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392+夏の合宿編。/二日目

「――って訳、分かった?」


「……うん?」


「え?」



「ユウヤ、どれくらい進んだん?」


「えーと、一頁と二問」


 二時間掛かったけどね、ユウヤだよ!

 数学も終わってないまま、絶対終わらない生物の宿題を先に始めました。リョウちゃんに手伝って貰ってるんだけどね! なのに全然進まないってどういう。


「遅ぇな」


「カイト君だってそんなに進んでない癖に!」


「あっははは」


 一日しか経ってないのに断トツで進んでないのが俺達である。ゼン君なんて昨日、あんだけサボってた癖に此の二時間で普通に抜いてったからね!

 ちらりと隣を見れば、頬杖突きながらさらさらと宿題のプリントを解くゼン君が居て。黙り込んでやると早く解けるっていうけど本当に早いらしい、……あれ、ゼン君もしかして其れもう終わるよね? ちょっ、俺どんだけ置いてかれんの!

 ……っていうか、やっぱりゼン君は黙ってれば格好良いんだから黙ってればい――


「ゆっ君」


「すみませんでした」


「え?」


 こっち見ないで呼ばれたから心読まれたのかと。キョトン顔で瞬きされたから「何でも無いよ!」と返して、気になったことを聞くことにした。


「ゼン君、宿題何処まで進んだ?」


「んー? あとー……漢字、……だけかな」


「「オンリー!?」」


 カイト君とハモった。


「え!? 二時間で何をそんなに!?」


「だから言ったじゃない、ゼン君やる気出せば二日だって」


 漢字は疲れたから明日にするわ、なんて言って、ゼン君は昨日よろしく横になっちゃった。くうう、俺だってだらだらしたいっていうか遊びたいのにいい。


「リョウコ、お前どんくらい終わってんだ?」


「ヒコクユウヤに生物教えてたから生物しか終わってないわよ」


「シノー、ナツメー、お前等はー」


「カイ君先パイとゼン君先パイのお陰で英語は終わって今もうちょいで謎い漢字練習みたいのが終わりまっす」


「俺は、数学が、未だ」


 やべぇやっぱり俺断トツだ……!


「俺とユウヤ、マジ進んでねぇなぁ」


 あ、俺達だった。



「やっぱり俺にはカイト君だけが味方だ!」


「はっはは! 違ぇねぇ!」


「やる気出ないんだから仕方ないじゃんかね!」


「そうそう、涼しい環境と美味い飲み物、おまけに遊ぶもんがあるのに勉強って、だあれがやるってんだよ」




「皆やってるんだけどねぇ」


「コイツ等には通じないのよ」




「俺もう遊びたい! 皆して宿題なんてやってないで遊べば良いんだよ!」


「そうそう、飯当番でアサキが居ない訳だしよ、サボってたってバレやしねぇっつーの」




「「…………あ」」




「ん? どうしたんだよ二人と…………」


 リョウちゃんにゼン君、入口の方を見て言葉を止めた二人を見て、カイト君も其方を見る。そしてカイト君まで止まったものだから、仕方なしに俺も見てみれば、


 ―――真っ赤な刃先の包丁片手に、無表情に俺達を見ているアサキがいらっしゃった。



「あ、アサキ」


「やれよ?」



 俺達の様子を見に来ただけなのか、はたまた昼飯作りで何らかの不祥事が起こったのかは分からないけれど。


「……え、ええとー、アサキ君? 何で包丁――」


「返事」


「「はい」」


 アサキは其れだけ言って戻って行った、多分キッチンに。



「……やろう」


「……うん」


 一気にテンションが下がった、そして身の毛が弥立った――そりゃ下がるでしょ……!――ので、満場一致(※二人)の意見を元に宿題を再開した。



「俺、あっ君の方見てくる」


「ええ、分かったわ」


 あの包丁にはビビった、のと同時に何かあったのも分かったけれど、其れはゼン君に任せることにしよう。じゃないと本当に、あの包丁の餌食になりそうなんだもん。


 アサ君に包丁――洒落にならない恐ろしさだ。






※恐らく適当に魚を捌いたからああなった。

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