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282+早過ぎる冬、からの台風。

「さっみー!!!!」


 ユウヤです! 全てのものを吹っ切って――テストの結果とかテストの結果とかテストの結果とか――やっと立ち直ったのに何ですか此の寒さ。自転車での帰り道、初冬の寒さって言ってたのに防寒対策ゼロのカイト君が叫んだ。


「僕はそうでも無いけどね」


 其の後ろに座ってるだけのアサ君を見習うべきだよ、コートに手袋にマフラーだよ、――早ぇよ。

 俺ですらマフラーはしてるのに此のカイト君ったら、絶対明日休むよね此の人。


「畜生さみぃ!! 早く帰らねぇと凍る!!!!」


「お前が凍っても僕は一向に構わないけどな!」


「嗚呼そうだろうな! 何か重ぇと思ったらお前自分だけ傘差しやがって!!」


「まぁアサ君だもんね」


 合羽はおろか傘すら忘れたカイト君、って君朝どうやって来たの? なんて質問がカイト君に通じる訳も無く、勿の論で滑走してきたんですよね分かります。


「だって差さないと濡れるじゃん」


 わぁご尤も。



 とか何とか喋っていましたら途中まさかの土砂降りになり、傘の意味が無くなるなんてアクシデントに見舞われたので、


「カイト、コンビニ寄れ」


 というアサ君の実質『もう無理だろばかやろう』なんてえまーじぇんしーこーるが響いたので、俺達は近くにあったコンビニに寄ることにした。


「うわあびっしょびしょ」


「このまま帰ったら絶対姉ちゃんにどやされる……!」


「傘すら持ち合わせていなかったお前が悪いに一票」


 さらりとそんなことを言って、一人お先にコンビニへと入っていった我が弟。あの子も充分濡れてるんだけどちょっとねぇ拭こうよ。


「あー、コンビニの中の方が暖かいってどういう」


「其れだけ寒いってことだよねー」


 未だ暦の上じゃあ秋だっていうのにさ! どんだけ引っ込み思案なの秋! マジ寒いんですが!! 手が寒々しいよー、アサ君程までとはいかなくても、手袋くらいしてくれば良かったかな?

 でもまぁ俺よりも寒いであろうカイト君が居るんだし、此処はマフラーがあるだけ良しとしよう。でも濡れるとマフラーって寒いよね? あれ俺だけ?


「折角寄ったんだし何か買うかな」


「あ、俺も思った」


 というかアサキもそう思ってるみたいで、とっくに買い物籠を掴んでいた。コンビニでどんだけ買う気なのあの子。


「んー、何食べようかなぁ」


「俺アイス買おうかな」


「カイトお前馬鹿なの」


 でも其の気持ち分かるかも、寒い時にあったかいところで食べるアイスって絶品だよね! 炬燵(こたつ)で食べるアイスって何で美味しいんでしょうか……でも今は外よりあったかいだけであって其処まであったかくないはずだけど。


「カイト君、寒くないの?」


「超寒ぃ」


「で、何買うの?」


「アイス!」


「お前一ペン凍え死ね」


「いいじゃねぇかよ! 俺が食いてぇんだから!」


 確かにそうだけどさ? 其れでも見てるこっちが寒くなったりするし、何より其れじゃなくても冷えてる身体に追い討ちをかけなくたって良いだろうに……。


「まぁ良いけど、僕は今無償にココアが飲みたい」


「あ、俺も飲みたい。……あれ、アサ君ココア飲めたっけ?」


「嫌いじゃないけど余したら飲んで」


「はいはい」


 そんなに多く飲めないってアレだろうか、俺にはそういうの無いから分からないけどアスカも前に『おしるこって美味しいですが一杯も要りませんよね』なんて言ってたっけ。ううむ、人間の真理だ。(※ただの好き嫌いです)

 って、本当にカイト君アイス買ってるし、店員さんも苦笑してるよ。


「ユウヤ、早く買うよ」


「あ、んー」





 そうだった。

 籠を持った割に結局買うもの少なかったアサ君の代わりという訳では無いけど、俺は沢山食い物――お菓子類を買い込みましたとさ。めでたしめでたし。





 ――あ、マヒル兄帰って来てるんだった、買い過ぎて怒られそう……!


「忘れてたの?」


「おま、謀ったな……!!」





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