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329+皆色々考えてる。



「俺様ストレート!」


「うわー、ツーペアだし」


「ストレートフラッシュ」


「「何でだよ」」



 ユウヤでっす、やっぱりトランプやめようよ、さっきからアサ君ボロ勝ちだよ。……ボロ勝ちって何つー単語だよ。


 関東東北……ええと、東北地方……あれ? 何だっけ、ともかく大地震の影響で計画停電とやらが始まりました。関東に居る俺達が出来ることなんて募金とか献血とか節電くらいだし、遊びに来たカイト君混ぜてこうやってポーカーやってるんだけどさ。


「通算全敗って……此れ何が楽しいん?」


「まぁまぁカイト君」


 うちの地域も被害が無かったと言えば嘘になるけど、今やもう不便はほぼ無いし。俺としては暫く不安で仕方なかった――というか今もちょっと不安だけど――けど、


『――気分が沈んじまうのは仕方ないことかもしれねぇけど、楽しむことに罪悪感を感じるな。お前もアサキも俺も、出来ることは高が知れてんだ、だったら何時も通り馬鹿やって、“何時も通り”を頑張れば良い』



 早朝からバイトに出掛けてるマヒル兄がそう言ってたから、頑張ることにした。そろそろ帰って来る頃かなぁ。

 何時も通りを頑張る、って、すっごく大事なんだって。だから頑張るよ俺、何時も通り!



「ゲームすっか」


「そうする」


 一人意味の無い笑顔を浮かべていたけど其れは二人に全スルーされた、畜生。とうとうトランプに飽きた二人ががちゃがちゃとハードをセットし始めたけど結局こうなるのね、カイト君遊びに来ると基本的ゲームしかしないから知ってたけど。

 幾ら節電って言ってもアサ君達にとってゲームが趣味だから咎めるつもりは無い――趣味を奪われるのは辛いしね――。

 でもひとつだけ、驚くことあれだけ毎日欠かさず数時間以上ゲームしてたアサキが『今日は節電』とか言ってやんない日作り出した、――俺的最早驚愕。



「そういや知ってる?」


「何をー?」


「知らん」


「未だ言ってねぇよ」


 アサ君の早めの否定に律儀にツッコミを入れてからカイト君が続けた。



「秋葉でガイガー・カウンター売り切れたんだと」



 ……何其れ。

 我ながらキョトン顔を披露した俺はついアサ君の方を見た。アサ君は俺以上に怪訝そうな表情をしていた。いや、俺は怪訝そうにはしてなかったと思うけど。

 カイト君はカイト君で何知らないのお前等ニュース見ねぇの? みたいな顔されたけどそんなニュース見てないしやってたなら教えて欲しいです。


「ただいまー」



「あ、マヒル兄」


「マヒルに聞けば分かるかな」


「マヒルさんに聞かずとも俺様に聞けば良いだ――」


「お前に聞くの何となくムカつくんだよ」


「……」


 俺は別にムカついたりしないけど、アサ君が嫌みたいだから良いか。

 リビングにやって来たマヒル兄にさっそく例の……ガイ……ガ、……ともかく其れについて聞いてみた、もう忘れたわ……!!


「ガイガー・カウンター? 放射線の量計るやつだろ?」


 にしても本当何でも知ってるんだね此の人。


「放射線量計測器っつったか、ヤ○ーのニュースで言ってたな」


「よく見てるねそんなの」


「テレビはあんま見てねぇからな、携帯で見てんだよ」


「俺は2○hで」


「帰れ」


 ニュースですら無かったよ、流石半ネト充。そう言ったら俺様はROM専だ! と豪語された、ROM専の意味は近くのネトサ好きのお友達に聞いてねー!



「そんだけ皆不安ってことだろ? 被曝したらどうしようー、って」


「俺だって不安だよ!! 大丈夫なのかな!?」


「大丈夫も何も危険じゃねぇって言ってんだろ専門家の人等が。……俺は少し騒ぎ過ぎだと思うけどな、国民が」


 少しでも自分で理解出来れば良かったんだけど、其処からマヒル兄の話難しくなって一寸も理解出来なかった。すまんアサ君、後で要約して。



「――ま、何はともあれ、うちは買い溜めとかしねぇからな、俺等が買い溜める意味なんて此れっぽっちも無ぇんだ。……寧ろ、供給を減らしてでも被災地に送るべきだっつーのに」


 最後にそう言ったマヒル兄はちょっと怒ってる風だった、何か珍しい、バイトで何かあったのかな?

 此処までずっと立ち話だったマヒル兄はやっと鞄を下ろし、「さーて、俺昼飯食うわ」とキッチンに向かった。もう昼過ぎだもんね、お疲れマヒル兄。



「俺さ、」


 俺とマヒル兄の声しかしなくなったのは二人がゲームを始めたからなんだけど、画面に視線を送りながら、カイト君は呟いた。


「テレビとかで言ってること全然理解出来てねぇし、頭も良くねぇから言われたこと全部信じちまうし不安にもなるけど、――頑張って欲しいな、って思うよ。被害に遭った人も、被災地で救助活動してる人にも」


「……そだね」


 カイト君の表情は一切変わらなかったけど、カイト君なりに色々考えてるんだなぁ、と思った俺だった。




 さてと、二人がエキサイト始めたところで、マヒル兄の手伝いしてきましょうかね!






出来るだけ言葉を慎んでの更新が続くと、アサキが温厚になりそうで怖いです(暴言がなくなる的な意味で)

でもきっとなくなりません、なくしません、だってそんなのアサキじゃない(笑)



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