447+疲れるための行事です。
「ということで、昨日年間予定表を見たところ今月末から修学旅行あります」
『どういうことで……!?』
週末、帰りのSHRでの先生の一言である、アサキです。一組の担任は相も変わらずハヤサカ先生だった、中学高校通して担任二人しか変わりゃしないのってこれどうよ。
「知りたくなかった事実だ」
「え、アサ君もしかして修学旅行昨日初めて知ったとかじゃないよね!?」
あの人の名前がそろそろ気になってきたが、まぁ後一年でどうにか炙り出してやろうとは考えている。とかなんとか考えていれば、ユウヤにえらく驚かれてどうしようかと思った。
「初めてじゃあないが、普通に忘れようとしていた」
「何でよ! 俺はこんなにも楽しみなのに!」
大多数の人からすりゃお前と一緒なんだろうよ、僕が嫌ってだけなんだから。いちいち飛行機とかバスとか、そういうの乗り継いで? 本州を出て? 研修がてら観光? ――疲れんだよ馬鹿野郎誰が行きてぇんだよ。
「カイトもはしゃいでたな」
「ほーら! それが普通だほーら!」
何故か馬鹿にされた気分だ。
ふんぞり返る我が兄は放っておいて、改めて修学旅行の予定表を見る。とりあえず何時も思うのは、何故ホテルに着くよりも前に様々なところへ行かなければならないのか、ということである。良いじゃん、修学旅行って集団行動させたいだけでしょ、真っ直ぐホテル行ってそのまま寝ようよ。
――何時かの修学旅行を思い出せば、うんざりな気分になった。あんなことは二度とごめんだ疲れるとか真面目に無ぇ。
「部屋とか一部屋二人だなんて凄いよね、俺勿論はっ君とだけど! アサ君はカイト君だよね?」
「当たり前だろ」
「……アサ君の中じゃ当たり前なんだよねー、カイト君って」
……何だよ、その慈しみ溢れる視線は。ムカついてきたからやめろ。
「シギ君とゼン君ってどうするのかな? ゼン君は大丈夫なイメージあるけど、シギ君……」
「人間、成せば成る」
「誰の格言だいそれ」
別に誰と言う訳では無いが、あいつだってどうにかするだろ。というか、どうにかしないとどうにもならないだろうしな。カトウだって何やら見たこと無いクラスメイトと仲良くなってた訳で、皆やる気になりゃどうにかなるってこったろ。――ちなみに僕のやる気は無い。
「あ、集団行動は皆でどっか行こうよ! って言ってたよ!」
「別に良いけど。とりあえず部屋じゃ直ぐ寝るからな」
「心配しなくても誰も部屋でのアサキに期待はしてないよ!」
「侮辱と取った、しにさらせ」
「ちょっ、えっ、何で!?」
期待されてないことくらい分かってはいるが、そう言われたら言われたで何やらイラッとするのが人間というもの。慌てるお前のが意味分かんねぇよ。
集団行動は苦手中の苦手だから、あまり疲れないようにさせてくれ、と切実に思った僕だった。
……どうせ無理なんだろ、知ってる。