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359+絶好日和? 体育祭!/午後3



「垂れ幕がマジで落ちる二秒前だったのとあれだけ言ったのに看板のロープの巻き方甘過ぎだったのと午後分の得点計算が果てしなく狂ってたのを除けば何も無かった」


 うんありがとう、ある意味充分だよね。ゼン君だよ。

 色々わたわたしていたからか、時刻は何時の間にか二時を回っていた。あれ、俺なんか体育祭らしいことしたっけ、あれ?

 巡回の結果を口答プラス真顔で発表してくれたあっ君のお蔭か、今のところあれ以来目立った失敗は起こっていないけれど。



「あと、先輩達は大丈夫だった」


「嗚呼、見に行ってくれたんだ」


「通り掛かったから」


 ――此れ以上何か起きるようなら、今度こそブチ切れちゃうかもなんだけどな?

 そんなことを考えつつも、とりあえず出場競技をサボる訳には行かないから、其処をハヤサカに任せて俺達は校庭に出てった。







「ゼン! アサキ!」


「やっほうミノルちゃん、そんなに急いでどうしたの?」


 校庭の一組の荷物置場に戻る最中、ミノルちゃんが慌てて此方にやってきた。一体全体どーしたんだい、余談だけどミノルちゃんのポニーテール超似合い過ぎてて感動した。


「戻って来てくれて助かった、短距離の男子生徒が前競技で怪我して走れなくなったんだ。どちらか出てくれないか? とクラス一同が」


 私はお前達を呼びに走らされる使いっぱしりという訳だ、ミノルちゃんが真顔でそういうから何も言わなかったけど、其のミノルちゃんを使いっぱしりに出したのが野郎だったらタダじゃおかねぇ。

 まぁでも、頼られてるんだから期待には応えたいよね。あっ君はこういうのどうせ出ないし、だったらゼン君が――


「行く」


「え?」


 ――凄い現象を前に驚愕でどうにかなるかと思った。

 めっっっずらしいというか何と言うか、え?


「あ、あっ君出てくれるの? あっ君?」


「良いのかアサキ、走るんだぞ?」


「何でどちらかって選択肢出したエノミヤまでキョドってんの?」


 そりゃそうだろ、幾ら去年クラス違うからって数ヶ月間であっ君の行動なんざ熟知済みだよ俺もミノルちゃんも。


「クラス対抗しか出ないし、今なら疲れてないしゼン君大変だし。――出る」


 使わな過ぎて既に堅結びになってしまっているはちまきを解こうと試みながらあっ君は言って、若干労られていることに気付いた俺。ミノルちゃんはそんなあっ君の態度にふっ、と笑みを漏らし、「じゃあ、頼んだぞ、アサキ」と一言沿えるのだった。


「確か短距離って、カイ君とシギが出るんだったよ」


「勝ってくる」


「さっすがあっ君! カッコイイね!」


「カッコイイぞ、アサキ」


「……エノミヤはゼン君の言葉を鵜呑みにして繰り返すの止すべきだと思う」


「あ〜、あっ君照れて――パス!! ノールックからの左ローはいけない!!!!」


 あっ君をからかうのが命懸けというのはゆっ君達見てれば分かることなんだが、実際やってみると本当駄目だ、今脅威のスピードで俺の膝持ってかれるところだった……!! 輪切り寸前だったよ俺の脚!!!!


 やっとのことで解けたはちまきを手に、――俺にローキックを入れたことなど忘れたかのように――あっ君は競技へと向かっていった。


「頑張ってねー、あっ君!」


「おう」


 低いテンションを引き摺ってはいるけど、アレで機嫌が良いんだから普段が凄いよなぁ。











「え!? アサ君何で短距離出てんの!?」


「……え!?」


 俺の出る競技が終わって直ぐにそんな現実を見て、今までで割と上位に入る程驚いたユウヤです。え? あ? 何で?

 一緒に居たリョウちゃんも時間差で驚いている、ですよねー。


「うちのクラスの出場者が怪我をした」


 そんな俺達の驚愕に答えをくれたのは、これまた一緒に居たシキちゃんだった。


「代わりを足の速いヒコク君に頼もうか、とクラスの人が言っていたけれど、去年からのクラスメイトが其れは無理だと言って、」


 嗚呼、誰だか知らないが良く分かってらっしゃる。


「だったらゼン君に、とまた誰かが言ったけれど良く考えたら二人共見当たらず、」


 実行委員共の所為でね。


「ミノルちゃんに探して貰いに行った結果が、此れ」


 ――という訳らしい。

 アサ君が自ら出るなんて言い出す訳が無いし(※偏見)、ゼン君が忙しかったのかなぁ? 不思議ではあるけどとりあえず思うのは、完全に一位は持ってかれたなっていうことのみ。


 三人で話していればあっさりと走者が走り出して、


「――ほれ見ろ、アサ君がユキちゃん以外に負ける訳が無い」


 ってなる訳で。



「「……」」


 リョウちゃんにシキちゃん、何故か双方だんまりだったけど。


「……ヒコク、……ユウヤ君」


「何でフルネーム?」


「アサキ君って普段、何だかこう………………のんびりしてるというか……」


「良いよ其処は怠がり屋とか言ってくれて」


「……なのに、足があんなにも速いことに、わたしはとても驚いた」


 ですよねー!

 あの子人生の半分以上を本気で生きてないからこそ、本気出すと速いんだろうね! とか最近考えてるよ!! カイト君はどっちかと言えば長距離派だし、シギ君なんて完全そっちだしね。二人共――っていうかカイト君――走り終わってからアサ君にちょっかい出しに掛かっている。



「リョウコちゃんも、其れに驚いているの?」


「――え!? あ、嗚呼、私?」


 そして其の横で黙り込んでいたリョウちゃんにシキちゃんは声を掛けて、首を傾げながらリョウちゃんの表情を伺った。まぁ、リョウちゃんは元々知ってるしね、違うことだとは思うんだけど。


「いや、何でも無いのよ? ヒコクアサキ速かったわねー、ってのは別に知ってたから」


「っていうかリョウちゃん、其の後上見てなかった?」


 何となく見過ごしていなかった俺。ギクッ、と肩を揺らしたリョウちゃんは恨めしそうに俺を見て、――諦めたように溜息を吐いた。……何かごめん。



「――雲行きが、さ」


「「……」」


 シキちゃんが上を見て、俺もつられて上を見る。リョウちゃんが言う様に雲行きは朝から更に悪くなっていて、このままだと雨が降るのも時間の問題なんじゃないか、って感じになっていた。


「雨を危惧していたのね」


「違うよシキちゃん、リョウちゃんは雷が――」


「違うわよ馬鹿っ!」


 食い気味に否定された、此れは図星だね。

 種目も後少しだし、頑張ってくれないかなぁ、なんて俺は思うんだけど。



「雨が降ったら、――涼しくなりそう」


 シキちゃんは非常にマイペースに、そんなことを呟くだけだった。





 残りは部活対抗とクラス対抗リレーだ、よーっし、頑張るぞー!





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