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419+寒空で行こう!


 ユウヤでっす! 最近めっきり寒くなってきたけど、カイト君は未だ未だ薄着星人だよ! 其れ故風邪引いて今日休みだけどね。



「何でこんな時期にさ」


「ん?」


「持久走大会やんなきゃなんねぇんだよ」


 あれ此れデジャヴ? 何かアサ君去年も同じような文句言ってなかったっけ? 去年は大会の存在意義じゃなくて、大会自体についてだったとは思うけど。


「まぁまぁ良いじゃん! 俺走るの割と好きだし!」


「僕は大嫌いだけどね」


 巷で今日は“良い双子の日!”とか言われてるのにどうだい俺達、最早感性が双子じゃないけど?

 という訳で本日持久走大会! 去年はトップだったけど今年はどうだろう、カイト君居ないと張り合う人居ないし、今年はアサ君に着いてこうかな。てか気になるんだよね、アサ君って持久走大会とか走ってるの?


「よっし! 今年は調査の年だ!」


「何言ってんだお前」


 可哀相なものを見る目で見られた、畜生。








「……ねぇ、アサ君?」


「ん」


「走らないの?」


「何で走んの?」


 ……え、だって持久“走”大会だよ?

 走るコースにやって来て、スタートの合図が鳴ってから早数分。今年はハヤ先輩がお休みらしく、一人で歩く弟の後に続いているけれど。走らない、一向に走らない、多少早歩きなだけで一向に走らない。


「走らなくても完走出来ればそれで良いだろ」


「最早完走じゃないけどね、ただの完歩だけどね其れ」


「細かいこと気にすんな」


「歩くか走るかって結構違――いったい! アサキ今の踵が脛に入ったいったい!!」


 容赦無いな本当! ノールックはいけないよアサキ……!


「でもアサ君、少しは走らないと時間が……」


「分かってるよ、制限時間間に合わなくて走り直しなんて絶対にしない」


 嗚呼、そういうのはちゃんと頭に入ってるんだね、流石。だったら良いんだけどさ、なんて思いつつ結局後に続いていれば。


「頑張る気配無さそうだけど頑張りなさーい!」


 後ろから自転車部隊と化したアマギリ君が現れた。大丈夫かな、此処土手なんだけどアマギリ君落ちないかな。


「トウマ、何してんの」


「何って、応援」


「アマギリ君って何時までうちの学校居るの?」


「ちょっと酷くないユウヤ! そんなに僕に居なくなって欲しいの!?」


「何を言ってるんだいずっと一緒が良いに決まってるじゃないか!」


「お前等何の話してんだよ」


 しまった話が飛んでた。


「大学行きながらだけど、授業もほぼ無いから今年中はずっと居るよ?」


「あと一ヶ月?」


「あ、違うや今年度だった」


 暇だねアマギリ君。


「って、僕のことは良いから走りなね二人共!」


「あ、アマギリ君あんまり張り切ると危な――「あ」」



 アマギリ君が俺達を放って先に行こうと立ち漕ぎをしようとした其の時、期待を裏切らないというか何と言うか、見事に路肩にタイヤを取られた様子。そのまま自転車ごと――アマギリ君は土手上から落下した。


「うわあっ!!!!」


「……やると思ったよ」


「……俺も」


 助けるべき、なのかどうか。っていうか結局なアクロバティック感満載だったんだけど……大丈夫?



『今誰か落ちなかった?』


『え、うそ、あの人動かないよ!?』


『大丈夫なの……!?』



「――ユウヤ、先行ってハヤサカ先生探して来い」


「ラジャ」


 他の生徒の足を止めることになる前にあのドジっ子を回収しなくちゃである、勿論回収するのはハヤサカ先生だけどね。











 直ぐ近くに居たハヤサカ先生に事情を説明し、溜息と共にさっきの場所に向かってくれたのを確認してからアサキと合流。持久走という名の散歩は続く様だ。


「ゲーム欲しい」


「マイペースだねとても」


 走る気ゼロなんだけど此の子。爽やかな笑みで言ってみたけど、結局アサ君が此の後走り出すことは無かったとさ。制限時間計算しながら早歩き貫くって、どんな計算繰り広げられてるのお前の頭。スキルの無駄遣いだよ……!


 まぁ、最初から分かってたことだけどさ。






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