453+修学旅行で北の大地へ!/4
「本当に疲れた……」
「そうっすか? ボクは楽しかったっすよ!」
「そー、良かったねー」
引き続いてるっけ、ユウヤでっす。とりあえずホテルにインしました。
飛行機の所為でフライアウェイしたらしいゼン君の横で楽しそうに笑うシギ君、珍しくゼン君がだれてるからシギ君は少し心配そうだけど。一日目だっていうのに……いや、一日目だからかな? 明日になれば少しは元気になるよねゼン君も、なんて、自由時間は俺達を捜索することに費やしただろう彼にそんなことは言えないから黙って労ることにした。
で、そう言えば。
「カイト君、アサ君は?」
「部屋で寝てる」
まだ早い時間だしそんなことは無いと思ったけど、……道理で居ないはずだよ。俺とはっ君の部屋の片隅、多分俺が寝ることになるだろうベッドの上で体育座りなカイト君がけろっと言ってのけた。
「あっ君寝るの早」
「スキーの時も良く寝てたもんなー」
「寝てましたよね、……で、三日目にすっごく怒られたの覚えてます……」
うわぁ、シギ君の表情が曇ったぁ。
「嗚呼、あったあったわ。寝起き凄く不機嫌だったなーアサキ」
スキーの時か、珍しくも実はあんまりアサ君とこ行ってなかったから分かんなかったりするんだよね。一体何があったのかな……大体予測が付くってのがアサキの末恐ろしいところだけど。
「夕飯食ったら直ぐ寝ちまったぜ、相変わらずっつーか、何処で体力使ったんだよな」
カイト君はけらけらと楽しそうに笑うけど、少し視線を別方面に寄せればゼン君が「飛行機にに決まってるじゃん」と真顔で仰っている。高いところ苦手な人って皆こうなのかな……帰りは新幹線で良かったね。
「まぁ、流石に早いかなぁとは思うけど、道迷ってアサキとゼンに見つけられた俺達が言える立場じゃないよなー」
『……』
苦笑のゼン君を除いて、皆耳が痛い様子だった。なんて朗らかなのかしらハク君。
早いかなぁ、とか言ってた人がその後速攻で寝たことはさておき――この脱力系人間何だろう――。
「明日ってほぼバス移動なんだよな」
「ん、そうなるんじゃない?」
二日目の醍醐味なんてそんなもんじゃないか、俺はカイト君の質問に対して一人、アイス作りのことだけに思いを馳せた。
するとカイト君はだよなぁ、なんて洩らしてから、ひとつ溜息を吐く。
「どしたのカイ君」
「いや、別に良いんだけどさ」
「うん」
「絶対寝るじゃんアサキ」
「だろうね」
「俺暇じゃん?」
「そうだね、まぁゼン君だって普通に一人楽しくゲームに勤しむから良いんだけどね」
「ですよねー!」
弟が迷惑を掛けまくっている気もするけど、アサ君なんだから仕方ないよ、うん。
一日何時間寝てたって眠い弟の平均睡眠時間が気になりながらも、俺は明日が楽しみだなぁ、なんてのんびり思った。