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443/500

443+春眠、という訳ではないですが。


「そういえばさ、」


 アサキです、久し振りに部活メンバーが全員集まった旧生徒会室でカトウが呟いた――皆地味に休み過ぎなんだよ端なっから――。


「――新入部員とかって、良いの?」


 テレビゲームに熱中する数人はカトウのその言葉に一瞬固まるも、そのままその視線を現生徒会長であるゼン君に向けた。……ら、ゼン君は何故か僕を見た。


「何故僕を見る」


「他見たところで、あっ君以外まともに取り合ってくれる人が居ないからだよ」


 ご尤もだった。


「まぁでもサチん時も別に勧誘とかしてなかったしさぁ」


「でも、私達の下って二人しか居ないのよ?」


「三人で回せてたなら充分じゃね?」


 机にだらっとするゼン君に反論するようにカトウが言えば、カイトがコントローラを僕にパスしながら首を傾げる。ゼン君はそうだよねぇ、なんてお気楽な笑顔を向けてから――



「ハーイ☆」


「ごめんなさい」



「――うん、三人で回せてたのはハヤ先輩っつーハイスペック野郎が居たから成り立ってたんだったことを思い出したよ」


 ――後輩二人を一瞥して即座に意見を切り替えた。……間違った判断ではないと僕は思う。












「でもあれ、特に勧誘されないで来たよね?」


 俺達、と。ユウヤが部室内を見回して首を傾げた。


「されたよ」


「え、マジ?」


「ゼン君に」


「ゼンかよ!」


 フドウの友達なんたらでほいほいと勧誘されたのを覚えてる、で、どうせユウヤとカイトもついてくるんだろうから、でこうなった。


「そう考えるとリョウコって何で入ったんだっけか」


「リョウちゃん先パイ女の子なのにゲーム好きって超パネェ」


 シノノメは些か楽しそうである。


「え、カトウちゃん引き込んだのは俺達っしょ?」


「「えっ」」


 キョトン顔で首を傾げたユウヤとカイトの見事なハモり、確かにカトウって何で入ったのか僕知らね。


「決まってないならうち来いよ的な話を持ち出してた覚えがゼン君にはある」


「ワタヌキゼンが初対面でチャラ男過ぎた時よね」


 どんな時だ。


「ナツメはシキが無理矢理ぶち込まれた感じだよな。……あれ、シキって何組になったんだ?」


「はい、何か、すみません……」


「はっはっはー! そんな謝る必要は無ぇのぜナツメっち! 無理矢理だって何だってかーまわなーいさー!!」


「シノは……あれ、お前も何でだっけ?」


 カイトが一人クエスチョンを連発させている、……いや、お前忘れ過ぎだろ。そしてムラサメは……あれ、何組だったか。


「オレは我らがヒーローゼン先パイとアサ君先パイと色々あって夏休みん時に入ったって感じっすよねサチ先パイが入れば? 的お気楽発言くれたからーん!」


「そういやそんなこともあったな……」


 マシンガントークも相変わらず、シノノメはにっこにっこと楽しげに述べる。なんやかんやで皆成り行きだったりすることが多いんだな……と、改めて思った僕。話の流れとか、ノリとか。……自由な部活で何よりだが。





「ってなるとアレだよね」


 そしてゼン君がはたと気付いたように僕を見て、にっこりと微笑んでからこう続けた。


「気長に待ちましょう、――それでおっけー?」


 その何とも平凡な意見に刹那間が空くも、誰からともなく呆れたような、けれど納得したような笑みを溢し。


 それがこの部活らしいか、と。そんなことを考え僕等は、残りの部活動時間を過ごしたのだった。





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