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438+姿は見ないがきっと元気。


 今日は良い天気だから、凄く洗濯日和だよねっ! ――って言ったらアサ君とマヒル兄に何とも言えない視線を送られたユウヤですん! アサ君はまぁ良いとして、マヒル兄のは許さん。マヒル兄だって同じこと考える癖に!!


「失礼しちゃうよねっ!」


「つーか、此の家にゃ主夫しか居ねぇの?」


「主夫じゃないし……料理出来ても人間力的機能が衰えてたり料理すら出来ないのだって居るよ」


 という愚痴を何故かうちに居たせっちーに吐いてみた。マヒル兄なら随分前に出掛けちゃったんだけどな。


「料理すら出来ないってのはアサキだとして、其の前の人は誰だ? そして珈琲飲みたい」


「父さんだよ、うちの父さんに生活能力というものが備わってた試しが無いから。そしてせっちーって珈琲とか似合わないんだけど」


 リビングのソファに居座るせっちーがそんなことを言うものだから、仕方なく淹れてあげることにした。俺ってば優しい! というか、聞きはぐったけど何でせっちーが居るんだろう。


「お前等の父さんか、確か会ったことあるな。優しそうな父さんだった覚えがあるぜ?」


「そりゃあね! だって父さんだもん!」


「理屈じゃないっつーことで良いのか」


 そういえばまた最近父さんを見ていない気がする。……あれ? ……えぇ!?


「え、ちょっ、マジか此れ……!!」


「あん? どうかしたか?」


 日向に寝転ぶチカちゃんを見ながら、せっちーは興味薄く俺の声に反応した。いや、此れ結構真面目な話だよ!? 真面目に気付いちゃったよ俺!?


「ええと――わぁマジだ此れ、俺一年以上父さんに会ってない……!」


 いや前から帰ってこない人では会ったけど!! 居ないことが当然過ぎて忘れてた……!!


「は?」


「あれぇ、夏休みとか言って帰ってきたの去年だっけ……? いや違うよ……一昨年……ああもう何か分かんなくなってきた……!」


「まぁ、何だか分からんが冷静になれよ、あの猫の様に」


 呑気なせっちーはそう言ってチカちゃんを指差した。チカちゃんはあれで良いけど俺はあれじゃ駄目なんだよ! チカちゃんは毎日ああだから空気みたくなってるけど、俺が空気になったら静かでつまらないじゃないか!!!! ……其の方が良いとか言わないでよね!


「本当……父さん凄ぇ……」


「ははっ! まぁ良いじゃねぇの! 会いたかったら会いに行きゃいーんだしよ? 何時でも会い行けるだろ?」


「まぁ、其れはそうですけども」


「何で急に敬語?」


 勿論、心配とかしてる訳じゃ無いんだけどさ。だって父さんだし、……此れは最早理屈じゃないよね。


「俺は実家遠いからなかなか帰れないしなぁ……つか、兄貴が帰りたがらないから帰らないし」


「ふぇ?」


 ふと、せっちーが笑いながらそんなことを言った。ええと、何時も忘れがちだけど、兄貴っていうのはあーや先生のことだったよね。帰れないんじゃなくて帰りたがらない、って一体……。


「たまには帰んのも良いと思うんだけどな、俺は」


「……ふぅん」


 なるたけ興味無さそうに返す試みをしてみたんだけど、ちゃんとそういう風に聞こえたかな? せっちーは笑ってるけど、何か本人には聞きにくいし。機会があったらマヒル兄とか、はたまたいっちー先生とかに聞いてみようと思った。





「さて、暇だからゲームだ」


「え、じゃあ俺もやる!」


 だって俺も暇だもん! 春休みは宿題も無いしやりたい放題だーい!



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