3+人類皆平等なんて聞いて呆れる。
「――人生は金だ」
急に何言い出すんだ此の弟は。こんにちは、初めましてなユウヤです、何か弟が急に亡者みたいな事を炬燵の中で呟きました。
「……どったの?」
「いやね、小遣いが少な過ぎて来月まで漫画買えなくて」
我が弟を動かす事が出来るのは、大抵漫画かゲームです。今度もそうだったんだね……。
「ユウヤ君」
「なぁにアサ君に君付けされると最早怖い」
「うちの小遣いは一ヶ月何円ですか」
「千円」
「少ねぇんだよ……!」
炬燵をダーンッと叩いて感情をあらわにしますアサキ君。表情は一切変わっていないけれど、漫画の為に此処まで感情的になれるアサ君もアサ君だと思う。
「知ってるかユウヤ」
「いや、知らない」
「ですよね、じゃなくて教えるが、僕の隣の席の赤の他人覚えてる?」
「いや、其れカイト君じゃないの? 唯一の友達何赤の他人呼ばわりしてんのかな此の子は」
カイト君とは協調性皆無のアサ君と唯一会話が成り立つお友達。後は皆アサ君が遊んでる人だけかと。……後気分。
「まぁ良いや、其のカイトの馬鹿野郎の小遣い知ってます?」
「知ってたら恐らく俺はストーカーだと思うよ」
「五月蝿い変態そろそろ普通の男の子に戻りなさい」
変態とか酷いわアサ君、私は女の子に生まれたかったのよ! ――冗談だけども、冗談だけどもね。趣味が女の子染みてるのは仕方ないじゃん。
……とか、今俺の話は置いといて。
「で、カイト君はいくらなのさ」
「五千円」
「高いねー」
「五千円あれば何出来ると思ってます? 漫画何冊買えると思ってます? 千円じゃせいぜい二冊ですよ、高いの行くと一冊しか買えませんよ。ところがどうです、五千円あれば十冊ですよ。高いのでも五冊はいける、さぁ同じ人種なのに此の差は何だ!!」
「家庭?」
「しんでくれ」
「ぐはっ! ちょ、其れは痛い!!!!」
蜜柑の皮はダメだ! 柑橘系の汁を目に飛ばすなんてアサキめ俺の繊細な目になんて事を! しかも兄にそんな事をしておいてアサキの奴一人堕落を決め込んでんじゃねぇか!
「絶対不公平、ユウヤみたいに金かけずに楽しめない僕はどうすれば良い」
「いや、まぁ確かに俺の可愛い服はマミーが買ってきますしね、勝手に」
「今更勝手とか付けた所で遅い貴様、超乗り気な癖に」
「良いじゃん、似合うんだから」
ね、人の趣味は放っておいてよ。女の子の格好とかするの大好きよ?
――なんて討論が数十分続き、結局言いたかっただけのアサ君は炬燵に潜ってご就寝致しました。
言いたいだけとはこういう事、気まぐれだからね、我が弟は。
「……漫画ー……」
……今度から、少し買うの手伝ってあげよ、俺金使わないし。寝言でまで言われるとちょっと。