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318+いざ、白銀の世界へ。/in兄の部屋

 おはようございます、ユウヤです。

 今の時間は朝の五時、起床時間まで未だざっと一時間弱あるってところかな?



「……」


「……」


「……?」



 たった今起きた俺はぼうっとしたまま両隣の二人を見る、ええと、正確なことを言うと二人が何かしてる物音で起きたんだけど……え?


「……ね、二人共?」


「あり、おはよゆっ君、未だ寝る時間あるわよ」



「うん、それはそうなんだけど、そのー、――二人がかちかちかちかち五月蝿い感じでして」


 金髪とは呼んでるけど其処まできんきらではないゼン君の髪が風呂上がりにはずっとぺたーってしてて面白かったんだけど、今はなんか何時も通り未満ではあるけど相変わらず元気である。そんなゼン君が笑顔を向けてくれるんだけど、其の、カイト君と二人でゲームをやってるんだか何なんだか知らないけど――凄いコマンド入力音がするゲームを早朝からやらないで下さいますか?


「何だよユウヤ、お前そんな繊細な神経の持ち主だったんかよ。アサキを見習え、誰が何をしてても自分に関係無い時は延々と惰眠を貪る――」


 ふっ、と幸薄い笑みを浮かべたカイト君、っていうかあれは最早取得スキルなんだから別! アサ君は呼べば起きるけど其れ以外は五月蝿くても寝てられるってスキル所持してんだから。


「というかお二人さん、……何時からゲームしてんの……?」


「「二時」」


「寝ろし」


 っていうか二時って俺が寝た時間じゃん! 何二人共、一睡もしてないの!? ついツッコミを入れたけど二人は気にすることなくゲームを続けていた、……畜生目が覚めちまった。

 ちなみに同室のクラスメイトは隣の洋室で寝ているぞ☆ 俺達は俗に言う川の字、まぁ横二人布団の上で座り込んでますがね。布団も寝る目的で使われないなんてなんと憐れ。





 ――こん、


「ん、」


 目が覚めたし仕方ないから俺もゲームしようかな、とか考えてたら、何処かから控えめな物音がした。ええと? ああんもうかちかち五月蝿くて何処からだったか分からなかった。


「どうかしたか?」


 視線はくれないけどキョロキョロする俺にそう言うカイト君。何か聞こえなかった? そう聞いても案の定其の微かな音は俺にしか聞こえていなかった様子。


「……んー」


「ゆっ君、多分今のノック音」


 まさかポルターガイストか!? と考えたと同時にゼン君が襖の先を親指で指差した、危ねぇ自分で言っておいて怖い思いするところだった……!

 其れはまぁ良いとして。此の時間にノック音? 一体誰だろうか、先生の確率がかなり高いとは思うんだけど、もしや早朝の巡回……? のそのそと布団から這い出て仕方なしに扉に向かう、……ああもう、靴邪魔だなぁ。



 ガチャ



「遅ぇ」


「え? 何故?」


 つい一声目でそんなことを言ってしまった、いやだって――


「どしたのアサ君」


 ――朝方にアサ君が起きてることが稀過ぎて。




「え、あっ君?」


「は? アサキ?」


 襖開けっぱだった為に聞こえた俺の声を辿り二人も言う、さっきまでゲーム画面に釘付けだった視線だって上がって来ちゃったよ。


「……入る」


「あ、うん、入りな入りな、ていうかジャージ一枚で出て来たら風邪引いちゃうでしょうが」


 此の時間に起きてると言えど目が完全に死んでるところを見れば、寝たいのに寝ていないのは百も承知。しかも何処から見ても苛々してる訳で、あまり刺激しないように声を掛けようとしたら何か刺激してしまった。でも最早そんなのどうでも良いのか弟は、俺が音をさせず扉を閉めている内に俺自身の布団の上でくたばってしまった。


「おーい、アサキー」


「もうあの二人、どうにかしてくれ」


「あの二人って……シギとはっ君?」


 ゼン君の問いに無言の肯定を見せるアサ君、……何だあの二人、眠りに貪欲なアサ君を寝かせないなんて何したんだおい。


「え、じゃあアサ君、もしかして寝てないの……?」


「寝、……た、累計一時間くらい」


 累計ってなんだ、小刻みにってことか。


「無理、このままあの部屋居たらフドウを言葉だけで戦闘不能に出来る自信が……」


「やめたげて、あの子繊細だから暫く立ち直れないやめたげて」


 しかし自分が戦闘不能気味だよアサキ。

 というか真面目にどうしたんだろう、ハク君は良いとしてもシギ君がアサ君の機嫌を損ねるようなことをするとは思えないんだけど。



「アサキ大丈夫? 明日――実質今日スキーやるんだけ――」


「無理」


「ちょっ、あっ君居ないと俺無理よ」


「何でゼンが無理なんだ?」


「リフトが普通に怖い高所恐怖症ナメんなよ」



「ま、ゼンが無理とかはどうでも良いが、アサキ、お前こっちで寝てろい」


 ゼン君が無駄にキメ顔で弱点を言ってるのはスルー気味に、カイト君は立ち上がってアサ君にそう言う。――動く気配が見当たらなかったので仕方なく転がしたけど別に良いよね。



「はい、あったくしてー、風邪引いちゃうよー」


「おい其処のおかん、アサキ埋まっとる」


 埋まるくらいが丁度良いんだい、どうせ使わない掛け布団をアサ君に掛け。

 ナチュラルにゲームに戻った二人も居ることだし、俺もやっぱりゲームでもしようか、と思った。アサ君はどうせもう寝てるし、某国民的アニメのあやとりが得意な人と比べてもきっと勝てるよ。



 だけどやっぱり気になる、一体何があったんだよ、アサキの部屋。





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