296+人口的だが暖かい。
「アサキー、居るかー?」
授業眠ィ、ストーブの威力ぱねぇ。
え、嗚呼、アサキですよ、十二月に入ってストーブ導入されてしまったことで僕の授業中睡眠率が五十%から八十%に上昇しやがった、何だってんだコノヤロウもっとやれ。
とか愚痴(?)を言っていても仕方が無いので伏せていた顔を上げる、其処に居たのはカイトだった、しかも一人。何だ此の珍しい現象。
「うわ、一組あったけぇなおい」
「温暖化に喧嘩売ってます」
「もう少し温和に喧嘩売れよ」
其れはもっと室内設定を上げろってことか、お前良いこと言うな。と色んな意味で違うことを考える。駄目だストーブで頭イカれてる。其れと何が珍しいのかと言うと最近カイトもユウヤも滅多に一人で此方のクラスにはやって来ないってことだ、まぁ二人とかゼン君入れて三人とかでなら来るんだけど、一人ってことは其れなりの用事があるってことか。
「で?」
「嗚呼、此処見ろ」
「……英語の時だけは強気だよなお前」
「ははん、英語“だけ”はな!」
其れを認めてしまっていることが先ず駄目なんだろうけれど。
ということでカイトは英語の教科書片手に教室に乗り込んできたらしい、まぁ未だ僕の方が出来るしな、……いや、このまま負ける訳にはいかないけども。
隣のクラスに出掛けてるフドウの席につけば「最近英語ですら難しくなってきやがる」とか言い腐ってくれるもんだから殴りたくなった。僕から言わせれば英語が一番難しいっつーの。
「っていうかカイト、分かんないことあっても最近はゼン君に聞いてなかった?」
「あー駄目駄目、あいつ一週間はろくに相手してくんねぇ」
「は?」
「学校でもずっとゲームしてる」
「……嗚呼、ゼン君買ったんだ」
モン○ンですね分かります。
ああいうゲームってやり出すと止まらないよなー、まぁ僕はああいうのよりRPG系の方が好きだから買わなかった、何時か借りてやれれば其れで良いかと思ってたから丁度いいな。……にしてもゼン君テスト前なんだけど大丈夫なのかな。
「って訳で久し振りに英語教えてけれー」
「まぁ良いけど、他の教科大丈夫な訳?」
「勿論駄目だぜ!」
「死ねばいいのに」
「い、家行くから教えてクダサイ!!」
最近はゼン君が部活中とかに相手くれてたからなぁ……ゼン君何やかんやで面倒見良いから本当に助かる、お陰で心置きなく寝れるし。……まぁ、教えるくらいやる気と僕の方のやる気がある時なら一向に構わないんだけども。
にしても今クソ眠い、部活の時じゃ駄目かなとか思ったけど放課後じゃもっと眠いから無理だと判断、我ながら小学生並だとか思う。……今時小学生でもそんな寝ねぇか。
「あーあ、中学の時は此処まで難しくなかったのになー」
「そりゃそうでしょ」
「俺数学大嫌い」
「皆そうだって言うけどね、僕は一番マシだけど。……中学の時サクライ先生が言ってたけど、算数好きだった小学生が中学に上がっても数学を好きでいられるのは半分以下なんだとか、で、高校はその半分以下」
「じゃあ最初から数学苦手だった奴が更に苦手になる確立は半分以上だな」
「違いねぇな」
はっはっは、と渇いた笑みを漏らしてから、カイトは深く深く溜息をついた、何とも言えないがどんとまいんど。
「嗚呼、二年になったらもっと教科増えんだろうな、マジ無理、死ぬ」
「そんなこと言ったって仕方ないだろ、ユキとかアスカ君とかはもっと難しいことやってんだから其れ位我慢しろって」
「あの二人は出来が違うだろ出来が。ついでに言えばお前も大分出来が宜しいじゃねぇか!!」
「頭の良さは高校で決まる訳じゃないよ、良い例出してやろうか」
「あ?」
「うちの兄貴」
「うおおやべぇ超説得力ある」
ウミさんも此処が母校だし、マヒルと同高校だったことくらいカイトも知っているはず。とりあえず僕の知り合いの中で――僕込みで――マヒルが驚異的なことは周知なことだから、何やかんやで説得力が破壊的にあるっていう。
喋りながらでないと寝てしまいそうな中、曖昧な教え方だがとりあえずカイトが英語を理解したので良かったけれども。
「何つーか、」
「何」
「ゼンに教えてもらうんでも全然良いけど、やっぱ慣れてるからかお前から教わった方が気持ち分かりやすいわ」
何だ其れ、僕はそう言って失笑したけれども。
とりあえず口にはしないけど言っておこうか、――誰が教えてやってると思ってんだバカヤロウ。