431+雪には興味無し。
「わぁ、見てみて! 雪ー!」
「寒いから閉めろ」
「……」
弟に怒られて窓をぴしゃり、と閉める兄。我が家は今日も何時も通りだな、マヒルだ。
不満げにこたつに戻っていったユウヤ、アサキのやるテレビゲームをうなだれながら見ている。不満げは不満げだけど、此れ数秒後には元気になってんだから凄いよ。ユウヤの長所欄には是非めげないって書いた方が良いって兄ちゃん切実に思う。
「通りで冷える訳だよな」
「そう?」
「アサキはこたつに入りっぱだから気付かねぇんだよ」
学校から帰って来るや否や其処だもんなお前。
「アサ君ったらやるゲームある時はそそくさと帰っちゃうよね」
「当たり前だろ、学校に居る一分一秒が惜しい」
「今日話し合いするって言ってたのに……」
「ゼン君が休んでる状態で話がまとまる訳が無い、残る意味が無い」
ゼン君、というのは現在の生徒会長だっていうあの金髪くんのことか。
「友達休みだったのか」
「少し前から体調悪そうだったんだよ、無理して来るから悪化する」
「ゼン君だから仕方ないんじゃない?」
「僕なら問答無用でサボるのに、そして一日中ゲームを――」
「させねぇよ?」
「……しまった、マヒルが居るんだった」
病気で休むのにゲームなど誰がやらせるものか、そしてそういう奴に限って風邪とかインフルエンザは引かないもんなんだよな。現にアサキって確か、インフルエンザ患ったこと無かった気がする。
「まぁでも、体調悪かったらちゃんと休めよ?」
「年中怠い」
「そりゃ末期だから気にすんな」
「そうだよアサ君、其れで休んでたらアサ君一年中休みだよ!」
こうやって話している現在も、アサキはテレビから全く目を離さない。此れぞ本物だな……いや、俺は人のこと言えないが。
「学校は行ける時に行っとけな、今しか勉強出来ねぇんだから」
大人になったら勉強どころじゃないらしいしな。成人済みではあるけど俺も一応学生だ。もう少しの間学生で居られるけど、勉強しときゃ良かったなぁ、なんてことにはなりたくねぇし。
「其の今が辛いですマヒル兄……」
――ユウヤが凄い幸薄い顔してら。
まぁ、勉強苦手な奴からすればそうか。勉強するのが好きな奴なんて、何処探したって居やがらねぇ訳だし。
「今がふんばり時だぜ? 頑張れよ、ユウヤ」
「ふいー」
「気が何処行った」
ま、大丈夫だろ、俺の弟なんだぜ、お前さんは。
「そして其処の完全関係無い面貫き通してるお前もな?」
「え?」
本当対照的だよな……お前等。