404+秋の行事。
「という訳で、文化祭近いです」
其れがハヤサカ先生本日第一声目の一言だった、アサキです。
何時もなら、「はい座って下さいとっとと出席――休み居ませんねはいじゃあ連絡――」とか偉くとんとん拍子で進めるのに(一年の時との差が素晴らしい)、今日は其の一言だけ言って、クラスの動きをフリーズさせた。
「今年の文化祭は少々遅くなりましたが、今月の末にあるのは知ってますね。ですが其の前に生徒会選挙等ありまして、ばたばたすることになると思います」
こっち見るな。
「時間を設けはしますが、どうせ暇なクラスなんですから時間見つけて自主的に動いて下さい」
「相変わらずハヤサカってば放任主義ー。っていうか生徒会選挙なんてどうせ立候補者居ないのにね」
ムラサメを挟んだ向こうでゼン君が苦笑する。そうなの? って顔でムラサメが僕を見るから、らしいよ、と軽く返しておいた。
「まぁ、生徒会選挙なんてどうせ無意味なので其処の二人、ちゃんと誰が役員になるか決めておいて下さい」
何だ知ってた、と同時に話振られた。
「ハヤサカー、俺とあっ君既に役員ですけど」
「知ってます、顧問誰だと思ってるんですか」
じゃあ何故僕等に言う。
「役職変わったら、ってことですよ。今の生徒会長はクロガネ君、其の後継を出来る人なんてそう居ませんよ」
「俺絶対やだ」
「僕だって無理だよ」
クラスで少々笑いが起きるけど、僕はあまりクラスで目立った立場にはなりたくないので直ぐさま口を閉ざした。
「ハヤ先輩の後って、誰がやんのよ」
SHR終わり、ゼン君がふと呟いた。
「……さぁ」
「そりゃハヤ先輩は貧弱だったけど、其れであのスペックって無理でしょ」
「僕の中ではゼン君一択だったんだけど」
副会長だし、やっぱり。
「ゼンならきっと出来るさ」
「ちょ、ミノルちゃんまで何をー」
「わたしは良く分からないけれど、きっと大丈夫よ」
「よく分からないのねムラサメちゃん……」
ゼン君って、普段ナルシシズム発言する癖にこういう時は謙虚である。自信があるのは外見だけなのか、そして僕から言わせれば、君も随分とハイスペックだから安心すればいいのに。
「まぁ、他の三人と話し合って決めるといいさ」
「ええ、きっとしっかり話し合ってくれるわ」
「其の流れで俺、今副会長だからなぁ…………ほら、あっ君が目を合わせてくれない」
「ナンノコトカナ」
去年は確かに半押し付けだった気がする。だってうちの兄貴とカイトにハヤ先輩のフォローなんてさせられないし、カトウは委員会入ってたし、そうなるじゃないか。ちなみに僕の思考回路で僕は常に棚の上だよ。
……そうなると本当、ゼン君にやってもらうのが一番良いと思うんだけど。
今言っても適当になっちゃうだろうから、また機会がある時にちゃんと言おうと思った。