382+ツッコミ担当は年功序列。
会話のみでお送りします。
スパーン!!!! バタッガタタタッ!!!!
「ねぇシギ兄、暇だから何か遊べ」
「――ストォォップ! 今何で平然と会話が進んだんすか!?」
「え?」
「襖! 倒れて! ボクの本棚が滅茶苦茶! ――ハイ正解は?」
「あら大変」
「…………」
「良いじゃん馬鹿兄、可愛い妹が暇だから一緒に遊ぼって言ってるんだから。ねぇソオ?」
「ふぇ?」
「ソオも居たんすか……!」
「当たり前でしょ、あたしが一人でお兄ちゃんと遊ぶと思う? っていうかお兄ちゃんの部屋の襖建て付け悪くない? 直したら?」
「其の建て付けの悪い襖を今さっき吹っ飛ばしたのは誰っすか……?」
「お兄ちゃんの部屋、ご本が沢山だねぇ」
「そうだねソオ、本が沢山散らかってるね」
「お前が本棚ぶっ倒したからだからね? ――嗚呼聞いてないっすね、人の部屋で寛ぐ気満々っすね」
「……だめ?」
「いや、全然構わないよ、ソオ」
「末っ子に激甘な兄の図」
「お兄ちゃんから始まるー夏の風物詩ー」
「はい? ええと、――宿題」
「ストップ、いきなり暗い」
「し、仕方ないじゃないっすか! っていうか人が飲み物運んで来て直ぐ山手線ゲーム始めるって何!?」
「あら凄い、よく分かったね山手線ゲーム」
「馬鹿にしてますよね?」
「ソンナコトナイヨ」
「棒読み!」
「お兄ちゃんすごい!」
「ありがとう、ソオだけがボクの味方です……」
「はい、続きね。ソオの番」
「ソオもやるの?」
「勿論。山手線ゲーム、夏って言葉に思い浮かぶものをひとつ言うんだよ」
「んー、んーと……」
「簡単ので良いんすよ? 暑いとかそんなのでも」
「流石に暑いは雑過ぎでしょ」
「まぁ、そうっすけど」
「――蜩」
「小学生のキャパ侮れねぇなおい」
「ボクじゃ一生浮かばなそう……」
「兄よ、其れで良いのか」
「っていうかさ、お兄ちゃんは夏休み友達と遊んだりしないの?」
「え?」
「あ、勿論ゼン君とサチト君抜きね」
「……え?」
「まぁゼン君はバイトだし、サチト君は受験生だからお兄ちゃんなんざに構ってる時間は無いだろうけど」
「…………えと、」
「……お兄ちゃん、友達居ないの?」
「そっ、そんなことは無いっすよ!?」
「……」
「ソオ! 悲しそうな目でボクを見ないで!!」
「本当かなぁ?」
「……居ます、居ますからね! ほらっ、アサキ君とか!」
「……嗚呼、ソオとミヤちゃんがお世話になった」
「あさきくーん!」
「ねぇソオ、其の、アサキ君はお兄ちゃんのこと何か言ってた?」
「?」
「っていうか、お兄ちゃんの友達っぽかった? お兄ちゃんと友達やってくれそうな人というか」
「うわあ、ボクの地位の低さに涙が出るっす」
「えと、お兄ちゃんのことをどうとかは言ってなかったです」
「嗚呼やっぱり」
「やっぱり!?」
「でも、二人共とーっても優しかったよ!」
「ふぅん、……優しいからシギ兄と付き合ってくれてるのか……」
「ちょっと其処、変な囁きやめるっす」
「ゆうやくんは、また遊びに来てねーって。あさきくんは、二度と来るなって言ってた!」
「――ちょっと待ってソオ、お姉ちゃん今びっくりした」
「ふぇ?」
「お兄ちゃんの友達、片方全ッ然優しくないこと言ってるじゃん」
「あはは、アサキ君らしい……」
「らしいの? そんな友達で良いの?」
「あさきくん、優しいよ?」
「……そうなの?」
「うん! ……ちょっとだけ、お姉ちゃんに似てるの」
「あたし?」
「お姉ちゃんは、お兄ちゃんとかお父さんとかお母さんとかに意地悪なこと沢山言うけど、ソオには意地悪しないの」
「まぁ、ソオは妹だしね」
「其の待遇が羨ましいです」
「あさきくんもね、意地悪なこと沢山言うの。でも、本当にそう思ってないの、ソオ分かったの」
「ふぅん……」
「……ん? 其の説で行くとユリの意地悪も本当じゃないってこ――」
「当たり前じゃん、あたしは本当に嫌いな人には声すら掛けないって。かっこお兄ちゃん除く」
「今一瞬だけ感動し掛けたっす! 返して感動!」
「お兄ちゃんだけ特別だぞ☆」
「全然嬉しくない……!」
「って訳であたしはそろそろ勉強しますわ」
「え?」
「此れでも受験生だからねぇ。来年、お兄ちゃんと同じとこ入る予定なんだから、少しはまともな生徒やっててよね、そうすればあたしの株も上がる」
「思考回路が真っ暗っすよねお前は」
「ばいばーい、ソオの相手宜しく」
「……結局襖、直さなかったっす」
「頑張って下さい、お兄ちゃん!」