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29+たまには家から出てみよう。/後


「暇なら姉さんが遊びをひとつ授けましょ~」


 ゲームをやりつくして漫画を読みつくしてやる事なくなってしまった僕等にそう言ったのは勿論――ずっと横でニコニコしていた――ウミさんでした。ちは、引き続きアサキです。


「命令ゲームって知ってる?」


 あー……“命令”って言ってから言った指令は命令にちゃんと従って、“命令”って言わなかった指令に従っちゃいけないってゲームか。懐かし。


「暇だしやるか」


「「おー!」」


 こんな覇気のある掛け声こんなしょぼいゲームでは初めて聞いたよ。


「カイト君命令! 右手を上げよ!!」


「ういさ!」


 カイトがピッと上げる。あー、楽しそう楽しそう。


「命令! 左手挙げぃ!!」


「ほぁあ!!」


 何故掛け声が本気なんだ……?


「命令! アサ君を蹴り飛ばせ!!」


「とー!!」


「は?」


「――りゃー…………俺の負けだ」


 は? って言っただけなのにカイトが負けた様だ。まぁ、カイトに僕を蹴るだけの度胸は無いからな。


「ふっ、勝ったぜ」


「ずるいぜユウヤ! んなのお前なら出来るのかよ!」


「そんなの無理に決まってるじやないか!!!!」


 無理なのかよ、弟くらい蹴れる度胸を持てよ。


「よし、ユウヤとアサキで決勝だな」


「待てカイト、僕は何故シード選手なんだ」


「だって強そうだもん」


 嗚呼そう。


「ふっ、アサ君や、今日こそ俺が勝つ」


 ユウヤがそうやって毎回負けている様な台詞を吐くと、僕に命令の権利を譲ってきた。……こんな面倒なゲーム、とっとと終わらせるぜ。


「命令」


「おう!」


「しね」


「すとーっぷ。ディープ過ぎるのは禁止」


 ちっ、駄目か。


「命令」


「おう!」


「此の世から消えろ」


「すとーっぷ、遠回しだけど同じだから駄目です」


 たるい。もう辞めたいんだけど。


「右手挙げろ」


「おう!」


 馬鹿が。手を挙げやがった。


「あ、ユウヤの負け~」


「ふぇ?」


「ユウヤ君ユウヤ君、アサキ君は命令って言ってないよ?」


「あ」


 他に気を引かせるのなんて初級中の初級だろ?


「あー君ルール把握し過ぎだよ!!」


「まぁね」


「あーあ、もう終わっちゃったぜー」


 それもそーさな。終わっちゃったし……どうしますか……――


「皆~、お姉ちゃん今から夕飯を作ろうと思います。アサキ君とユウヤ君は食べていきませんか?」


 ――と、ウミさんが立ち上がってのそんな発言。

 家は誰も居ないから基本自由にするんだけど……――


「どする、ユウヤ」


「ウミさんの料理っておいし?」


「絶品」


「じゃあ食ってこう!」


 ユウヤ、僕がまずいって言ったらどうしたんだ。


「俺ウミさんの料理手伝いまーす!」


「あら、ユウヤ君手伝ってくれるの~? ありがと~!!」


「ぎゃー! 分かったから抱き着かないでー!!!!」


「……アサキ、泊まってけ」


「のつもり」


 ウミさん、優しいけど恐るべき。

 そして僕等は本当に花より団子だな。



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