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435+そんな季節。


 ユウヤでっす! 今日は学校が半日です! ……まぁ、嬉しいは嬉しいけど、ちょっとだけ寂しくもあるかなぁ。

 ――今日は卒業式でした。




「久しぶりの学校っちゃあ学校なのに、もう来なくなると思うとなぁ」


「そうだな、三年通い続けた訳だから」


「……寂しい」


 部室で笑うのは俺だって久しぶりに見た三人組。けらけらと楽しそうに笑うサチト先輩に、相変わらずのストイックなイケメンハヤ先輩、ちょっとだけ俯いて寂しそうなのはフウカ先輩。そっか、本当に卒業しちゃうんだなぁ。


「寂しいって先輩、三人共同じ大学行くんでしょや」


 ゼン君がそう笑えば、フウカ先輩は「そうだけれど、」と言うもののちょっと不満げ。


「同じ大学とはいえ、これからは今までのように同じ教室って訳では無いからな」


「特にフウカはなー」


「サチトの馬鹿」


 そうか、フウカ先輩だけ違う学部? なんだっけ? 詳しいことは分からないけれど、フウカ先輩が投げたティッシュ箱がサチト先輩にクリーンヒットしたことだけは分かった。


「皆にはちゃんと会いに来る」


「はい、待ってますね!」


「週三で」


 来過ぎだよ先輩。









「ところでユウヤ、アサキの姿が見えないな」


「あー、アサキなら――」


 卒業式怠いからサボったとは……言えないよなぁ……。あれ、アサ君て確か去年もサボってなかったっけか。――此の話は忘れておこう。


「……熱で」


「ははっ、最後の日に休みか」


「俺はてっきりあれ、怠いからサボったんかと思った」


 バレてる、アサキの性質が先輩にバレてる。

 ゼン君は他の生徒会メンツと合流して式の片付けとかやり行っちゃって、今部室には俺と先輩達だけ。……俺が仕事をサボってる訳じゃないよ! 忘れ物取りに来たら三人が居ただけだよ! ……要するにもう戻らなきゃだけどね!


「フウカ程は言わないが、俺達も落ち着いたらまた声を掛けに来よう」


「そだな、夏休みとか、また皆でゲームでもすっかぁ?」


「うわぁ、楽しみだなぁ!」


 中学の時は先輩とか居なかったから、こうやって気さくに話せる先輩が出来たことって凄く良かったんだと思う。これからは部室に来ても、サチト先輩とフウカ先輩が二人で格ゲーバトッてることも、ハヤ先輩が疲れて眠ってることも無いんだよな。




「――絶対ですからね!」


 あ、ちょっと泣きそうかも。

 誤魔化す為に俺が大きな声で言ったら、先輩達は驚いた様子で俺を見た。


「絶対会いに来て下さいね! 絶対!」


 別れというものに滅法弱い自覚はある、だけど泣かないよ! 笑って見送るって決めてたんだから!

 先輩達はそれぞれ顔を見合わせてから、三人それぞれの笑顔を見せてくれた。



「嗚呼、分かってるよ」


「直ぐに来っから、レベル上げとけよ?」


「美味しいもの、差し入れに来る」



「――はい!」


 そんな三人の言葉が嬉しくて、俺は笑った。

 今までお世話になりました、先輩!





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