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385+追ってみることにした。/前


「何処に居るのだろうね?」


「さぁなぁ」


 ユキだよ! 夏休みとは実に有意義な時間だね! 宿題なんてものは七月中に終わらせてしまったし、今日は何をしようかと思っていたら、なんとカイリから遊びにお誘いが入ったのだよ! なんとグッドタイミングなんだいカイリ! 君は私をよく理解しているのだね!!

 ――という、何時ものテンションは良いとして。私を誘うということは、無論アサキにも声を掛けた訳なのだが。


「ユウヤが言うには近場をうろうろしてるとか何とか、」


「珍しきアサキの行動力、必見だね」


 朝からどっか行っちゃってるんだよねー、近場徘徊してると思う。と、ユウヤに言われた。電話に出ず、ゲームでもやっているのだろうと自宅へ赴いてみれば、なんとそういうことらしい。


「外出んの面倒臭ぇって言ってる癖して、こういう時は行動力抜群なのな」


「一度吹っ切れたら長いのだよ、ああいうタイプは」


 用事は一度で片付けたい、というより、外に出てみたらやりたいことあったんだった、かな? 

 そしてたった今、私達は地元をうろうろとしている訳なのだよ。所謂アサキ捜索隊だね!


「用事だけだったらもう終わってんだろうに」


「ふふっ、其れを探すのが楽しいんじゃないか! Here we go! だよカイリ!」


 近場にしか居ないと分かっていても、見つかるかどうかなんて分かりはしない。でもだからこそ探し甲斐があるってものさ!


「……ユキって相変わらず、良く分かんねぇところで盛り上がるよな」


「何だい?」


「いや、何でも」










 最初に行ったのは、近場の本屋さん。


「あっさり見つかるもんだよな……」


「アサキって実は単純な生き物なのかもしれないね」


 雑誌コーナーにて立ち読みをするアサキを発見、探索時間は数十分だよ流石の私もびっくりさ。

 そのまま声を掛ければ良いのだけれど、何となく遠くからバレないように様子を伺う私達。


「……何故隠れたのだろうね」


「何となくだな」


 君も大概気まぐれだね。

 アサキの最初の目的は本を買うことだと聞いていたので来てみれば、だ。自宅を出てからそれなりに時間は経っているだろうに未だ彼、アサキは本屋に居たという。……うん? 本屋で延々と立ち読み? ――お店に迷惑だね!

 きっとそんなこと露ほどにも気にしていないだろうアサキが手に持つ雑誌は、カイリ曰くライトノベルの雑誌らしく――視力良過ぎるよ君――、もしかせずとも其の雑誌の小説を全部読んでいる……ということなのだろう。……本当に迷惑だね。


 そんな私の心情に気付いた訳ではあるまいけれど、視線の先の彼は雑誌を閉じ、元あった場所に戻して移動を始めた。やや、どうやら店を出るようだ。



「このまま隠れて、アサキがどんな店に寄るか偵察すっか」


 このまま帰るとは言い難いだろうアサキの後ろ姿、ついにはそんなことを言い出したカイリに私は苦笑する。……ふむ、まぁカイリを大概だなんて言う割に、



「うむ、其れは良い考えだ」



 ――乗ってしまう私も私なんだが。





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