298+テスト勉強を効率良く進めるには。
アサキです。
「――そうして私は彼を見ていることしか出来なかった。なぜなら――」
嗚呼、喋ってるのは僕じゃないです。
今までこんなこと無かったのにユウヤが気持ち悪い、テスト期間だからってこんなに真面目に数時間も勉強なんて……。
って訳で、リビングでゲームをする僕と現国の教科書を音読するユウヤ、何でも口に出さないと読めない漢字をスルーしてしまうとか何とか。僕なら先ず現国の勉強なんてしないけどな……、だって国語って文章に答え載ってるんでしょ? 其れだけで八割採れる採れる。――言ったらカイトに叩かれた、あいつにツッコまれるなんて何てことだ。
「あ、ねぇねぇアサくーん」
「ん」
「読めない読めない、教えて」
教えて欲しいなら横でやって欲しい。けれど勉強している人には基本的優しい僕はゲームをポーズ画面にしてそっちまで行ってやる、真面目にやってる人は嫌いじゃない。
――にしても、普段から勉強しろよとか言ってる僕が言うのも何なんだけど、ユウヤは一体どんな風の吹き回しなんだろうか。いや、テスト勉強をしない訳では無いけど、此処まで真面目に長時間やってるのなんて最早気持ち悪い。え、どうしたの、本当どうしたの。
「アサキって頭の中に電子辞書とか入ってるんでしょ」
「入ってねぇよ、僕だって辞書使うよ」
「でも俺の倍は情報入ってるんだもーん」
「お前が僕の半分なだけなんじゃないの?」
あ、落ち込んだ、僕の口に自重という言葉は存在しないのだろうか。
とか考えていたのは束の間、何時の間にかユウヤは勉強を止めていた。
「アサ君テレビ見たい」
「え、あれ、勉強は」
新聞片手に横に立つな、オッサンかお前は。スポーツ欄を見るな。
「終わったー」
「……そう、……何でさっき勉強してたの」
まじまじとスポーツ欄を見ながらソファに座ったユウヤを見ながらやはり気になったので――別に普段のユウヤならそんな真面目に勉強するはずがないなんて失礼なこと思ってはいない――訊いてみる、――何故か驚愕されたけど。
「……え?」
「……いや、だってお前そんなクソ真面目に勉強なんてしなかったじゃん、現国如きで」
「んまぁ、うん、でもアサキと比べたら誰でも勉強やってることになると思うよ」
やってないからな。
「まぁ理由は無いんだけど、ゼン君がさ、『英語得意な人は国語も得意って聞くけどね』とか言ってて、」
其れはよく聞くな、ちなみ僕はどっちも嫌いだが。(※彼に好きな教科などありません)
「そしたらカイト君が『絶対嘘だそんなの!』って叫んで、」
あいつは本当に英語しか出来ないからな。
「『そんなの絶対イコールじゃねぇ! 人間は物に釣られた方が勉強出来るようになる!』って言うものだから」
「まぁ其れは確かに言えてるかも」
「其れを試す為に今、とあることを実施中~――って訳」
新聞を横に置いてユウヤはテレビのリモコンを片手に僕にそう言った。
実施中? そりゃ一体何なんだか。
「まぁ単純に、現国の点数一番良かった人で五百円分賭けてるだけだよ!」
「……嗚呼そう」
そんなことで勉強するのかお前は、通りで現国しかやってない訳だ。
「でも其れ、ゼン君がぶっちぎりなんじゃないの?」
「ゼン君最近全力でモン○ンに愛を注いでたからノートもプリントもはたまた知識もすっからかんだもん、チャンスは今しか無い」
「……」
ゲームは盲目だなおい。どんだけやってたんだ、どんだけモンスター狩ってたんだ。
「……まぁ、頑張れ」
「もっちろん! 俺だってやれば出来るってところを見せてやるぜ!!」
「僕はゼン君が一番だと思うけどね」
「……そっ、其処はお兄ちゃんを応援してくれても良いんじゃないかな! っていうか応援してくれたよね!?」
其れと此れとは別問題だろ、全力で。