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357+絶好日和? 体育祭!/午後1


 午後の部始まったけどユウヤのまんまだよ!


『ぅおりゃあああああ!!!!』


『ぅおらああああああ!!!!』


 等。勇ましい掛け声が響いています午後初っ端の競技は二年全体玉入れです。テンションがマジ過ぎる、数秒前まで『玉入れなんて餓鬼っぽい』とか文句聞こえてたんだけど?

 まぁ俺もマジで玉投げまくってんだけどね、……入んないけど!! 隣ら辺で投げあかしてるカイト君も全然入ってない、手数は多いんだけどなぁ。寧ろ投げた玉が正面の人に当たってる、痛いよねごめん。


「ったく、此れだからこういう競技は好きじゃねぇんだよ……」


「そなの?」


「力任せにやれねぇのなんて、俺には向いて――ない!」


 そして投げた玉は再び籠を掠めて地面に落ちた。

 玉を投げながら横目に、他のクラスの様子を盗み見――たら一組メッチャ入っててびっくりした、え、何其れ既に定員オーバー?


「アサキこういうの得意なのな」


 俺の唖然に気付いたカイト君が身体をずらして其方を見れば、けっ、とつまらなそうに声を上げてもうひとつ玉を投げた。

 黄色いはちまき集団のほぼど真ん中、籠の真下で多くの玉を抱えて黙々と玉を入れ続けているアサ君を発見。地面から拾ってる様子は無い、……どうやらムラサメちゃんが運んでるのをアサ君が投げてるだけらしい。真下から下手投げで上げられる玉は、かなりの高確率で籠に納まっていた。……そうか、真下なら玉と玉がぶつかって邪魔し合うとかが無いんだ!


「アサキの奴考えたな……!」


「違うな、アレはただ単純に玉入れんのが楽しくなってる顔だ、其れ以外他意は無ぇ」


 確かに。うちの弟がクラス貢献とかするはずがない、ただ投げてみた玉が入ったのが楽しかったんだ絶対。カイト君は呆れ顔でそう言ったけど、流石だなぁ、アサキの解説させたら右に出るのはマヒル兄くらいだろう。

 ゼン君やミノルちゃん、二人は其れなりに背も高いし、運動神経も良い。……一組って実はすっげぇ強いんじゃないの?

 正反対の三組を見てみた、青いはちまきの中からはっ君は直ぐ見つかったけど、シギ君何処? 小さくて見えな――居た、金髪だから分かった。まぁ其れなりっぽい、何か二人共のんびりしてるけど楽しそうだし。


「楽しければ何事もおっけいだよ――ね!」


「そういうこっ――た! っしゃあ入った!!」


 俺達も其れなりに楽しんでるんだし、今はまぁいっか。








「二番だったねえ、二組なだけに」


「そうね、一組が一番だったわね、一組なだけに」


 リョウちゃんとテナちゃんが何か言ってる。競技後に戻って来たシートに座りながら、二人はそんなことを呟いた。


「リョウちゃん……暑いの?」


「別に逆上せたりしてないからね? たまには乗ってみただけよ?」


 何だ、良かった。


「次まで結構時間あるし、飲み物でも買って来ようかしら」


「あ、テナも行く行く!」


 リョウちゃんはひとつ伸びをしてそう言った、テナちゃんはテナちゃんで其の言葉にいち早く賛同しぴょんっと立ち上がる。

 俺も買ってこようかな、なんて考えて此処からは見えない自販機の方を見遣れば、見知った影がキョロキョロと辺りを見回していた。ん、どうかしたのかな、挙動不審? ……何時もか。



「ムラサメくーん!」


 ――声掛けただけでびくってされた、先輩ショックでかいわ。

 けれどムラサメ君は数回瞬きをしてから俺達の方へ来てくれた、わはっ、良かった、嫌われてはなくて。


「何してんの? 探しもの?」


「……あ、の」


「うん、」


「……」


「リョウコお、リョウコ達んとこの後輩クン?」


「えぇ」


「超イケメンクンって感じい! いいなぁ、うちの部活男子居ないからさあ」


 テナちゃんの所為でムラサメ君が赤くなって黙ってしまった、テナちゃんが悪い訳ではないだろうけどどうしてくれる。


「……ッ」


「ムラサメ君! テナちゃんのことは気にしないでね!」


「……テナ……?」


「え、テナちゃん、がどうかした?」


 赤くなったのから一転、テナちゃんの名前を聞くなりムラサメ君は小さく、其れはもう小さく首を傾げた。


「……ワタヌキ、先輩が」


「ゼン君が?」


「ヒコク先輩……あ、アサキ先輩と、……其の、テナ……先輩を、呼んで来て欲しい、って」


 なになにー? と自分の名前に反応したテナちゃんと、だから……アサキ先輩、探してて……と俯きがちに言うムラサメ君。どうやらゼン君のお使いだった様子、頑張ったね……!!


「アサ君ならあっちの日陰でシギ君とキャッチボールしてたと思う、俺が呼んできてあげるから、ムラサメ君はテナちゃんと一緒に行ってよ。場所は?」


「……実行委員、テント、です」


 嗚呼、またかい。三度ですか、本番。

 テナちゃんを呼んだってことは美術部関連で何かあったのかな、ま、行ってみれば分かるか。


「じゃあテナはあ、此のイケメンクンと行けば良いのねえ?」


「うん、そゆこと」


「…………」


 大丈夫かな、ムラサメ君。


「じゃあリョウコ、ちょっと行ってくるねぇ」


「いってらっしゃい、飲み物何か適当に買っとくわよ」


「ありがとお!」


 行こうねえっイケメンクン! と、テナちゃんは意気揚々と行ってしまった。


 ……至極心配だけどとりあえず、今は早く野球部じゃない野球少年を呼びに行かねば!






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