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316+いざ、白銀の世界へ。/in各々の部屋内

 とことんアサキです。



「ようフドウ、どうだったよ」


「こ、こんなに疲れたスキーは生まれて初めてっす……」


 高所恐怖症を隣に抱えていたけれど其れは流石にゼン君、全然大変じゃあ無かった。確かに隣で『リフトたっかい、死ぬ、俺死ぬ』とか言ってたけど言ってただけだし、ゼン君の場合余裕無い方がまともだから其れは其れで良いと思う。

 やっとのことで一日目の研修が終わり自室に戻る途中、くったくた気味のフドウに会って声を掛けたら、思った以上の反応に内心のみで苦笑した。


「小さい時からずっと来てるっすけど、あんなにハードなスキーヤーを初めて見たっす」


「……主にどのような?」


「――凄い速度で直滑降、そしてそのままこけて跳ねてました」


 跳ねてたのか、……要するに身体を地面に打ち付けたりしてたんだろう、あいつ等怪我とかしてないのか。……してないんだろうな。


「後二日間、頑張れよ」


「ふぁいっす」


 全然頑張れそうにねぇなこいつ。




「――あ、シギ、ヒコク、お帰りー」




 と、部屋の前にスキー靴等々置いてたら、部屋からひょっこり顔を出したのは例のコガネイだった。例の、は大袈裟かもしれないけどあまり関わりない奴だったから仕方ないことだと思う。


「あ、もう帰ってたんすねコガネイ君、ただいまっす!」


「俺は早めに戻ってきてたよー、何せ眠くってさー」


「お前朝も寝てなかったか……?」


「いやんヒコクくーん、そんなこと言わないでー」


 コガネイ……ええと、相変わらず名前は出てこないんだけど、最近見た限りじゃあ何か……脱力系? ボケかましてんのに笑顔が絶えないっていうアスカ君とかユキとは何か違う笑顔キャラな気が――嗚呼、キャラとか言っちゃ駄目?

 廊下でぐだぐだ喋ってるのもアレだし部屋に入ることにした、結構広い部屋なんだけれど人数の関係でまさかの三人部屋、どんだけ贅沢なんだよ。


「やっぱりボク達の部屋って広いっすよね……」


「まぁ隣の部屋は七人で同じ部屋の大きさらしいしねー、俺達ラッキーだったんじゃない?」



「集団で泊まるとか無い馬鹿なんじゃないの……出来るだけ人数が少ない方が良いに決まってる……」


「「……」」


 僕の発言に二人が黙った、良いじゃない、少人数の方が良いじゃない。




「とっ、とりあえずそろそろご飯っすよね! 今まで皆で集まって食べたりしてたから、ご飯が部屋まで運ばれてくるなんて夢みたいじゃないすか?」


 仕切り直しとでも言うようにそう言い出したのはフドウ、きらきらした視線を僕とコガネイに交互に向けている。しかしスキーで疲れた僕としてはもう疲れて何もしたくないので一人でテレビでも見ようと思った。


「そうだよねー、皆で集まるのって正直面倒臭いから、部屋に飯が来るって凄いよねー」


「というか夕ご飯何っすかね?」


「美味しいものなら何だって良いやー」


「あははっ! コガネイ君らしいっすね!」


 僕がテレビを見始めたのも気にせずフドウとコガネイが話し出した。元々コガネイはクラスでも目立つってタイプじゃない――僕も人のこと言えた立場では無いと思ってるけど――、でも目立たないって訳でも無くてこう……クラスでも色んな人と話してて集団に固執してない感じの……あれなんだよ。もう説明面倒だけどとにかく、飄々とふらっふらしてるから今此処に居る訳だが、フドウとは何か波長が合うらしい。


「ねぇねぇヒコクヒコクー、ヒコクって好き嫌いとかあるのー?」


 っていうかこいつは、ただただ人懐っこい人間なんだろうな、此の僕にも遠慮が無い。背を向けてテレビに向かい始めた僕の顔を見るべくなのか、ごろんとひっくり返って僕を下から覗き込んできやがった。


「……何の?」


「勿論食べ物のだよー」


「……食えないもんは無いけど、自ら食いたいと思わないものはある」


「あ、そういうタイプかー。シギは魚が嫌いなんだってー、餓鬼だよねー」


「え、ちょっ、良いじゃないすか! 嫌いって言っても食べれない訳じゃないんすから!! ――確かに食べれないものはあるすけど。……ってそういうコガネイ君は何か無いんすか!?」


「えっへへー、俺実は結構好き嫌いあるんだよねー。だからもし嫌いなのあったら二人にあげるー」


 其れはあげるでは無く押し付けるの間違いでは無いだろうか、まぁ面倒だから言わないけど。家の食事とか全部ユウヤに任せっきりだし、僕は文句言える立場じゃないから――っていうか何か言うのも面倒だから何でも食うけども、人間だから苦手だってあるのは確かだ。食べてやらんこともないけどあまり食える方じゃない、ので……フドウに押し付けようそうしよう。










 やほーいユウヤだよっ! 修学旅行テンション上がり過ぎたうははーい!


「部屋に戻っても此のハイテンションが抑えきれないどうしよう!!!!」


「抑える必要なんて無いんじゃね? 何せ此の俺様の実にハイテンションだ!!」


「はは、二人共元気ー」


 だよね! 抑える必要なんて無いよね!

 俺と同テンションのカイト君を見遣りつつ、テレビに目を向けるゼン君のテンションの低さに苦笑した。どんだけだいゼン君、スキーで何かあったのかな?

 ちなみに同室の方がもう二人くらい居るけど今は外出中です、そろそろご飯なのに何だってんだい! 皆もテンションが最高潮だからかしら。


「おいおいおいどうしたいゼン! テレビでアニメなんか見始めてんじゃねぇよ! 今はスキー研修中だぜ!」


「スキーだからってのもあるよねぇ、今までの日課のリズムが壊れるのはこういう研修の所為だとゼン君は思うんだ」


「何か一人超冷静なんですけど!」


「カイ君とゆっ君が元気過ぎんでね? 明日も其の調子なんならシギが疲労満杯っぽくなりそうだよね」


 上級行かなくて良かったなぁ、としみじみ漏らすゼン君は良いけど、確かにシギ君、俺達のハイペースに着いて来れてなかったよなー。後二日大丈夫かい、……まぁきっと大丈夫だよね☆(※プラス思考)



「まぁ明日にもシギなら慣れんだろ? さぁさぁ飯飯!」



 手を叩いてカイト君が言う、おっ、ご飯来たー。

 さーて、明日もあるし美味しいご飯食べて寝よーっと!

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