454+修学旅行で北の大地へ!/5
二日目だって何処までもユウヤでっす!
旅行に於いて至って平穏な朝を迎えることはそう珍しいことじゃないけど、我が弟の部屋の朝は相変わらず平穏とは程遠いところにあったそうな。
『アサ君おはよっ!』
『黙れカス』
食事会場がしん、となったよね。昨日あんなに早くから寝てたのにどうやったらそんなに酷い目付きになるのかお兄ちゃん果てしなく気になる。
そしてその横にいるカイト君はさもそれが当然だと言わんばかりに普通にしてるから、慣れってやつの素晴らしさを痛感した俺。おはように対して暴言しか帰ってこないアサ君ってどうよ。
「はーい、それじゃあちょっとだけ自由時間ねぇ。詳しい時間は皆の方が把握してると思うから先生言わないけど」
そんな朝を越えて、長い長いバスの旅に出た俺達。よく分からない――先生の話聞いてなかったから――説明も終わってほのちゃんの相変わらずな指示を受ければ、生徒は皆散り散りに動き始めた。
「お茶でも飲みたいねー」
「ハク君疲れた?」
「んーん、眠いよー」
何だ、ただのハク君か。
自由行動って言われてもぶっちゃけやることがない俺達、アサ君とかゼン君を探してみるけど生徒が多過ぎて見つからないや。これは本当にお茶でも飲んで時間を潰すべき? とりあえず近くにあったベンチに座って飲み物を買ってみたけど、気付いたら時にはハク君が寝てた。学校でもよく寝てるけど、この睡眠欲は凄まじい……!
「――アンタ達、何してるの……?」
そしてそんな今の現状をリョウちゃん達に見られたぞ☆ 別に駄目な訳じゃあないけど恐らく不可解だよね、自由時間にバスにも戻らず寝てる人と缶ジュース飲んでる人ってこれの何処が修学旅行?
「あははっ、はー君が寝ちゃってるんだねえ?」
「ふむ、寝る子は育つと言うしな」
一緒に居たテナちゃんとミノルちゃんは隣のはっ君をまじまじと見てそう言うけど、ミノルちゃんはそれボケた訳じゃないんだよね多分。リョウちゃんツッコまないしこれはスルーで良いんだよね……?
「やることなくてさー、勉強なんてこりごりだよ!」
「数十分の説明くらい頑張んなさいよ」
そりゃあ俺達は“修学旅行”に来てるんだから学ばなきゃいけないこともあるだろうけど、――いや、無理だよ。頭の中はもうパラダイスだもん。勉強とか説明とかそういうの俺今全部シャットアウトされてるから……!
「……無理!」
「重々考えてからの否定だな」
「大丈夫だよお、テナもほとんど頭に入ってないからあ」
「何が大丈夫なのかしらそれ」
流石はテナちゃん、俺とおんなじ思考の持ち主だよ。
でも本当、やること無さそうだしバスにでも戻っちゃおうかなぁ。とりあえず買ったジュース飲み終わったらハク君を起こして考えよう、そう思った。
「あ、ねぇリョウちゃん、アサ君知らない?」
「ロクジョーカイリ共々バス戻ったわよ」
……早っ!