426+時間は感覚によって変わるもの。
「そういえば、」
何かに気付いたようにそう切り出したのはゼン君でした、ユウヤでっす! ちなみに現在一組に生息中。
「学年末テスト、大丈夫?」
『…………』
笑顔でそう切り出され、其処に居た全員が黙った。何故かって? 今此処に居るのが俺とシギ君とテナちゃんとカイト君だからだよ。ちなみにアサ君も居るけど安らかにご就寝中だよ! お昼休みを有意義に活用してるね此の子は!
「未だ一ヶ月も先の話じゃねぇか……!」
「そうだよゼン君! 未だ未だ先の話を今切り出すなんておかしいよ!」
「おかしいよお!」
「……」
「そちらさん三人は、謙虚にも黙ったシギを見習ってちょっと黙ろうか」
ゼン君が苦笑しながら辛辣なことを言っている。……だ、だっておかしいじゃないか! テストには未だ一ヶ月もの猶予があるのにこんな早くそんな話をするだなんて間違ってるよ!!!!
けれど俺やカイト君、それにテナちゃんがぎゃあぎゃあ騒ぎ出せばゼン君は笑顔で、再び「黙れ」とだけ一喝した。正直怖い。
「テナちゃんは未だ良いよ、教科によっては平均上叩き出せるってあっ君から聞いたしね」
「うん、テナはあ……ええと、国語ならどうにか頑張れるよお?」
「あとカイ君ね、英語だけなら俺よか上だったよね?」
「一回だけだけどな」
くっそ頭良いな皆……!
「問題は其処二人、ハァイ今目を逸らしたお二人さーん」
ゼン君の手際良い分別にまんまと引っ掛かった俺とシギ君でした。
「平均下のレッドラインすれすれ低空飛行と、ほぼ平均時折レッドライン落ちする君達?」
「シギ君、俺どっち?」
「ボクもどっちだか分からなかったっす……!」
「じゃかしいどっちでも良いよ」
ゼン君って何時からこんなキャラになったの? ただの頭良いナルシストなゲーマーじゃなかったっけ? あ、其れ以前に怖い不良青年だった。……そんなゼン君に何故俺は今説教食らってるんだろう……!
「一ヶ月って早いんだよ? 一夜漬けでどうにもならないから赤点とか採るんでしょ?」
「「はい」」
「だったら一ヶ月前くらいからちゃんと勉強する努力をする、苦手教科だけでも良いからさ?」
「説教食らってら」
「大変だねえ」
「――君達もだからね?」
「「はいすみません」」
ぐるんと機械的に首を動かしたゼン君は笑顔だけど、何か怖い。カイト君とテナちゃんは反射的に謝ったんだろうな、其の気持ち良く分かる気がする。
……何だろう、此の怒り方というか此の怒られ方というか、なんかデジャヴ的な感覚が……。
「無理してやれとは言わないから、少しでも気に掛けてみようね?」
『はい』
結局最後は何時ものように朗らかだったゼン君、四人してちゃんと返事をしてしまったけれど。
……あ、分かった、
「マヒル兄だ」
マヒル兄もこんな怒り方良くするや、外見不良な人の怒り方って皆一緒なのかな?




