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414+十月末に文化祭。/4



 午後だ、アサキだ。

 生徒会の仕事も終わったし、午後は自由行動だから暇をしてる。……けど、やること無いんだよな、帰りてぇ。


「あ! 先パイ先パイあっ君先パイ!」


「何」


 そんな僕のやる気無さなんて知らないで騒ぐのはシノノメ、すっかり制服姿に戻って――あのまま移動するんじゃないかとひやひやしたが――僕の横で騒ぐこと早数十分。クラスが忙しいからと付き纏われている訳だが……まぁ、構いやしないか。


「あっちあっち! あそこのクラスが美味しそうだから行くっきゃ無い行くっきゃないでしょう!!!!」


「……分かった、分かったから引っ張るな、お前引っ張るな……!」


 袖というか腕が伸びるから引っ張るな、片腕だけ伸びたらどうしてくれる。

 シノノメは屋台盛りだの何だのを扱うクラスの催しに両目をキラッキラさせていらっしゃる。そんなに屋台盛りが食べたいか、寧ろ屋台盛り如きで何故其処まで目をキラッキラに出来るお前。


「オレタコ焼き食いたいッスタコ焼き!」


「お前な、学校の生徒が作ったタコ焼きなんて冷凍食べてる方がマシ――」


「先パイ聞こえちゃうから聞こえちゃうから!!!!」


 あーあーナニモキコエナイ! なんて叫ぶシノノメを見つつ、僕は何の悔いも無かったので気にしないことにした。






「お、アサキ」


「何か珍しい組み合わせだな」


「え? そんなことないですよオレとあっ君先パイは今も昔もいっつも一緒に居るし仲良しさんって感じ!」


「はいはいどうどう」


「オレは動物か何かッスかさっちゃん先パイ!」


 行くところが無くなったから部室にやって来た、ら、ハヤ先輩とサチト先輩に遭遇した。シノノメは相変わらずついて来ていたが、こいつは他に行くところが無いんだろうか。


「先輩達、何してるんですか」


「あ? ハヤがふらっふらしてたから休憩中だ」


 理由が安定過ぎる。


「フウカは今中に居る時間なんだよ」


 聞いた訳では無いが僕が無意識に視線を巡らせていたことに気付いたのだろうハヤ先輩がそう教えてくれて、そういえば先輩達のクラスはお化け屋敷やるんだったか、なんて理解する。


「フウカ先パイがお化けとかやったらマジガチ過ぎてオレビビるー! 番町皿屋敷とかやられたらやっばい」


 お前失礼だな。


「おう、フウカは確かそんなお化け役だったぜ?」


「『一枚足りなーい』――ってな」


 やってんのかい。


「フウカもノリノリというか……着物着るの楽しそうだったな」


「そしてノリノリなんかい」


「アサキ?」


 しまったつい口に出た。

 まぁ、フウカ先輩が良いって言うなら良いんだろうけど……ううむ、良いのか……?


「ていうかだったらお化け屋敷行きましょうよあっ君先パイ! お化け屋敷お化け屋敷!」


「は?」


「ね、ね!」


 人の腕を引っ張ってこいつは何をしてくれるんだ、先輩達も穏やかな笑顔とか朗らかな笑顔でこっちを見るな。


「あ、其れともアレですか? あっ君先輩実はビビり?」


「違う、ビビりが周りに多過ぎて違った意味でトラウマなだけ」


「へ? ビビり多いんか?」


「ユウヤもカイトもカトウも駄目なんですよ、サチト先輩」


 あいつ等本当人の首を絞める勢いだからな、其れが怖いわ。


「嗚呼、だったらアサキ、シギもビビりだから宜しく」


 そんなん宜しくされたくねぇよ。

 ゼンは平気だったかなー、なんてけらけらと楽しそうにするサチト先輩は放って、ハヤ先輩だけに挨拶をしてから部室を後にした。



「あ! 丁度ナツメっちとリョウちゃん先パイが交代の時間だし二人誘ってお化け屋敷行こうあっ君先パイ!」


「……もう好きにしてくれ」


 嬉しそうに笑みを浮かべたシノノメを見てから、僕は盛大に溜息を吐いた。


 後輩って……こんなに疲れるんですか……?






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