36+突撃☆お宅訪問。/中
「はっはっはそーかそーか!」
「そーだそーだ!」
はいまたまたこんにちは、アサキです。ただ今人の部屋で叫びました二人は前者が金糸青年、後者が黒髪若干茶髪少年です。嗚呼、後者はユウヤな。
「いんやー、マッヒーに弟居たのなー!」
「居るぞ! マッヒーにゃ弟の一人や二人居るっつーんだ!」
「そっかー、マッヒーにゃ居るのかー」
――会話がカオスティックバイオレンス。
あ、意味はない、適当だから。
出来事は数分前に遡ります。
――
『『誰?』』
『や、こちらこそ』
『マヒル兄の部屋に今風な不良が不法侵入!』
『捕まえろ』
『ぎゃー! ――ってなるかボケ!! 特にそっちのやる気なさ気の方! ボケに覇気がないぞ覇気が!!』
『何故見ず知らずの貴方にそんな指摘をされにゃいけないんですか僕は』
――
という会話がなされた後に発覚しましたマヒルの弟'sという事で今に至ります。
「あ、俺マヒルのダチのセツってんだ」
「せっちー?」
「あだ名つけんな初対面の人に」
「せっちー、……うん、良いじゃねぇか。ユウヤっつったかお前? 全くマヒルに似てねぇな!」
「お褒めに預かり光栄です!」
褒められたのか其れは。寧ろ貶されてないか。
「俺たまに此処泊まり来てんだよ、家は家族がうっせぇからよ。マヒル、今日バイトで帰って来んの遅いんだぜ?」
「知ってるよー? だから抜き打ちチェックしに来たとよ」
「あー、一人暮らしのか? だよな、男の一人暮らしなんてちゃんと出来てるか心配だよな……! 健気な弟達だ……!!」
あーあ。遊び半分だなんて口が裂けても言えなくなった。どうやらセツさんはとても兄貴部類に入る人な様だ、兄貴同様見た目は格好良いのに。
「よし、じゃあマヒルが帰って来るまで此のセツお兄さんと待っていようではないか」
「よしきた!」
そして此の人は僕等が居座る気なの知ってるのね。――って貴方も居座るのね。……マヒル兄も大変な友達を。
「そいじゃあ夕飯でも……」
そう言ってセツさんは冷蔵庫をバタッと。……ってマヒル、立派な野郎冷蔵庫まであんのかよ、どんな大学生ライフ送ってんだちきしょー。
「ろくなもん入ってないから鍋にしようぜ、鍋」
「お、超イカす料理だ!」
「僕だって鍋が材料突っ込むだけの料理だって知ってるんだからな」
え、ちょっと違う? 良いんだよ、作らないんだから。
セツさんとユウヤは此処を兄貴の部屋だと覚えているのだろうか、そんな勢いでひょいひょい夕飯作りを開始してしまった。
そんな中――
――~♪(※着信音)
「お、電話?」
ユウヤがのんびりとキッチンから言う。誰の携帯とかだろ。
「こーんの着信音はマヒルかな? 悪いけどアサキ君取ってくれー」
同じくキッチンからの声。嗚呼、セツさんの携帯か。つか僕の名前を覚えてたのかあの人。部屋を這い蹲る要領で歩き、黄色な携帯を発見。……黄色……まぁ良いか。其の画面には“真昼”と表示されていた。何だよ、普通かよとツッコミを入れそうになったが普通の何が悪い自分……!!
「……」
「アサキ君?」
「あ、はい」
何となく携帯を見ていたら催促された。……よーし。
ピッ。
「もしもしマッヒー?」(※アサキです)
『あ、もしもしセツ? マッヒーって言うな、今俺ん家?』
「うん、そうだけどどうかしたんか?」
『いや、あのさぁ――』
超ハイテンションで出てやったら気付きゃしねェぜマヒル兄……!
「あるぇ、ユウヤ君あれ誰?」
「知らないんですか? マヒル兄の弟だよ?」
「嗚呼そうか」
何やらキッチンからそんな会話が聞こえたが僕は知らん顔します、マヒル面白。
『さっき母さんからさ、もしかしたら弟がそっち行くかもー……って電話が来たんだが』
母さんバラしたのか。
『だから――』
「おーけーおーけー。その弟をどうすりゃ良い訳? 追い返すかー?」(※だからアサキです)
『――や、俺が帰るまで捕まえて』
「……」
『前話したじゃん? 双子の弟達。片方確実にすぐ帰りたがるからさ』
確実に僕だ。ていうかセツさん僕等のこと知らない風だったけど?
『んで片方は捕まえとかねぇと騒音的問題が――』
確実にユウヤだ。
『つー訳で、早めに帰るから逃がさんといてな』
「……しっかたねぇなぁ! このセツ様がしかと捕らえておいてやるぜ!! 早く帰らないと飯食っちまうからなー!! じゃ!」(※何時までもアサキです)
『おう。じゃなー――って待て! 今飯つったか!? もしかして俺の家の勝手に使う気――』
ピッ。ツー……ツー……。
「「気付かないんだマヒル(兄)」」
「電話越しだからな」
キッチンからの声を再び聞く。……まぁ、気付かなかったのは良いが、あの即興セツさんテンションがあっていたのが凄いと思う。そして何か言ってたが知ーらね。
「セツさんセツ様とか言うキャラなの?」
「言う時もある」
言うんだやっぱり。
テンションがカイトっぽいからそうかと。
ま、それはさておきとして。僕は一人備え付けのテレビでアニメ鑑賞でもするとしよう、料理は専門外だから大人しく見てますよーだ。……別にグレてないけど。
「もう全部入れようぜユウヤ君」
「だねー。もう全部入れちゃおっかー」
「ダシ汁にこれとあれとそちらと――」
「うん? あ、じゃあお菓子入れよっか」
「最後に俺が持ってきた此れ入れようぜ!」
「え、あ? ……まぁ今日はいっか、どうせ休みだし」
――だから、言葉だけの見解が僕に分かる訳ないんだけどな。