりは無いのだけど。
馬鹿共の奇行に気を取られてて今何処に居るのか言ってなかったけれど、僕等は今、――流氷の中に居ます。
「つっめた! 背中があああっ!!」
「あはははははっ!!」
「この寒さで何故あそこまで元気なのか……」
「馬鹿だからだよ」
「アサキそれで通すつもりだよねー」
流氷、と言っても、所謂氷で出来たなんちゃって氷世界というだけなんだけれど。そんな一風変わった館をあの二人の前に鎮座させて置くんじゃないよ北の大地。あいつ等氷で出来た滑り台今ので何度滑ったと思うんだ、今時修学旅行生でもあそこまで盛り上がらねぇよ。
「まぁ、俺は何してても良いんだけどー。氷くらいであそこまでテンション上がらないなー」
「……そういうお前も氷のベッドを有意義に活用している様だが?」
さっきから寝そべってるよなお前、というか幾らコート着てたって冷たくないのかお前。
「ウィナー、眠い」
「せめて惜敗なんだろうな」
「圧勝だよー」
「ゼン君には意味が分からないよ」
「ボクにも分からないっす……」
コガネイの生態について不思議が広がっただけだった。
「楽しかったなァ!」
「家に欲しいよあの空間!」
「うん、良かったね二人共!」
「「!?」」
それから数十分後――三十分以上僕等は何やってたんだか――、思う存分満喫したらしい二人が僕に満面の笑みを向けられて固まったのは言うまでも無かった。
うざいくらいに謝られたから、アイスで許したけど。