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416+無言の理由。/朝



「アサキ、カイリ、おはよう」


 カイリだ、朝から怠い眠い以外の単語を発しないアサキと一緒に学校来たら、一組の廊下前にミノルを見つけた。何時ものきりっとした表情で挨拶をされたから返したが、よく見なくてもミノルは廊下に一人で。……何してんだ?


「わたしも居るのだけれど」


「!?」


 心内を読まれただと……。ミノルが分身したかのようにすっと横にブレ――たと思ったら違った。背後にシキが居たらしく、抑揚はあるけど淡々とした物言いで俺を見る。


「何してんの」


 そして改めて、アサキがそう尋ねる。朝だからすっげぇ不機嫌なのはご愛嬌じゃね。


「まぁ、何も言わずクラスを覗いてみてくれ」


「は?」


 ミノルにささっと勧められ、不機嫌なアサキとクラスを覗き込む。つーかアサキは此処のクラスなんだし覗かずとも入りゃいいのにな……俺もだが。

 前扉から一組を覗く、否、結構がっつりクラスを見る。他の一組生徒が俺達を見て何してんだ、って顔を――すると思ったんだが、どうやらそんなことは無ぇらしく、寧ろ俺達を見て少しほっとした様にも見えた。


「奥の席」


 シキが促す。奥の席? ……奥の席ってお前其の席はゼ――



「……原因究明だろう?」


「クラスが硬直している原因だけな」


 ミノル……自信満々なところ悪ィが――どうしてだ、何でゼンがあんなにドス黒いオーラ発してんだ。


「アサキ、どういうこった」


「何が?」


「……」


 嗚呼、お前若干目ぇ悪いんだったか。眼鏡でもコンタクトでもしろや、そして其の何が? は気付いてる何が? だろお前。見えなくたって気配で分かるだろうあれは。


「私達が朝来たら既にああだったんだ」


「あの隣に座って居続けられる程、わたしの根性は据わっていない」


 隣だもんな、ご愁傷さん。



「って訳でアサキ、君に決めた」


「あれ? エノミヤお前何時からポケ●ントレーナー?」


「ポ●モンマスターに、わたしはなる」


「混ざってる、ムラサメ海賊王混ざってる」


「まぁ行ってこいよアサキ、折角頼りにされてんだからよ!」


「馬鹿にされてるの間違いじゃね?」


 不機嫌ながらツッコミは欠かさないなんて流石だぜアサキ!




「ともかく、普段クラスでもムードメイカー的な役割を担っているゼンがあれでは、クラスの皆も居心地良くないだろう」


 冗談はさておきと言わんばかりに、ミノルはひとつ咳ばらい。教室を今一度覗けば、頬杖を突きつつ窓の外をガン見するゼンがいらっしゃるのが見えた。


「放っとけば良いんじゃないの」


「アサキ、お前な……」


「とりあえずショート始まるし、様子見てからで良いでしょ」


 其れだけ言って、アサキはずかずかと教室に入って行ってしまった。ミノルもシキもきょとん顔だ。


「……頑張れ、よ?」


「極力な」


「頑張る」



 俺は残された二人に、ぎこちなくエールを送っておいた。ま、……俺はあんなドスいオーラ放ってるゼンに近付きたくねぇからクラスに逃げることにするぜ。頑張れよ、皆!





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