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361+絶好日和? 体育祭!/午後4


「ったく……出るなら言えよお前、しかも同じとかマジふざけ」


「アサキ君はやっぱり速いっす!」


「楽勝」


 三人がそんな話をしながら戻って来た、ユウヤでっす。



「お疲れ様」



 シキちゃんの労いの言葉に「おうっ」と元気良く笑ったカイト君と、「三番でした……」と落ち込むシギ君。……まぁアサ君は何時も通りだから気にしない、――というか気にしたら負け感あるよね。

 シキちゃんはシギ君の頭に手を置いて、俗に言ういい子いい子をしている。気持ちシキちゃんが嬉しそうなのは恐らく、実の弟には出来ないからなんだろうな、身長的に。


「和む」


 ほら。


「わたしとフドウ君、実は同じ部活だった」


「へー、茶道部?」


 頷くシキちゃん。そして、




「――ずっと気付かなかった」


 シギ君は大分大きめなダイレクトアタックを喰らうのだった。


「名前が似てる人が居るなぁ」


「……」


「あなただとは思わなかった」


 そして更に追加攻撃をしたシキちゃんだった。













「っていうか、今って何組が勝ってるとかあるの?」


 雲行きが怪しい中開始されるは部活対抗リレー、部活対抗って軽く言うけど此れには生徒会的に非常に苦しい事情が絡んでいるので無下には出来ないとのこと。部費アップって凄いのね、俺達の部活全然興味無いのに。



「得点板見ても無駄だよ、計算狂ってる」


「あ、そなの?」


 トラック半周ごとに借り物競争をしてリレーするっていう俺ですら一回で理解出来た単純明快な競技が一番厄介とか……。

 キョロキョロしてたら俺よか後に走るアサ君がそう指摘してくれた。見ても無駄とかどんだけ。


「……っていうかさ、」


「ん」


「――アサキと味方でこういう競技出るの始めてじゃない?」


「……まぁ」


 小学校も中学校も勿論違うクラスだし、部活も入ってなかったから当然といえば当然なんだけど。

 アサ君も返事から聞くにどうでも良いんだろうけど、何だかちょっと嬉しかった俺だった。




「あ、始まった」


 適当にだべってたらパァンっていう乾いた音が校庭に響いて軽くビビッた。スタートの合図だったみたい。


 ――実は競技に入る前。

 一チーム六人で行われる競技だからって二年全員と後サチト先輩が出るはずだったんだけど。


『俺出れなくなったからムラサメ頼んだ』


 そんなメールがムラサメ君の携帯に来たらしく、今にも泣き出しそうなムラサメ君が俺達に其の画面を見せ付けて来た。代わりに出るのそんなに怖いか……!


 サチト先輩絶妙なことにアンカーだったんだけど、何か無理だと悟った俺達は急遽順番を変更。最早誰が何番かとか知らない。まぁ俺の後ろにアサ君が居るからアサ君は四番手なんだろうけど、俺二番だし。


「あ、投げ捨てた」


「え、何が?」


「カイト」


 一番手はカイト君だったらしい、借り物ポイントで拾い上げたと思われる紙を振り上げて叩き落とした。去年は普通の借り物出たけど、……また無茶な注目なんかね。


「面倒なのとか出たら怠いな」


「俺去年会議室の机運んだ」


「……」


 一度指定位置まで戻ったカイト君は次の紙を拾い上げた、――あ、今度は走ってった、何か叫びながら。


「ほのちゃん何処だよ!!!!」


 嗚呼、ほのちゃんか。



「っていうかさ、ゼン君は?」


 カイト君が次の俺に回せそうなのを見てから気付いたこと、確かアンカーはゼン君に仕立て上げごほんっ――になったはずなんだけど。アサ君の後ろに居なきゃおかしいよね?


「ハヤ先輩達んとこ戻ってからまだ戻って来てない」


「え!? 競技始まってんのに!?」


「ゼン君は多忙なんだよ」


 心底怠そうにアサ君は溜息を吐いた。っていうか来るよ、と続き言われ見てみると、たすきと共にカイト君が此方にやってくる最中だった。


「じゃ、行ってくる!」


「トチるな、以上」


「おけ!」


 他の部活も借り物の内容に苦しんでいるのか、先行してる人達もそんな前に居る訳じゃあない。

 よーし、いっちょ頑張りますか!










「紙なんて書いてあったの」


「最初が此れ、次がこっち」


 全力疾走してきた多少息は切れてるものの、言葉には不自由なくカイトは僕に紙を渡した。というかお前叩き付けたの拾ったのか。


 ――“あなたの好きな教科の教科書(※五科に限る)”と、“担任の先生”ね。


「俺最近英語の教科書持って来てねぇし学校に」


 其れは持って来いよ。



 次を走り出したユウヤは、丁度紙を拾い上げているところだった。躊躇いなく走り出したのは――校舎?


「何だったんだろうな」


「さぁ」


 去年恐らくダミーで入れたんだろう会議室の机運んでしまう奴だからな、実行委員どんまい。


「此れは……何か、余裕で勝てそうじゃねぇ?」


 カイトが僕の横に座り込んだのを目で追った後、視線を一走目に持っていく。未だ燻ってる部活もある、……というか。



「こ、こんな失礼なの出来ねぇよ!」


「……“河童”って居るの?」


「“此の世以外の生き物”と“河童”の違い!!」


「“一番嫌いな先生”……!?」






 ――此のリレー、完走出来る訳?





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