321+いざ、白銀の世界へ。/in昼休憩
ユウヤでっす! 結局あの後班の皆と合流出来たのは昼ご飯ギリギリでした! 一人孤独にフリー滑走、……ふっ、――結構楽しかった。
「――という訳で、今後ははぐれたりしないようにして下さいね」
「はーい、すみませんでしたー」
視界が良好じゃなかった所為もあったから仕方無いが、と前置きを入れながらもそれなりにハヤサカ先生から注意を受けた。こう先生から説教されてると中学を思い出すなぁ、あの時はカイト君も一緒だったけど。先生達元気かなぁ? 何か久し振りに会いたくなってきた、今度会いに行こうかな。
「全然すみません感が漂って来ないので昼食抜きにしてやっても良いんですけど」
「すみませんでした!!!! もう二度とはぐれたりしません!!!!」
とか他のこと考えていたのがバレたっぽい、先生が通常テンションでそう言うから全力で謝った。
「ようユウヤ、お疲れ」
「お疲れ様です! あ、カレー持って来ておきました」
「うん! ありがとーシギ君!」
スキーウェアのまま皆で集まって班ごとに昼食のカレーを食べている、其の自分の班のところに来れば既に一皿食べ終えておかわりしに行こうとしてたカイト君と其れを見て苦笑するシギ君が居た。俺のも運んでくれてたのか、ありがたや。
「ハヤサカ先生の説教はどうでしたか?」
「まぁ、実に義務的な説教だったよ」
実に教師らしいというか、表情は全く怒ってなかったから多分説教というよりただの諸注意って感じかな? シギ君はそんな俺の言い草に苦笑したけど、俺からしたら説教なんて受け慣れ過ぎてどうとも……。
「ユウヤは説教慣れしてるもんな」
そしてそんな俺の心境を最も良く知っているであろうカイト君が山盛りカレーと共に席に戻ってきた。相変わらず食うなぁと思うけど俺も食いたいから早く食おう。
「そういうカイト君だって慣れてるでしょうが」
「はっはっは、俺様最強説」
「そういう方面で最強なのはどうなんでしょう……」
シギ君の正論は綺麗に流す俺達。
「中学ん時雪合戦本気になり過ぎてアサキに怒られたよな」
「あー、あったあった、俺次の日風邪引いた」
「俺も風邪引いた」
「何で怒られる程本気でやってるんすか……!」
「あとはそうだな、テストの点が低過ぎて怒られた……此れもアサキに」
「教えたのに出来ないってどゆこと? って良い笑顔で言われたっけ……」
「お二人共! ヒコク君を怒らせ過ぎっすよ!!」
「他にも何度もあるよなぁ、俺なんて中学からの付き合いだけど数え切れねぇくらいあるぜ!」
「全然自慢にならないですって!!」
よく考えると確かに俺達アサ君を怒らせることばっかりしてる気がする。シギ君が健気にツッコミを入れるけれど、カイト君はどうしたって笑い飛ばすだけだった。アサキの友達だって言って仲良くなったけどそうだよね、俺達色々やらかしてきたけど、やらかす度懲りずにアサ君怒ってくれたっけ――ほぼ呆れてたけど――。そして俺達も懲りずに何かをやらかす、と。
怒ってくれる人が居る内が花とか言うけど、怒ってくれるのが弟っていうのもアレだよね、っていうか弟怒らす兄ってどうよ。
「怒らすと言えば思い出すのはサックラせんせーだよな」
「嗚呼、サクライ先生ね」
俺なんて担任でもないのにメッチャ怒られたっけ、いや、あの人の場合怒るっていうかそれこそ説教っていうか。でもあの人先生らしくなさ過ぎるのがいけないんだよ、どんだけフランクだったんだよ。……でも、新任っていうのもあったんだろうけど、サクライ先生にはあのままで居て欲しいな、アヤメ先生もだけど、あの二人は先生らしくない先生の典型だったし。単純にあのまま、生徒想い、というか何と言うか、ともかく……あのままで。
っていうかそう思うと、ハヤサカ先生も新任なんだよね? 何かしっかりしてる真面目な先生な所為かよく忘れるけど、先生にもそのままで居て欲しいかなぁ、勿論ホノちゃんにも何時までもほのぼのしてて欲しいけどね!
「――たまには会いに行ってやるか、中学」
「だねっ!」
カイト君がスプーンを加えたままそう言ったから、俺は元気良く頷いておいた。
研修終わったら早速行ってやろう、アサ君もきっと着いて来てくれるだろうから、アスカとかユキちゃんにも声掛けてみようって、何だか楽しくなった。