32+日常会話。
「アンタ、何読んでるのよ」
「本」
「知ってるわよ!」
「戯言」
「酷い言い草ね……」
こんにちは、始めましてモモです。最近私は一人席に着いてニコニコしている事が多くなりました。何故かっていうと――
「……で、何?」
「な、何でもないわよ! 唯一人で何やってんのか見に来ただけ! 悪い!?」
私の唯一のお友達、リョウちゃんが青春真っ只中だからです。本人は未だ無自覚みたいだけど。アサキ君……ロクジョーが来てないから一人なんだね。私は何時も一人なんだけど……リョウちゃん以外話す子居ないし……今度のスキー林間どうしようかな……。……じゃなくて。
「……ヒコクアサキ、あんたスキー班何班な訳?」
「何で」
「質問を質問で返すなんて感心しないわよ!」
――リョウちゃん可愛い。
二月に控えたスキー林間の班をアサキ君に聞いているらしいんだけど……一緒のにしたいらしいよ……アサキ君運動神経あってもガラスのエース(※体力が続かない)だから普通だからαくらいじゃ……――
「S」
「ランク高ッ! 流石に私は其処は無理よ!!」
「一緒じゃなくて当たり前でしょ」
「し、知ってる……わよ」
あ、リョウちゃんシュンとした。そんな所も可愛いなぁ……私は何処のお父さんなんでしょうか。
「僕だって本当はαにしたかったんだよ」
「じゃあどうしてよ?」
「提出の書類にユウヤが勝手にSって書いてもう提出しやがった」
「アーサーくーん! あっそびーましょー!!!!」
凄いバットタイミングでやってきたユウヤ君、君にKY(※死語)で賞を授けます。
リョウちゃんは案の定ユウヤ君を睨んで胸倉掴んでガッとなって私はあははって感じで……すみません、心の中だからって調子乗りました私。
「えぇ!? な、何ですかリョウちゃんさん!?」
「ええい、ちゃんにさんを付けるんじゃない! 何故アンタ達はそんなに運動神経が良いのよ!!!!」
「ごめんなさい!」
つい謝っちゃってるユウヤ君、君は悪くないと思うよ……?
「んー、S……僕疲れて疲れるかも」
「あー君、其れは疲れてしかないね」
うー、私も会話に混ざろうかな……でも、混ぜてくれるかな……でも私なんかが入っていいかな……。
「モモさん、こんにちは」
ふぇ?
「こ、こんにちは……」
「こちらにいらして一緒に話しませんか? 其処に居ては一人でつまらないでしょうから」
「……うん」
ニコッと笑ってそう言ったのは、確かユウヤ君のお友達のニカイドー君。とても紳士的な人……私が混ざりたがってたのに気付いてくれたのかな……?
「ねぇ! 何で!? アンタ達って運動神経良過ぎない!? そう思うでしょももも!!!!」
「ふぁ?」
ももも? ……あぁ、モモもか。こんな名前でごめんなさい。
「うん、ユウヤ君もアサキ君も凄いよね~」
「アサキ君の体力持続時間、保っても最近は六分ですけどね」
「アスカ君、自分でも分かってるから言わないで、其れでも延びたんだから」
体育とかって男子の見れないから残念。とっても面白そうだもん。
「僭越ながらお聞きしたいのですが、モモさんとリョウコさんはスキー班どうなさるんです?」
ニカイドー君がよく分からない難しい言葉を使いながら聞いてくれた、馬鹿でごめんなさい、せんえつって何?
「私達は無難にαかしらね……」
「その方が良いと思うよリョウちゃん。ニカイドー君は……?」
「俺は……行けたらβです」
――え? 行けたらって……?
苦笑して言うニカイドー君に私は聞きそびれてしまったけど……何でだろう、行けないのかな……? ……まぁ良いか、私なんかが心配しても仕方ないもんね。
「ロクジョーカイリは?」
「カトウは何で皆フルネーム呼びなんだ……? カイトは勿論Sだろ」
だよね、一組切っての運動馬鹿……馬鹿って言ってごめんねロクジョー君。
「あら、ニカイドーアスカβ一人?」
「いえ、二組の方が居るんでご心配なく」
「べ、別に心配はしてないわよ」
リョウちゃんは基本優しいからね……素直じゃないけど、そんなリョウちゃんだから良いんだよね。……だから私は何処のおじさん?
「つか、スキーの話ごときで盛り上がるな、僕の席の周りで」
「如きとはなんだアサ君! 神聖な林間学校なるぞ!?」
ぎゃーぎゃーと騒ぐ二人を見ると、たまに本当に双子なのか疑問に思うんだよね……。こうやって話す様になったのは数日前だけど、似てるのに似てないアサキ君ユウヤ君兄弟。
絶対一旦足して二で割った方が良いと思うな。……こんな事言ってごめんなさい。
「はーい、授業始めますよー」
あら、もうそんな時間……?
教壇に居たアヤメ先生が手を叩いてそう合図、次は英語か~。
「やば、じゃあ私戻るわ、じゃねモモ」
「うん、じゃあね、リョウちゃん」
「ほらほら、隣に戻りますよー」
「うがー! 未だアサ君との勝負がー!!!!」
「次の数学でくたばれ」
ニカイドー君にズルズルされて行くユウヤ君。それにしてもアサキ君って凄く口悪いよね……。ごめんなさい。
こういう人って私余り得意じゃないんだよね……怖いから……でも――
「ほらラン、授業始まるから席戻れよ、アヤメ先生に笑顔で怒られるよ」
こうやって悪戯っ子みたいなアサキ君なら。――大丈夫だね、ほら、全然怖くないから。
「うん、それじゃあまたね」
「うん」
少し、人付き合いが好きになりそうな予感。




