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35+突撃☆お宅訪問。/前


「抜き打ち☆大調査ー!!!!」


 はいごめんなさい、アサキです。兄が騒いでごめんなさいアパートの皆さん。


「アサ君ったら何黙りこくっちゃってるのさー!!!!」


「お前が五月蝿いんだよカスが」


 むー、と膨れて黙るユウヤを他所に、僕は二階建てのとあるアパートを見上げる。

 ただ今僕等は隣県某所のアパートの前に居ます。誰の住む場所かと聞かれれば、他でもない我がもうひとりの兄であって。


「今日は暇だからマヒル兄の抜き打ち調査に来たんでしょ! もっと張り切ろうよ!!」


「暇な時点でもう駄目な気がすんのは僕の気の所為?」


 と言う訳で、正月終わってそそくさ帰って――え、帰ったの知らなかった?――次春休みまで帰って来ないマヒルの家に突撃訪問する事にした双子の気まぐれ企画。……何してんだろ、僕等。

 ……ユウヤがノリノリだからまぁ良いか。


「つっても鍵は?」


「大家さんに借りれば良いんじゃん」


 自由だな。

 そして本当に鍵を借りたユウヤがマヒル兄の部屋まで前進。無駄な行動派だ。

 確か、兄貴は二階の――あった。雑に書いた風なのに上手い兄貴の字で“緋刻”と書かれている。


「がちゃりんぬ」


 変な効果音は要らん。ユウヤが鍵を開けて僕等は中に入る。……うーん、流石1LK、まずまずの広さ。つかマヒルにゃ勿体ない。


「マヒル兄、こんな良い部屋に一人暮らしだと!? なんつー嫌味だ大学生の分際で!!」


「まぁ、金はあるからな」


 うちだもん、大学くらいの金はありますよ。


「金ばかりの問題ではない! 一人暮らしにテレビなんていっつもったいない!!」


 英語にするならちゃんと発音しろ。つかユウヤ五月蝿い、此処恐らく防音じゃないよ。


「ちきしょー!!」


 ぼすん。

 ユウヤがベッドにダイブしてじたばたしている。そんなに羨ましいのだろうか。一人暮らしなんてかったるくて僕には無理だと思うよ。


「ユウヤ、何時まで居るの」


「マヒル兄帰って来るまでー」


「え、今日あいつ夜までバイトだって……」


 さっき電話して確認したじゃないか。そんな時間まで居たら夕飯とかどうするんだよ……?


「いっそマヒル兄にたかろうぜ!」


「一人暮らしの大学生になんて負担を与えるんだ」


「まぁ良いじゃん」


「まぁ良いけどさ」


 と言う訳で、マヒルが帰って来るまで僕は本でも読みますかな。









 カンカンカン――


「およ」


 階段を登る音。帰って来たか?


 ガチャ、ガチャン


 ユウヤが(何故かまた)締め直した鍵を開ける音。やはり兄貴だったらしい。先ずどんな反応をするんだか――


「ふー、やーっと着いたー」


 ――あれ?


「あれ」


「……」


「あ?」


 ユウヤ、僕、そしてマヒルと同年代の――誰か。


「「――……誰?」」


 髪を金糸に染めた大学生程度の誰かに僕等は言った。マヒルの部屋にやってきた此の人は一体――?



 あ、続くんだ。



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